チームは既に始動しており、来週には恒例のなでしこ交流戦も予定されている。
当然新監督がどのようなサッカーを掲げ具現化していくのか楽しみではあるが、先に本題から少し外れた話をさせていただくと、オフィシャルHPでトレーニングマッチの結果を詳細まで公表していることには疑問を感じている。
他チームを見渡すと、TRMの情報を全く出さないチームから、スケジュールや結果のみ、得点者までは公表しているチームもあるが、スタメンに加えて選手交代や得点の時間まで、しかもシステムや各選手のポジションが予測できる形で公表しているのはレッズレディースくらいではないか。
ファンサービスとしては一定の価値があり、私自身もその恩恵を受けていることは否定しない。
また土・日・祝日の練習は非公開ではないので他チームが偵察しようと思えば可能だ。
しかし他チームと比較しても過剰な情報であることは間違いなく、自ら他チームへ提供する必要はない。
公表されなくなったら寂しくなるであろうことにジレンマは感じるが、その分公式戦で結果を出してもらえればそれで良い。
(という話を書いていたら、ラジオ放送REDS WAVEでも同じような情報が流れてなんだかなだが)
さて、ここからが本題。
■石原孝尚監督就任
まず、オフシーズンでの監督交代でコーチが繰り上がることを私個人としては好まない。
昇格して良いのは監督が勇退するケースくらいであり、今回はこのケースに当たらない。
前任の監督が成績不振で交代するケースではそれを支えてきたコーチ陣も責任を負うべきで、昇進なんてもってのほかでありコーチとしてそのまま残れたとしても減給されて然りだ。
もしコーチから繰り上がった新監督が前任と異なるサッカーなどし始めたらさらに苦笑で、その人は果たしてコーチとして適任だったのかという議論をしなければならない。
今回のケースも次期監督就任を想定したコーチ招聘だったのではと勘繰ってしまうが、もしそうなら彼はコーチとして吉田監督の成功を全力でサポートする必要があったのかという疑問が生まれてしまう。
一方でプロ契約ではない女子サッカー選手は特に、監督との信頼関係がチーム残留の大きな要素になり得るのではないかと考える。
新任の監督が気心の知れた信頼できる元コーチであるならば、選手たちは安心してついて行くことが出来るのかもしれない。
さて、2016年シーズンの石原コーチの手腕を振り返ると、当然チームとしての結果が悪かったのだから合格とは言えない。
試合中は主に長井コーチが吉田監督の相談役になっている様に見受け、石原コーチは控え選手の面倒を見ている印象が強かった。
また練習では選手個々にマンツーマンで話をされている印象はあるが、あまり身振りて手振りで細かい指導をされているような様子には感じなかった。
石原コーチが就任して外見から一番変わったのは試合前のウォーミングアップメニューとその時に選手たちにしっかりと声を出させることで、ウォーミングアップ前にエンジンを組んだり、そのエンジンにサポーターも混ぜたりとメンタル面でのマネージメントには好印象を持つ。
どちらかと言うと監督とは距離を置いて選手やサポーターと近い立場で関わっていたような印象だ。
ただ監督業となると引き締めるところは引締め、コーチに任せるところは任せ、例えばチームが不調の時に仲良しチームの一員として混ざるわけにはいかず、結果が出なければファン・サポーターの批判の矢面にも立たなければならない。
コーチとして築いた選手との良い距離感と、監督しての威厳と責任をバランス良く使い分けてもらいたい。
当然、最も注目すべきは戦術面や選手起用だ。
上で述べた様に結果の出なかった吉田前監督のサッカーをそのまま引き継いでも仕方ないし、全く違うサッカーになっても疑問符だ。
コーチから監督に昇格したメリットとしては、チームの強み弱みをここまでの経過も含めて把握しているところで、強みを伸ばし弱みに的確にメスを入れるようなチーム作りが自然だろう。
新加入選手記者会見などのコメントでは攻撃的なサッカーを目指すということで、ボールをつないでポゼッションを高めながら多くの得点を取り、守備では前からプレスをかけてボールを奪いきるということだ。
そのアプローチを要約すると、選手個々の特徴や適性を見極め、さらなる成長を促しながら調子のよい選手を積極的に使ってチームを活性化させていくということだろう。
前監督のテイストを残しながら、不満のあった"選手の固定と序列"の部分を改善していく様なポジティブなイメージを持てる内容である。
それを具現化させていくにあたり、会見における新加入選手たちの特徴を良く捉えたコメントは、ユース年代も含めチームを継続的に見守ってこられたファン・サポーターもまずは頷くに足るものだろう。
当然、過去2シーズンの不甲斐ない成績と試合内容を繰り返すわけにはいかず、その責任をしっかりと受け止めて結果で応えていただかなければならない。
まずは開幕へ向けて現時点ではフラットに、しかしながら楽しみに見守っていきたい。
以上。