その日は 朝から憂鬱だった…


通い初めて
一年余り


行きたくない日が…いや 行きたくない時間帯がある…



いつもは、3時に予約を入れてあるのだが

たまに…母の仕事の都合で4時半からの時があるのだ


病院へは4時に着いた


病院内から渡り廊下を歩いて
別棟にあるカウンセリングセンターへ行く…


受付を済ませ
プレイルームで待つ…

時計を見ると
4時15分を過ぎた

まだかな…
まだ呼ばれない


4時25分をまわっても まだ呼んでくれない…
もうすぐ4時半になっちゃうよ~



この別棟は
今はカウンセリングセンターとして改装されているが、おそらく その前は病棟として使われていたんだと思う…



4時半になると
入ってくる 嫌な人がいるのです…

手に点滴の瓶詰めを持ってチューブを垂らしながら
薄汚れた白衣の
看護婦が…


青白い顔に
鬼のような形相で点滴患者を探す姿が恐ろしい…


もう来るっ
ドアドアが開いて
入ってきたあせる


わぁーお人形さんもある~


下を向いたままチラッと見ると赤い靴が見えた…


ほっとして…

手元の腕時計腕時計を見ると
4時半だ…


ちょっと顔を上げて女の子の立っている足元を見ると後ろに白い靴が見えた


きたっ

自分は下を向いたまま

じっとしていた


決して目を合わせられない


つっつっつっ て入ってきた


部屋の中を つっつっつっ て点滴患者を探して回る

先ほど入ってきた女の子は、人形やぬいぐるみを置いた一畳ほどのスペースに靴を脱いであがって遊んでいた…


その子の方へ
つっつっつっと寄って行った


今のうちにプレイルームを出よう どうせすぐに名前を呼ばれるだろうし 受付で話込んでる母のところへと思い立ち上がろうとした時…


入り口の向かって右側の本棚の横に もう1人女の子がいた…
本棚に隠れるようにして
しゃがみこんで…今にも泣き出しそうだ
可哀想に彼女も
あの看護婦を怖がっていた…



次回つづく…


あの頃は純真無垢な子供だったので…


お父さん お父さん プーちゃんがいるよ!!


と言っても父は起きなかった…


父のそばにちょこんと座るプーちゃんに


こっちおいで と いつものように
両手を伸ばすと
自分の所にやってきて膝の上に座った…


よしよし


首の下を撫でてやると自分の手を
ペロペロなめてきた



誰に連れてきてもらったの?獣医の先生?ひとりできたの?


答えるわけでもないのに
そう質問しながら何だか、いとおしくなり顔を近づけると やっぱり臭い…

でも その時は病院の匂いもまじっていた…

父がびっくりさせようって 黙って連れてきたのかなあ とも思ったが
別に気にも止めず
いっしょに寝よ

って言って寝袋の中に入れようとしたら飛び出した!

そっか トイレさせなきゃひらめき電球


母に トイレさせてくるねって言ったら


ひとりでいける?

って寝たまま聞いたので


うん 大丈夫!!


って言ってプーちゃんとテントを出た

外は夏なのにひんやりとして肌寒かった


自分はプーちゃんについて行った


しばらく草むらやそこいら辺を
クンクンかぎまわっていたが いくら待っても用をたさない…


プーちゃんないの?まだあ?出ないね…
もう入ろう


呼んでも来ないので抱きかかえて
テントに戻った


当時プーちゃんは8キロはあったか…なので 結構おもかった…


テントに入って寝袋にプーちゃんと一緒に入って眠った…

朝 起きるとプーちゃんはいなかった!
両親に言っても
まったく信じない

自分でも夢か現実かわからなくなって…

帰りの車の中で
母の携帯に電話がかかってきて…


プーちゃんの
急死の知らせだった…

何で?まだ 家に来てから4年ほどなのに…


結局、直接の死因はわからず…

ただこの年は
今ほどの猛暑ではないが
例年より暑かった
パグは暑さに弱い犬で この年たくさんのパグが死んでしまったらしい
家に帰ってから

いつプーちゃんを迎えに行くの?
って聞いたら…
獣医さんに処分してもらったっていうのだ…


自分は てっきり
家に連れて帰って
お墓をつくってあげるのだと思い込んでいたので
すごくショックだった…


プーちゃんは
お別れに来てくれたんだよ
お父さんの寝てる頭の所にずっと座って見てたんだよ
それなのに
それなのに

って泣きながら
両親を責めたのです…

でも たまに お父さんの足元に
プーちゃんの姿が見えていたので

良かった~

プーちゃん
お父さんの事
怒ってないんだ…って安心したのを今でも思い出します…

夏休み…

自分は大阪の祖母
宅に預けられてい



最後の三日間は
両親が迎えに来てそのまま

長野県のオートキャンプ場へ



家族で過ごす夏休みの思い出…


キャンプと言っても AC電源付きのサイトで

炊飯器で米を炊き
ガスで料理する母
父はラジオを聞き
ながら新聞を読み
ゲームボーイをする自分…

自宅と変わりない
ただ寝室がテントDLKがターブというだけだ…



その年も長野県のキャンプ場へ


我が家には
飼い犬のパグがいたが毎年のキャンプの時は
掛かり付けの動物病院へステイさせてもらっていた…

別に愛犬を同行させても何ら問題はないのだが…
両親にとっては
唯一、自分と過ごし絶好の子供孝行の機会だから…


夕食を終え コーヒーを飲みながら星を眺めて雑談していた…


夜の10時をまわっ
た頃…

カサカサカサカサテッテッテッテッ
という音が聞こえてきた…

何の音?

最初に気づいたのは母だった…

父が タヌキか何かが来たんだろう
やだあ!生ゴミ捨てとかなきゃ
母に着いて一緒に捨てにいった


帰ってくると
父は もうテントの中にいた…

しばらく母と雑談していると

また

カサカサ聞こえてきた…

で犬わんわんの臭い匂いがしてきたので

どこかの家族が
わんわんを放して散歩させているんだろと思った…


実をいうと、
自分は動物が苦手だ
苦手というか
あの獣臭さが嫌い

うちのパグでさえ毎日shampooしてきれいにしてやっていても
あの獣臭さは消えない…

両親は臭くないというので
自分の鼻が敏感過ぎるのかも…


テントに入ってから少し眠り

またあの音が聞こえてきた…

今度は
テッテッテッテッという動物の足音


キャンプ場内の
通路には、所々街灯があって
テント内を真っ暗にしても外は
薄明かるい…


テッテッテッの
足音は自分達のテントに近づいてくるようだった…


寝ている頭の方から見ると街灯の灯りに照らされて影が映る…


やっぱり犬わんわんのようだ…


母を起こした!


どこかの犬わんわんね 大丈夫荒らされるものはないから…

と言って寝てしまった…

自分は寝付けず

しばらく寝返りをうったり寝袋のチャックを上げ下げしたり…どうも気になる…


そう思ってたら
またあの嫌な匂いがしてきた…


臭っ!!


うちのプーちゃんみたいな…


プーちゃんは飼い犬の名前


犬を飼う時、自分はプードルが欲しかった…
でも父がペットショップから買ってきたのはパグだった…


ペットショップでプーちゃん(パグ)を見つけて
あまりにも可愛いくて買ってきたのだ…

自分はプードルが欲しかったと抗議したが、結局 パグを飼う事になった…

せめて名前をプードルのプーにしようという事にして無理やり納得させられた…


子犬の頃は 可愛いくもあったけど成犬になると

寝る時は犬なのに豚ばなのイビキをかいて いつも鼻水をたらして
顔もしわしわ潰れたべちゃ鼻がどうにも可愛いとは思えず

だから父が一番可愛がり父に一番なついていた…


そのプーちゃんの匂いがする

おかしいなと思い寝袋のチャックをお腹まで開けて
起き上がった時


母の向こう側に寝ている父の頭の所に プーちゃんがちょこんと座ってるのが見えたのです…


次回つづく…