今回の震災で普段から疑問に思っていたことで、昨日の東京新聞の「こちら特捜部」を見て強く思った。
【福島第一原発の事故は出口が見えず、国際原子力機関(IAEA)が定義する「過酷事故(シビアアクシデント)」の域に達している。同機関は、過酷事故の対策や管理を各国の原子力規制機関に求めているが、実は日本の内閣府・原子力安全委員会は、この重要な役目を電力会社に委ねている。「安全神話」を守るのが理由ともいわれ、その結果、暴れる原子炉は鎮まらない-。 (篠ケ瀬祐司、秦淳哉)】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011041502000051.html
WEBページでは全文見られないので私がちょっとだけ解説しますが、
IAEAは安全基準の「プラント設計に関する要件」で、過酷事故対策を準備するよう求め、序文で「安全基準は加盟各国の法律上および規制上の枠組みの中で安全規制の基礎として受け入れられることが望ましい」と明記し、公的機関による対策づくりを前提にしています。
日本の原子力安全は、内閣府の *原子力安全委員会と *経済産業省 の原子力安全・保安院が担っているとしています。
保安院が電力会社への安全審査など、直接的な規制を担当すると言います。
安全委は規制や関連政策の企画や決定、規制の監視・監督を行うことになっているそうです。
ところが、安全委は、この役目を最初から放棄しているのだから、驚かされる。
安全委は1992年5月28日付で過酷事故に関する決定文を公表。
ここには「原子炉設置者(=電力会社)において効果的なアクシデントマネージメント(事故対策)を自主的に整備」することが「強く奨励される」べきだと書かれているとのこと。
その自主努力に任せる。つまり“丸投げ”するという意味。
これでは電力会社のやりたい放題です。
市民団体「原発問題住民運動全国連絡センター」(東京)の柳町秀一事務局長は「国際的に異例の対応だと言います。
過酷事故対策は国民から安全確保の任務を委託されている国が行うのが当然だ」と切り捨てます。
当たり前です。
私が不思議に思っていたのは、 *原子力安全委員会と *経済産業省 の原子力安全・保安院は発電所建設・運営に当たって基準を作成し、その基準に準拠させて設計、製造、建設、そして運営させていた筈です。
東電はそれに従わなかったのでしょうか?
いや、そんな話は聞いていません。
ならば、一番の責任者、賠償責任は東電ではなくて国であるはずです。
記事では、
【なぜ、こんな事態となったのか。実は前出の決定文には「シビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分に小さい」との記述もある。いわゆる「原発安全神話」の根拠の一つであり、安全である以上、国を挙げて防護対策や対処法を練る必要はない。そんなことをすれば、それこそ矛盾だ…ということになる。】
東電は企業です。好き勝手やって良いとなれば好き勝手やりますよ。
東電もさすがに国には噛みつけませんが、それを良いことに政府は先ず東電に被災者への保証金を払わせようとしています。
まぁ、税金より東電に支払いを命じるのは国民にとっては良いのかもしれませんが、ツケは必ずやってくる。
前出の柳町秀一事務局長は「波の被害を予測していた。
何度東電に改善を求めても聞かなかったが、社団法人「土木学会」は福島原発の危険性を指摘していたのです。
(記事より)
【元福島県議の伊東達也氏(69)は、東電の対応の甘さをこう証言する。
伊東氏が着目したのは社団法人「土木学会」が2002年にまとめた「原子力発電所の津波評価技術」。この中で1960年のチリ大地震級の津波が発生した場合、水没や引き潮で福島第一原発で数十台のポンプが使用不能となり、海から取水できなくなると指摘されていた。地震発生時に原子炉が停止しても、原子炉内の燃料棒は熱を発し続ける。海水のくみ上げができなければ大事故につながる事態だ。
「チリ津波は福島原発の完成前に起きた。欠陥を放置したまま運転してきたことになる。改善を求めても、東電は『原子炉の圧力抑制室などに貯水しているので、津波で海水を取水できなくても大丈夫』と言うばかり。一方で東電は水没するとされた六号機の取水ポンプを2002年にかさ上げする工事をしていた」
さらに、土木学会は福島第二原発でも取水ポンプすべてが水没すると予想。しかし、東電は第一原発と異なり第二原発は「水密性を有する建屋内に設置されている」とし、問題ないとの姿勢をとり続けたという。
伊東氏は「再三、ポンプがある建屋を見たいと申し入れたが、テロ対策上の理由で見せられないとの一点張り。万一に備えて処置しなければならないのに、小手先の対応で済まそうとしてきた」と批判する。
2005年5月、これまでの交渉で訴えてきたことを踏まえ、抜本的対策を文書で東電に要請。2007年7月にも、新潟県中越沖地震の教訓から、福島原発の耐震性確保と津波対策の徹底を求めた。】
【毎年行われる原子力防災訓練もほぼ同じ想定で実施されてきた。伊東氏は「放射能が漏れ出したとの想定だが、すぐに漏れを防ぐことに成功し、事故は収束することになっている。これでは過酷事故の発生を想定したものとはいえない。炊き出しの準備も前日から始めているぐらいだ」とあきれ気味に語る。】
【<(こちら特捜部の)デスクメモ> 鉄腕アトムは、原子力エンジンを得て百万馬力になったのだった。日本が輝いたあの頃、原子力は未来を開く夢の技術だった。汚染水が海に放出された晩、友人の老技術者は酒をあおって悔しげに泣いた。彼の四十年を思いはしたが、アトムの時代は終わったのだと思った。いや終わりにしなければ。】
----------/////////////************------------///////////*********
もうひとつ、今日の東京新聞20面の「ニュースの追跡」を読んで、お金の有るところには有ると驚嘆。いや唖然。いや、抑えないと解かりながら怒ってしまう。
「原子力関連法人に巨額積立金 眠る3兆円で賠償を」によると、放射性廃棄物の処理・処分に関する研究を目的に、1976年に設立された「原子力環境整備促進・資金管理センター」という公益財団法人が、3兆円の積立金を持っているのだそうです。
福島県第一原発事故の避難住民らに、賠償金の仮払いとして1世帯当たり 100万円の賠償を東電は決めました。
今後の賠償金をメリルリンチ日本証券の上田氏は4兆から4.5兆円と予測しました。それで資金が無く電気料値上げなども考えられているようですが、ちょっと待て!と言いたい。
この公益法人には、電力会社から金が集まっていて、その積み立て金額の合計が3兆円を超えているというのです。
東電からの分でも1兆円越え。
役員も電力会社出身が並びます。理事長は東電、専務は元官僚。最高意志を決定する評議員も10人のうち8人が原子力関係の財団や研究機関の「原子力村」出身者。
典型的な天下り天国です。
河野太郎氏が自分のブログで「法律を変えれば、この積立金を福島原発の賠償に使うことができる。電気料金の値上げなどを大臣が口走る前にやれることはたくさんある」と主張したとのこと。
たまには良いことを言っている。
思うところがあったら Clickしてね。。。
初めてご訪問の方は「真実の扉」ホームページにも是非お立ち寄りくださいませ。