やがてくるこの日をまえに | 白金 truffle's トラッフル! restaurant&bar

やがてくるこの日をまえに

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chef カズです。



「La vie continue !(まだまだ人生は続くのさ!)」



エクスでオリヴィエと一緒に働いてから2年後のことです。バンゾー


から、オリヴィエが病気で左腕がもう使えなくなってしまったことを


ききました。料理人としての人生をあきらめ、いまは全く畑違いの


仕事をして生活しているといいます。僕は彼がいつか自分のレスト


ランを始めるために、中古で気に入った業務用の調理器具をみつ


けては少しずつ買いそろえていたのを知っていました。彼のために


何かしてやれるわけではないけれど、なにか声をかけてやりたいと


思ってすぐに電話しました。そしてそのとき、彼はこう言ったのです。


「La vie continue!」


この先まだ人生が続くっていうのに、悲しみに暮れているわけには


いかないじゃないか...



僕はトラッフの閉店を決断したとき、オリヴィエのその言葉と、あの時


の見えるはずのない彼の表情を思い出したのです。


巷にあふれる無数のお店の中で、閉店していく一つのレストランの


ことなど些細なことかも知れないし、実際これからも続いていく人生


という線の上のほんの小さな点でしかないのでしょう。


しかし僕にとってトラッフルとは、レストランという場所、料理という


媒体を介していろんなひととの交流や、たくさんのひととの思いを


共有する大切な場所であったのは間違いありません。


トラッフルでの食事を楽しみにしてくれているひとたちがたくさんいま


す。いままでトラッフルを支えてくださったそういうひとたちの期待に


応えることができなかったのですが、皆さんへの感謝の気持ちで


いっぱいです。やがてくるその日は、そんなに遠くありません。早け


れば1ヵ月後、遅くとも2ヵ月後にはトラッフルを閉店することになるで


しょう。そのときまで、今までと変わらず出来ることをやっていくのみ


です。


またいつか皆さんに、いままでにいただいたたくさんの恩をお返しでき


るような場をもつことができればと、切に願っています。