正木コーチ 監督期間まとめ | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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前回の新体制に関する記事の中で予告した通り、コーチ陣の交代についても個別に触れたく、今回は正木コーチに関して、昨シーズン、監督として指揮を執っていた期間を振り返りたい。

まず初めに、暫定監督という色合いが濃かったことは理解するものの、短い期間とはいえ浦和レッズレディースの正式監督という肩書でチームを率いた正木さんの退任については、森監督の就任発表の中にさらりと入れ込むのではなく、トピックを割いて本人のコメントと共に発表すべきだということは言っておきたい。


さて、石原さんが契約解除になる直前の数試合、コーチである正木さんがテクニカルエリアに出て実質的に指揮を執っていた期間のモヤモヤは晴れることはない。
しかし正木さんにはコーチという立場での責任を問う必要はあろうが、その理由が分からない以上、この期間の結果に対する責任は監督という肩書きでベンチ入りしていた石原さんにあるとしたい。


次に、石原さんが契約解除になり、正木さんが監督に就任した時、当ブログでは以下の様に述べた。
「シーズンも終盤に差し掛かるこの次期にドラスティックに変えるより、チーム作りの経過や内情を知る人材を据えてシーズンを乗り切り、来期に向けてはまた然るべき判断をして仕切り直すという考え方でよいだろう」

ここでの論点は2つある。

まず、正木さんに求める成績のノルマについてだ。
”シーズンを乗り切り”という曖昧な表現を使ったことを後に反省したのだが、結論から言うと数値的な戦績についてはその期待に応えたとは言い難い。
正式監督として指揮を取り始めてからの戦績を振り返ると、リーグ戦では2勝2敗であり、就任直後の新潟戦での悔しい敗戦と客観的には格下の日体大に敗れたこと、またその2敗ともホームゲームで無得点だったことを考えると、間違いなく落第点だ。
皇后杯では下のカテゴリーのチームに対する順当な2勝と、準々決勝を勝ち抜いたことで合格点は与えられるが、準決勝については善戦したとは言え敗戦という結果に加点を与えるわけにはいかない。

二つ目に”来期に向けてはまた然るべき判断をして仕切り直す”という部分について、こちらはまだ残り試合があるということであえて曖昧な表現を選択したのだが、過去にも何度か述べた通り、そもそも成績不振での監督交代でそのチーム作りの一端を担ったコーチが監督に昇格するという人事に私は否定的であり、来シーズンへ向けては実績のある監督を新たに招聘すべきだということを意図していた。
新監督発表のタイミングは気に入らなかったが、2019年シーズンに向けての監督交代は肯定的に捉えている。


一方、正木さんのチーム作りについて目を向けると、短期間ながら”正木色”をはっきりと打ち出してくれたと考えている。
選手起用では安藤梢をツートップの一角に戻し、栗島朱里と佐々木繭のポジションを動かした。

またそれまで出番の少なかった遠藤優や大熊良奈、長嶋玲奈が使われ、それぞれ一試合ごとに成長を重ねながら一定の成果を残した。
戦術的には吉田監督時代を思い起こさせるサイドからのオーソドックスなビルドアップをベースとし、中盤の選手は前を向くと勇気を持って仕掛ける様になり、サイドをえぐる攻撃も増えた。
左右をコンパクトにした中で、ボールとは逆サイドの選手の絞る・開くという横幅の使い方の緻密さは女子サッカーをよく理解した監督ならではで、守備では逆サイドのSBがぐっと絞り、攻撃では逆サイドのSHがペナルティエリア内に詰めてゴール前の厚みを加えることも意思統一されていた。
縦ポンと忌み嫌われるやり方も、苦し紛れに蹴るのではなく安藤を活かして裏のスペースを突く、菅澤を活かして早めに高い位置に起点を作るという戦術的意図で主体的に蹴ることにより一定の効果をもたらした。

素人目に分りやすいことがベストではないかもしれないが、得点はおろかシュートさえ、いや仕掛けのボールさえ出なかった頃からの改善は大いにあった。
加えて皇后杯の準々決勝、準決勝では相手チームをしっかり分析して対処する意図も伺えた。

正木さんが監督としてやろうとしたサッカー、チーム作りは決して悪くなく、内容面ではどん底だったチーム状態から短期間でよく立て直したと評価したい。
この”やれた部分”についてはチームの、そして正木さん自身の財産として残してもらいたい。

さて、2019年シーズンは再びコーチに戻ることになったが、これについてはコーチとしての2年間の成果に対する責任と、森監督の意向がどうであったかという論点はあろう。
しかし決まったからには昨シーズンの失速を繰り返さないことはもちろん、タイトルを狙えるチームへと選手を、そして森監督をしっかりと支えてもらわなければならない。


引き続き頼んだぞ。