カーネギー「道は開ける」の第二部のタイトルは、

「悩み分析の基本的技法」

として次の二章から構成されている(版によって訳語が多少違うようである)

 

第4章 悩みの問題を分析し解決する方法

第5章 仕事の悩みを半減する方法 

心配性の自分にとっては、どのタイトルも大変魅力的だった。

これさえ読めば悩みや不安から解放されるのではないかとも思った。

 

実際、僕にとっては、この本のなかで今日まで一番役にたった部分の一つは、この2章だと思う。

 

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悩みの分析の基本的な技法は、結局、

 

 

1)今何について悩んでいるかを知るべきである。

  そして、先ず関係するあらゆるファクトを掴め。

2)次に、そのあらゆるファクトを考慮して決断せよ。

  その際に、あくまで、自分にできることは何か考えよ。

3)決断した以上はそれを実行せよ。

  特に、いつからそれを実行するのか考えるよ

というものだという。

 

当たり前といえば当たり前なんだけど、

自分を振り返ると、結構1)ですら出来ていないことが多い。

 

特に、一体自分は何に悩んでいるのか、モヤモヤしているときがある。

具体的な悩みというよりも、身の回りの課題についての気分みたいなものを、悩みと言ってしまっているときがある。

 

さらに、カーネギーは、1)及び2)に関して、(特に仕事の場面を念頭に)もっと具体的に、

 

1.問題点は何か

2.原因は何か

3.解決策は何があるか。どんなものか。

4.望ましい解決策はどれか。

という風に思考することを勧めている。

 

この部分は、「道を開ける」を読んで、私が一番身についた部分ではないかと思う。

 

仕事で困ったこと、したがって心配・不安になることがあると、

この着眼点に沿って、とにかくノートに書きだした。

時には、A4ノートで数ページにわたることもあった。

 

 

その際に、

「問題点は何か」

「原因は何か」

「解決策はないのか」

という部分を書き出す際に、

これらに関して、出来るだけファクトを集めながら、それに沿って思考するうちに、

 

「それって、本当に問題なのか?」

「問題なのかもしれないけど、絶体絶命なのか?」

と考えられ、

 

「心配しすぎてはないか」

と思えるようになったような気がする。

 

ここらへんは、認知療法のトレーニングの影響だと思う。

出来るだけ理知的に客観的に考えることで、根拠稀薄な不安気分を和らげることに効果があったように思う。

 

他方で、解決策を考え、あとは実行するだけだと考えても、

「それでうまくいくのか?」

という新たな心配が沸き起こってくることもある。

 

そこらへんの対処には、第一部の「最悪の事態を受け止めよ」という黄金律が活きてくるのだろうが、

未熟な私はなかなかそこまで達観できていない。

 

そういう意味では、第5章のタイトルの「悩みを半減させる方法」というのは、この手法をうまく使いこなせたとしても、悩みが消え去るということではない、ということも含意しているように思えて味わい深いタイトルである。