筏井りさ 現役引退 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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2017年シーズンの振り返りとして、得点にまつわる色々をまとめ始めていて、この選手の存在の大きさを改めて認識していたところであり、また本人の成長という観点でも代表招集で選手が抜ける試合の多かったリーグカップの時期から、チームを支える役割でなく引っ張る役割としてもその力を発揮し始め、頼もしさが増したと感じていた。

本来なら2018年シーズンへの大いなる期待としてコメントを送りたかったが、次のステージへの旅立ちに言葉を添えさせて頂きたい。

 

筏井りさ、現役引退。

 

振り返ると2年前のこの時期、思ってみない移籍にびっくりさせられたのが始まりだ。

すでにベテランの域に入ろうかという選手が、サッカーを学びたいという事で、全所属チームとは異なるスタイルのチームに飛び込んできてくれた。

 

ジェフ千葉時代のものをそのまま引き継いだ独特のコールを連呼して迎えた2016年シーズンの開幕戦はついこの間の様であり、遠い昔のことの様でもある。

本人がこの2年間でどれくらいサッカーを学べて、期待通りのシーズンを過ごせたのかは分からないが、私の方が筏井から学ばせてもらった事もあった。

 

元々は攻撃的なポジションを主戦場としていた選手だが、レッズレディースでは中盤の底を支えるポジションに収まり、気の利いたポジションニングと読みの鋭さでピンチの芽を摘むプレーには新たな発見があった。

そしてなんといっても得意のキックの精度は圧巻で、いくつもの美しいアーチで歓喜を与えてくれた。

特にプレースキックでは鋭く曲げるだけでなく、縦に落とす技術の高さでは2番手、3番手のキッカーを務める猶本光や北川ひかると比較しても圧倒的な違いがあり、それは壁を越えて直接ゴールを狙う時だけでなくFKやCKで味方に合わせる時でも明確な違いを生み出していた。

なでしこリーグ屈指の、いやNo.1のプレースキッカーだと称賛したい。

 

人間的にはインタビューなどを聞くと少しシャイで謙虚な印象を持つが、逆に練習やピッチ上では周りに気が配れる良きお姉さんという印象で、色んな選手に身振り手振りを交えながら話しかけるシーンがいくつも思い起こされる。

 

そして最後にもう一つ学ばせてもらったというか、思い出させてもらったことがある。

引退の公式コメントの最後に書かれている「伝統あるチームでプレーすることができたことをうれしく」という言葉だ。

残された選手、そして次の世代の選手たちにも、浦和というチームでプレーするという意味を心の片隅にではなく中心に据え、それを喜びに感じながらプレーしてもらいたいものだ。

 

そして筏井りさも間違いなくこの"伝統"の一部であり、大きな足跡の一つである。

 

赤いユニフォームを着て共に闘ってくれて本当にありがとう。