こんばんは。
2月9日(火)に東京国際フォーラム ホールAで行われた、中島みゆきさんのコンサート「一会(いちえ)2015~2016」にお邪魔してきたので、今日はそのお話をしたいと思います。
以前、このblogで、中島さんへの僕の想いは書いたことがあるので興味のある方は読んでいただきたいのですが、実は僕は中島さんの歌を生で聞いたのは今回が初めてでした。
僕が中島みゆきさんの名前を意識したのは、ご自身のレコードセールスが伸び悩んでいたと言われる1980年台後半に工藤静香さんの「MUGO・ん…色っぽい」、「黄砂に吹かれて」、「慟哭」の作詩や柏原芳恵さんの「春なのに」、「最愛」、「カムフラージュ」などの作詩・作曲家としてでした。他のただ可愛いだけのアイドルの曲にはない、哀しみの中にも強さを秘めたどこか神秘的な女性を描いた詩に触れた時です。
それまでも再放送で見た、TBS系ドラマ『3年B組金八先生』の劇中で使用され、大きな話題を呼んだ「世情」という楽曲を歌っている人だとは知ってはいましたが。
1990年代に入ると日本の音楽業界では、テレビドラマやCMとのタイアップによってミリオンセラーを記録するシングルが数多く生まれます。大物アーティストが次々とドラマ主題歌を手がけるようになり、中島さんもフジテレビ系列ドラマ『親愛なる者へ』の主題歌「浅い眠り」や安達祐実さん主演の日本テレビ系列『家なき子』の主題歌として「空と君のあいだに」を書き下ろされました。
この2曲のシングルは何度も聞いていましたね~。中島さんの力強いボーカルに胸を鷲掴みにされたんですよ~。「空と君のあいだに」はアレンジが素晴らしいですよね。
僕もお年頃になり(笑)、アルバイトで買った自分専用のTVやCDコンポが部屋を飾るようになり、好きなCDも買えるようになったこの時期、中島さんのアルバムを次々と集めるようになりました。
今回のコンサートでは「浅い眠り」を歌ってくれたんです~。嬉しかったですね~。初めて聴いた時と変わらぬというより、当時より力強く美しい歌声に痺れました~(笑)。
「浅い眠り」
ああ二人気づかない
失ってみるまでは
誰が一番ほしい人なのか
何が一番つらいことなのか
恋しさはこわれもの
切なさはこわれもの
他人じゃないならなおさらなおさら
僕は長年、グラフィックデザインの仕事をしていました。デザインの仕事はとても時間が不規則で、何時に仕事が終わると決まっているわけではなく、仕事帰りに映画を観るとか、お芝居を観るとか、コンサートへ行くとかが気軽にできる職種ではありません。器用に時間を調節して、仕事と遊びを両立しているデザイナーさんもいるかも知れませんが、僕は不器用だったんでしょうか、いつもいつも時間と締め切りに追い立てられる生活をしていました。
なので行きたいライブやコンサートがあったとしても泣く泣く諦めていました。僕の代わりはいないんだという責任感からですね。
だいたいライブやコンサートって平日の夜に行われることが多く、中島みゆきさんのコンサートもチケットの抽選に当たることもないだろうし、もし当たっても行けるはずもないと長年諦めていたのです。
現在はグラフィックデザインの仕事をしていないので、時間の余裕も出来、都合も付けれる環境になったので、そんな僕をいつも不憫に思ってくれていた友人が今回のチケットをゲットしてくれたのです。
その友人も中島みゆきさんの大ファンで、今まで、何度も中島さんのライブには参加していたそうですが、今回、僕と一緒に参加できることをとても喜んでくれました。感謝です。
昨年の11月11日に、中島さん通算41作目となるオリジナルアルバム『組曲(Suite)』が発売されました。今回、コンサートに誘ってくれた友人は発売当日に購入し、自分が携帯音楽プレーヤーに録り込んだ後、即、僕に貸してくれました。「コンサート当日までに予習しておいて」と。
【組曲(Suite)】収録曲です。
1.36時間
2.愛と云わないラヴレター
3.ライカM4
4.氷中花(ひょうちゅうか)
5.霙の音(みぞれのおと)
6.空がある限り
7.もういちど雨が
8.Why & No
9.休石(やすみいし)
10.LADY JANE
今回のコンサートではこのアルバムから「ライカM4」、「空がある限り」、「Why&No」の3曲を歌ってくれました。
このアルバムジャケットがまた素敵なんです。中部国際空港を深夜、貸切にして撮影されたそうです!空港を貸し切るとは流石は中島みゆきさんですね(笑)。
制作陣は、25年来、中島みゆきさんの音楽面を支え続けるプロデューサー瀬尾一三さんによるアレンジで、レコーディング & MIXエンジニアにはデイビット・ソナー。そして今回新たにマスタリング・エンジニアとして名匠スティーブン・マーカッセンが起用されました。
中島みゆきさんのアルバムは何かをしながらたださらりと流しておくだけなんて出来ない、じっと耳を傾けざるを得ない力があって、今回のアルバムもとても感情を揺さぶられる濃密な時間をいただきました。
特に5曲目の『霙の音』という曲は中島みゆきさんにしか表現出来ない女の凄味を感じる曲で感動しました。この曲はいつか生で聴いてみたいですね。
中島みゆきさんの曲を聴くと、心の中にある寒々とした寂寥感を感じたりするのですが、どこかそれを冷静に受け止め、笑いとばしているような突き抜けた明るさもあり、中島さんってどんな人生をおくってきたの?といつも思います(笑)。
「Why & No」という曲も激しいんですよ~(笑)。その時自分が思った感情や言葉を曲にし、叩きつけるように歌う中島さんってもう凄い人だーって思うしかありません。
今回のコンサート「一会(いちえ)」はアルバム『組曲(Suite)』発売の翌日から始まったんです。初めて生で見た中島さんは吉祥天のように美しく、夜叉のように力強く、不動明王のように気迫に満ちていました。カッコ良かった~(笑)。
会場は東京、丸の内にある東京国際フォーラムの中でも最も大きなホール「ホールA」です。2層構造をもつ劇場形式で、座席数は世界でも有数の5,012席。少し大きすぎる気もしたのですが、その大きさに負けることない中島さんの圧倒的な歌声にやられっぱなしでした。
◎セットリストです。
第一部(Sweet)
1.もう桟橋に灯りは点らない
2.やまねこ
3.ピアニシモ
4.六花
5.樹高千丈 落葉帰根
6.旅人のうた
7.あなた恋していないでしょ
8.ライカ4M
9.MEGAMI
第二部(Bitter)
10.ベッドルーム
11.空がある限り
12.友情
13.阿壇の木の下で
14.命の別名
15.Why&No
16.流星
17.麦の唄
第三部(Sincerely Yours)
18.浅い眠り
19.夜行
20.ジョークにしないか
◎ミュージシャン
Conductor:小林信吾さん
キーボード:小林信吾さん
キーボード&サックス:中村哲さん
キーボード&マニュプレーション:飯塚啓介さん
ギター:古川望さん
ギター:福原将宣さん
ドラム:島村英二さん
ベース: 富倉安生さん
パーカッション:三沢泉さん
Vocal:杉本和世さん
Vocal:宮下文一さん
Vocal&ギター:石田匠さん
バイオリン:牛山玲名さん
バイオリン:田島華乃さん
バイオリン:中島優紀さん
バイオリン:民谷香子さん
バイオリン:越川歩さん
チェロ:友納真緒さん
チェロ:関口将史さん
今回は、3部構成で、第1部のサブタイトルは~Sweet~、第2部が~Bitter~、そして第3部が~Sincerely Yoursとなっていました。
僕が第1部で不覚にも涙したのは「あなた恋していないでしょ」という曲です。
こんな歌詞です。
◎「あなた恋していないでしょ」常夜灯(2012年)
あなた恋していないでしょ わざと恋していないでしょ
失敗しない人みたい 心の揺れない人みたい
鋼(はがね)で出来た鎧(よろい)は脆い
涙ひとつで踏み誤った
冷たい男になりたくて 寂しい男になったのに
それも悪くないかもね それで恋していないのね
僕という男をズバリ言い当てられた感じがして、涙がどっと溢れてしまって自分でも驚きました。大好きな一曲です。
第1部は、1988年発表のバラード「MEGAMI」で幕を閉じ、20分の休憩後、第2部がスタート。
第2部のスタートは、オールナイトニッポンのテーマ曲として、あまりにも有名な軽快なトランペット演奏の「ビター・スウィート・サンバ」が鳴り響き、DJブース風のセットから中島さんが登場し、いつもの甲高い声で「オールナイトニッポン!」とコールした後、開演前にお客さんから募集したメッセージを、ラジオ同様に面白おかしく読み上げていくコーナーから始まりました。会場のロビーにメッセージを書く場所が設置されていて、友人も書いていましたが読まれませんでした~(笑)。
楽しいおしゃべりが終わった後は舞台が暗転し、中島みゆきの歌の世界が始まります。
第2部で印象深かったのは…
◎「友情」臨月(1981年)
この世見据えて笑うほど
冷たい悟りもまだ持てず
この世望んで 走るほど
心の荷物は軽くない
救われない魂は
傷ついた自分のことじゃなく
救われない魂は
傷つけ返そうとしている自分だ
◎「命の別名」わたしの子供になりなさい(1998年)
何かの足しにもなれずに生きて
何にもなれず消えて行く
僕がいることを喜ぶ人が
どこかにいてほしい
石よ樹よ水よ ささやかな者たちよ
僕と生きてくれ
くり返す哀しみを照らす 灯をかざせ
君にも僕にも すべての人にも
命に付く名前を「心」と呼ぶ
名もなき君にも 名もなき僕にも
◎「麦の唄」問題集(2014年)
なつかしい人々 なつかしい風景
その総てと離れて あなたと歩きたい
嵐吹く大地も 嵐吹く時代も
陽射しを見上げるように あなたを見つめたい
大好きな人々 大好きな明け暮れ
新しい「大好き」を あなたと探したい
私たちは出会い 私たちは惑い
いつか信じる日を経て 一本の麦になる
命や愛の尊さや重さをただ叫ぶのではなく、繊細に聴く者の魂に毅然と優雅に届くように歌う中島さんが本当に素敵で感激しました。
1996年に発表された「阿檀の木の下で」という曲も心に残りました。アルバムで聴いた時はわからなかったこの曲に込められた深い意味を今回のコンサートで知ることができました。こういう社会的メッセージが込められた曲を押し付けがましくなく、さらりと染み入るように歌える人は他にはいないですね。
衣装も巫女のような白いドレスで神々しかったです。
どの曲を聴いても、目頭が熱くなりっぱなしでした。
第3部のラスト曲にも感動しました。コンサートの締めくくりにふさわしい選曲でした。「ジョークにしないか」 問題集(2014年)です。
こんな歌詞です。
笑ってくれましたか それならいいんです
驚き過ぎると笑うしかないですよね
笑ってくれましたか 黙らないでください
構えさせてしまった 深い意味はないんです
愛について語ることは 私たちは苦手だから
明日また会えるように ジョークにしないか
きりのない願いは ジョークにしてしまおう
素敵な詩ですよね~。涙涙です。
今、僕を歌で泣かせるのは中島みゆきさんしかいません(笑)。
僕は今回、中島みゆきさんのコンサート初体験でしたが、選曲が素晴らしいと思いました。観客が内心、歌ってほしいなと思っているような「糸」や「時代」や「わかれうた」などのヒット曲はあえて取り上げず、自分が今、伝えたいと思った楽曲だけを厳選されたんだなという感じがして、中島さんのアーティストとしての強いこだわりが伝わってきました。
歌姫と呼ばれる若いアーティストは何人かいらっしゃいますが、まだまだ「歌姫」と呼んでいい唯一のアーティストは中島みゆきさん以外にはいないと確信しました。
年を重ねるごとに。重ねただけの力を蓄え圧倒的なパフォーマンスで僕たちを魅了する中島みゆきさんは本当にカッコイイです!
魔物かもしれませんね(笑)。
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