第4回なでしこ交流戦 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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浦和レッズレディースのブログ、観戦記。
女子サッカー、なでしこの話題。

久しぶりの更新になった。

なでしこ交流戦が終了。

すべての試合を観たわけではないが、レッズレディースについて感じたことを述べたい。


■試合結果

レッズレディースの戦績は3勝1分3敗 。


最初に会場に足を運んだ時にふと頭に浮かんだのは吉田監督就任当初のトレーニングマッチで漏れ聞こえてきた言葉。

「どんな試合でも勝たなければならない。」ということ。


負け癖の付いたチームに勝負に対する執着心を植え付けるための言葉と捉えるが、優勝した次のシーズンでもあるし、この交流戦が"2014年のチームにさらなる上積みをすれば勝てる"ではなくて、"1勝のために何をしなければならないのか"ということをもう一度見つめ直す機会になればよいと考えている。


ただ、少し矛盾するが今回の結果自体はあまり心配していない。

色々なパターンでの勝ち負けがあったことは前向きに捉えたいし、これを開幕までの強化に活かしていければいい。



■出場選手の偏り

ひとつ心配なのはここ。

まったく姿を見せなかった選手、帯同はしているが練習に参加していない選手、ボールを蹴る姿は見られたが試合には出ない選手、交流戦前半は出場したが途中から出なくなった選手、コンディションを見ながら出場時間が制限された選手、そしてほぼフルタイムで出場を続けた選手。


どのチームも近い状況があるかもしれないが、レッズレディースは全体的に怪我人が多いように見受けられ、特に2014年シーズン主力として活躍した選手たちの出場時間が限られたのは心配なところ。



■試合内容とチーム作りの方向性

上記の通り出場選手が限られたこともあり、狙っていた強化ができたか不明だが、攻守の切り替えについてはかなり強調されているように感じられた。

ただし体力的にかなり追い込んでいる時期でもあり、その切り替えは昨年のシーズン中に比べてかなり劣る印象で、そのため局面で後手を踏んでビルドアップが詰まってしまうシーンが多かった。

これについては一度追い込んだ後に徐々にコンディションを上げていけば問題ないだろうが、それもあってか連携面の強化があまり進まなかった印象だ。


その連携面、戦術的な取り組みについてだが、当ブログの昨シーズンの交流戦の記事を読み返すと、戦術的に取り組んでいそうな項目を7つほど挙げている。

しかし、今回は私の目に特徴的に映った戦術的取り組みは、攻守の切り替えとラインの押し上げ以外なかった。

加えて即戦力で考えているであろう長船の不参加を始め、昨シーズンの主力である三知や高畑の出場時間も少なく、猶本も全く出場できていない状況は連携面の強化には大きなロスだ。


よって、選手の起用法や個々のプレーぶりにフォーカスせざるを得ないが、これについては乗松の右SB、岸川のCB、清家の右SH、ハナのボランチ起用などが特徴的で、それぞれ適性や適応能力を見極めているように感じられた。

ただ視野が180度から90度に制限された右SBの乗松は窮屈そうだったり、清家はポジショニングと飛び出すタイミングに迷いが感じられたり、昨シーズンから継続のハナのボランチ以外はまだまだ個の適応やコンビネーションを深めていく必要がありそうだ。


また、最終戦となったジェフ戦では大差で敗れたこと自体は気にしないが、リードされてから点を取りに行くための気迫や工夫が感じられなかった。

先日、2014年シーズンの振り返りでも書いた"Rolling stone"の状態に陥っていた。

肉体的に限界に近かったであろうことは理解するが、ジェフが後半メンバーを大幅に変えたとはいえ、試合終盤まで猛烈な運動量でプレスを継続して、交流戦を"らしい"サッカーで締めくくったのとは対照的。


チーム作りに関しては課題の残った交流戦と言わざるを得ない。



■個々の選手について

個々の選手で一番成長を感じたのは田尻。

元々もっている瞬発力やコーチングの良さにキャッチングやキックの質、判断の改善も感じられ、安心して観られるようになった。

ポジション争い的に厳しいのは間違いないが、さっこや平尾にプレッシャーを与えられる存在に成長してもらいたい。


最も出場時間が長かったのは岸川。

正直怪我がなくてよかったと思う。

コンディションの確認はしているだろうが、スタッフの起用法には苦言を呈したい。

ただ岸川本人は本当によく頑張ったし、肉体的に辛かったであろう中でも周りに対して時には厳しく、よく声をかけてチームを引っ張る意識を見せてくれた。


長期離脱から復帰した藤田のぞみ。

無理はさせないということでハーフタイムの出場に留めたと推測するが、コンスタントに試合に出場して元気な姿を見せてくれた。

プレー自体もブランクを感じさせず、ガツガツしたプレーも健在。

ただ長いシーズンを考えた時にはある程度怪我も想定したチーム作りをしなければならない選手なのかなとは思う。


新加入の白木星。

即戦力、スタメン候補として早くチームにフィットさせようとする意思が感じられた。

狭いエリアでのポストプレー、裏への抜け出しやシュート意識の高さなど、持ち前の技術の高さとプレーの幅をこの交流戦の中でも発揮してくれた。

何度かの決定機を決めきれなかったが、入団して間もないこの時期でのフィット感は大いに期待させるものだった。


ちばみの、大戸、りなぞう。

2014年シーズンは出場機会のなかった3選手だが、この交流戦では多くの出場機会をもらい課題と収穫が明確になったのではなかろうか。

ちばみのは対人プレーでは反応の速さとガツガツ行く対応が出来たが、ビルドアップの質はまだまだ。

大戸は攻守の切り替えに課題があるが、ボールを持った時にコンマ数秒タメを作って視野を広く取るプレーはユース時代からの特徴だ。

りなぞうは元気なコーチングと思い切ったプレーを出せていたが、技術的にもう一段精度を高める必要があるだろう。


練習生。

クラブからの試合結果にも記載されている通り1名参加している。

柄にもなく空気を読んで名前は伏せておくことにするが、左目の下に酷い青あざを作りながら意欲的にプレーしていた。

守備とポジショニングの課題と、まだ遠慮がちな様子も伺えたが、もし登録されるなら面白い戦力となりそうだ。



■まとめ

一言で言うならば期待よりは不安の方が大きい交流戦だった。

試合結果については全く気にしていないが、怪我人が多そうなのと戦術的に何をトライしようとしているのか見えてこなかった。


ただネガティブになっても仕方がない。

昨年もコンディション的に厳しい中での交流戦からその後の成長、改善が非常に大きく、開幕戦は結果だけでなく素晴らしい内容だった。

今は課題が多く出たとことをポジティブに捉えて前に進むしかない。


必ずうちの選手たちならやってくれるよ。



以上。