北川ひかる 移籍 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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おいおいおい、なんてこった。
絶句とはこのこと。
 
北川ひかる アルビレックス新潟レディースに移籍
 
あまりにも急で気持ちの整理がつかないまま書き始めるが、まずオフィシャルのコメントを読んで強く印象に残ったのは「考え続け、悩み続けた結果」の"続け"という言葉だ。
各年代別の代表にも名を連ね、フル代表にも呼ばれるほどの力がありながら、特に最近は怪我がちで安定した出場機会を得られず、また出場機会を得てもパフォーマンスが安定しなかった。
見ている私の方が「こんなはずじゃない。」「もっと出来るはず。」と我が事の様に悔しい思いをするのだから、本人の葛藤は想像を超えるものだっただろう。
 
振り返ると、特別指定での登録が決まった時は心躍る思いで、初年度から期待通りのプレーで沸かせてくれた。
特に吉田前監督のサイド攻撃を主体とするスタイルとは相性がよく、ディフェンダーながら攻撃の核として重宝され、それにしっかりと応えた。
 
足元の技術や左足でのキックの質もそうだが、彼女の最大の武器は闘争心だ。
1対1で強気に仕掛ける攻撃性、足元でも空中戦においても一歩も引かない球際の守備。
縦へ縦へ、前へ前へ、ボールへゴールへと獣の様に向かっていく姿勢は気持ちだけではなくプレーとしてしっかり体現され、多くのファンサポーターを魅了したに違いない。
「来週も観たいな」と思わせる熱いプレーは選手としての大きな武器である。
 
一方で怪我が多かったのはその闘争心が仇になった部分もあると推測され、愛情を込めて言うと私はそういう選手は好まない。
やはり選手はピッチに立たなければゼロである。
怪我をしにくい体作り、対人プレーにおける間合いや体の使い方、無謀な飛び込みを制す判断力などはこれから選手として大成していくための重要な要素となるだろう。
 
何よりもいつかこの逆境を乗り越えレッズレディースの選手としてピッチで躍動してくれる事を信じ心待ちにしていたので、本当にショックであり、簡単には消化はできない。
 
この時期での移籍という選択、アルビレックス新潟レディースという選択、その経緯や理由は知る由もなく、正直モヤモヤした思いが付きまとう。
しかしオフィシャルコメントの最後に書かれている「夢を掴み取るその日まで」という言葉を読むと観念するしかない。
 

最後に、いつの試合だったかも思い出せないが、心に焼き付いているシーンがある。
勝利のホイッスルがなった瞬間にスタンドに背を向け、少し控え気味に、しかし力強く両拳を握った後姿だ。
特別な試合ではなかったが、その瞬間、北川ひかるの熱いハートが透けて見えたような気がして忘れらない。
 
ありがとう、北川ひかる。