小さい頃から、バレエや音楽のように、人からの評価で左右される世界にいると、自分の価値を自分で認めることが苦手になり、大人になっても他人の評価に心が揺さぶられやすくなると感じます。

 

拍手の大きさ、教師の言葉、コンクールでの順位や点数。

それらは、自分の努力だけでは決まらないものです。

 

スポーツだったらタイムや距離や高さ、勉強だったらテストのように、自分の頑張りが比較的そのまま結果として表れやすいものとは少し違い、芸術の評価には、その日の教師や審査員や観客の気持ち、会場の空気など、自分ではどうにもできない要素がたくさん含まれています。

 

だから私は、芸術に携わる人は、幼い頃から他人の価値観の中で育ってきた人が多いと思っています。

 

とはいえ、プロになれば、お金を払ってくださるお客様に喜んでいただけるものを届ける責任もあるので「価値を感じてもらえる表現」を目指して努力するのは、すごく自然なことですし、評価が気になるのも当然です。

 

でも、だからこそ難しいんですよね。

 

認められれば安心し、認められないと不安になる。

 

そんな心の動きを、多くのダンサーや音楽家の中に見てきました。

 

大切なのは「評価に揺れないこと」ではなく、「評価に揺れても、自分の価値観に戻れること」

 

うまくいく日があれば、思うようにいかない日もある。

褒められる日があれば、認められていないように感じる日もある。

そのどちらを経験しても、いつも自分の中に戻ってこられる場所があると、それが心の安定につながっていくように思います。

 

その「戻る場所」は、ストレスがある状態だと見つけにくいのですが、少しリラックスして、自分の心に耳を澄ませたときに見えてくると思います。

 

例えば、私は何が好きで、この世界に入ったのか。

どんなきっかけで、この道を選んだのか。

うまくいく日も、うまくいかない日もあったけど、ここまで歩いてきた自分がいます。

 

結果を出したいと思う気持ちは、とても自然なものです。

その気持ちがあるから努力できるし、成長もできるので、その気持ちを否定する必要はありません。

 

でも、それだけで自分の価値を決めてしまうと、うまくいっていない時など、心はまた大きく振り回されてしまいます。

 

だからこそ、ときどき「結果を追いかけている自分」とは別に、「ただここにいる自分自身」を思い出してあげてほしいのです。

 

うまくいった自分も、うまくいかなかった自分も、どちらも同じように、今日を一生懸命生きている自分だから。

 

その感覚が少しずつ育っていくと、評価が変わっても、自分という存在まで揺らぐことは少なくなっていくのではないでしょうか。

 

また、評価に揺れることは、悪いことではありません。

それだけ真剣にこの世界と向き合っている証拠だからです。

 

だからこそ自分を責めず、ただ優しくその事実に気づいてあげて、そして自分が本当に大切にしたいものへ、静かに戻っていけたらと思います。

 

その「戻る道」を、いつも心の中に持っていたい。

 

私自身も、そんなふうに考えて生活しています。