そうは言っても、歳が離れすぎてる、という現状が、あたしにはどうしても高い壁だった。
この子と居るときは、もう少ししっかりしないと。
何事につけ気張るあたしを、ヒカルの方が余裕を持って見ていたんじゃないかと、今は思う。
そう考えると、やたら年齢を気にして ―― 意識して言ったことの数々が思い出されて、少し恥ずかしい。
恥ずかしいのはそれだけではなくて・・・。
ヒカルと穏やかに過ごす夜は、楽しくて嬉しくて、感情が昂る。
このあいだ一度だけ話した、あたしたちに似た境遇にあった人・・・マモルと名乗ったあの人に宣言したように、困難でも年の差でもなんでも来い。全部乗り越えて、あたしはヒカルの傍に居るぞ。と本気で思う。
ヒカルに会えなかった夜は、静かで永くて、さみしい。
忽ちにして、あたしがヒカルの傍に居ることは、ヒカルにとってよくないことなんじゃないか、と思い始める。
顔を合わせたりして、今よりもっと深く、強く、ヒカルのことを想うようになってしまう前に、ヒカルの前から・・・。
もうヒカルには会わない方がいいかもしれない、と思いながらもまたここでヒカルを待ってしまう。
ヒカルに会えれば、そんなことを考えていたことなんて思い出しもしない。
会えなければ、落ち込みの度合いが増して・・・。
何度もそんなことを繰り返していても、感情の振幅は、その幅を縮めない。
ここしばらく、すっかり気持ちが波立つこともなかったあたしには、この感情の上下が、少し怖いものに感じられてしまう。
オトナになったら、誰かを想う気持ちなんて、穏やかで落ち着いたものになるんだろうと思っていたのに。
あたしの感情は、たったひとりの人を想って、喜怒哀楽をより激しくしていた。
―― オトナとはとても思えない
自分の思うオトナ像とはかけ離れたオトナになってしまったということが、誰にというわけでもなく、恥ずかしい。
それでも、今日もあたしは結局ヒカルに会いたくてここに居る。
そんなことを考えているうちに、あたしはすっかり黙り込んでいた。
「あのね、アマネ」
ヒカルの手は、ずっとあたしの手と、あたしの心を握っていてくれた。
「・・・うん」
「いつか、アマネがオレのこと、好きって言ってくれるように」
「・・・うん」
「オレ、その言葉に相応しい男になろうって・・・決めてたんだ」
「・・・ヒカル・・・くん」
「だから今日、オレが先に好きって言ったけど、さ」
「・・・うん」
「アマネもそう言って・・・好きって言ってくれたってことは、オレ、アマネのその言葉に相応しい男に、なれたのかなって・・・思うんだ」
ヒカルのその言葉に、あたしは応えたくて、言葉を探す。
いつも、あたしが黙り込んだり、言葉に詰まったりすると、ヒカルはそんなふうにして他のことを考えさせてくれる。
言葉を惜しまないヒカルが、とても愛しい。