警察の方にはもうラインのやりとりはしないでブロックしてくださいと言われた。警察の方が帰り、私はしばらく現実が把握できなかった。
どうして、違和感を持ちながらも男を信じてしまって自分や家族を犠牲にしたのだろう。
35%の報酬を与えると言われていたけど振り込んだお金を取り戻せればそれでよかった。
自分がこんなだから働けずお金が稼げない、という焦りもあり、もしかしたら大金が手に入るかもしれない、と少し思ったことも事実だ。
詐欺に遭う人は欲張りなんだと聞いた。
まさにそのとおりだった。
最初に振り込んだときに銀行から電話が来て、この口座には振り込めないけど、何の支払いかと聞かれた。
私はテキトーに答え、またあとから電話がきて、振り込めないので返金しますね、と口座にお金が戻ってきた。
そこで銀行の方がもっと怪しんでくれれば気がつけたのに、と、あとこら自分のことを棚に上げて思ったりした。
警察の方にも図々しくもその話をしたら、銀行は毎日何億ものお金を動かしているから、少額のやりとりには気づけないのでは、と言われた。
そうか。私には大金でも、企業や団体の多額の資産が動いている。
そうわかりっこないか。納得した。
自分が騙されておいて何を言ってるのか。
金融機関のみなさん、申し訳ありません。
警察の方が振込先口座の凍結を各銀行に依頼してくれた。被害者救済措置があると聞いたので私は翌日、振込先の3銀行に電話をして事情を説明した。
一つの銀行口座にはすでに残高がなかったからここからは取れないだろう。
残高があっても被害者の被害割合で按分して、何ヶ月もかかって戻ってくるらしい。けど、ほとんど戻っては来ないらしい。
弁護士を頼むのにもお金がかかる割にはほとんど戻らないようなのでそれはやめた。弁護士費用でまた取られる。
男と知り合いになってたった1カ月半くらいでの出来事だった。
2週間ほど、お金の工面を考えかき集めてATMに行く、そんな日々を送った。あのときの自分の頭は狂っていた。お金を振り込んだあとウォーキングに出かけてあれこれ考え歩いていた。通ってきた道もわからないくらいだった。