残念ながら事前に本件をあからさまに示唆するメディア記事を読んでいたので、やっぱりかという思いが最初にきたが、時間が経つにつれじわじわと寂しさが溢れ出してくる。
松本真未子 マイナビベガルタ仙台レディースへ移籍
これぞゴールキーパーというか、とにかくボールをゴールマウスの外に弾き出す能力に長け、手だけではなく体のあらゆる部分を使ってシュートの軌道を枠外にそらすプレーに何度も救われ、そして観客を魅了してきた。
自分がフォワードだったらきっとゴールが小さく見え、吸い込まれるように正面に蹴ってしまうだろうなと、そんなオーラをこの年齢で、いや十代の頃から発するキーパーはなかなかいない。
オーラといういう言い方は抽象的だが、やはりシュートに備えるポジショニングだったり、動かずに我慢して構える姿勢だったり、前に出てコースを狭めに行くタイミングだったり、基本的なスキルがしっかりしているからに違いない。
一方で平尾知佳が新潟に移籍した時も含め過去に何度も述べてきたが、ゴールキーパーはチーム内での競争より実戦で経験を積みながら自分と対峙して力を伸ばしていくべきと考える。
それは2019シーズンで松本自身が証明したことでもある。
シーズン序盤は池田のコンディション面もあり出場機会を得たが、両SBに高いポジションを取らせた上で後方から繋いでいくという森サッカーのなか、ビルドアップでGKの足元にかかる負担は大きく、危なっかしいプレーも多くて、このサッカーを志向するなら池田の方が有利だというのが正直な思いだった。
しかし6月からのカップ戦で連続して出場機会を得ると、足元の課題はみるみる改善し、逆にシュートストップやハイボールの対応などの長所の方がハイライトされるようになり、それらについては池田以上の安心感さえ与えてくれた。
改めてポテンシャルの高さを認識させてくれ、それを引き出すためにはやはり実戦経験だと確信させてくれた。
悔しいカップ戦の終わり方をして以降、出場機会のないまま我慢する日々は辛さもあっただろう。
それでもシーズン後半、ベンチからピッチへ向けて大きな声で仲間を鼓舞する姿は素晴らしかった。
池田がスタメンをキープし続ける今の状況で、出場機会を求めての移籍は致し方なく、寂しいけれどもポジティブに送り出してやらねばと思う。
いつまでも同じチームで一緒に闘いたかった。
しかしそれ以上にピッチでプレーする姿を観たい。
仙台でレギュラーの座を掴み、その能力をピッチで示してくれ。
そしてその先に、日本代表で活躍するような選手への飛躍を期待する。
どこでプレーをしようが、ずっと応援しているぞ。
以上。