こんばんは。
今日は今更ながら恐縮なんですが、昨年の「第66回NHK紅白歌合戦」を見て、ぼくが感じたことを書いておこうと思います。
「ザッツ、日本!ザッツ、紅白!」がテーマでした。
今回のチーフ・プロデューサーであるNHK・柴崎哲也氏はこうおっしゃっています。
『今年は戦後70年、放送90年という節目の年で、さらに5年後には東京五輪が控えています。アーティストのみなさんもそこに向けて、どうメッセージや文化を発信していくか、意識的になってきているなと感じているところです。もちろん海外から注目される機会が、今後はより増えていくだろうと思います。だからこそ「ザッツ、日本! ザッツ、紅白!」というテーマを考えました。アーティストのみなさんが考える「ザッツ、日本! ザッツ、紅白!」とは何なのか? そういうものが、楽しく表現されればいいなと思っています。日本人らしさ、日本人で良かったという想い、さらに『紅白』ってやっぱりいいよねというような、様々なメッセージを出演者のみなさんと創りだし、発信していければと思っています。』と。
プロデューサーさんが言いたいことはなんとなくわかるのですが、今ひとつ漠然とした掴みきれないテーマでしたね。あれもこれもと詰め込みすぎて、どことなくまとまりに欠けた印象でした。太い芯の様なものがなかった感じですね。
テレビ放送が始まって90年ということで、日本が誇る文化のひとつ「アニメ」を取り上げ、『ちびまる子ちゃん』、『妖怪ウォッチ』、日本のテレビアニメの先駆けといえる『鉄腕アトム』、『巨人の星』、『ヤッターマン』、『ポケットモンスター』など、名だたるアニメのキャラクターが総登場した「アニメ紅白」というコーナーがありました。
放送90年を意識して、シンボルになる存在が必要だとして、テレビ誕生と同時に生まれた日本初のテレビタレントにして、テレビ創生期からテレビ番組のレギュラーを継続して持ち続けている唯一のタレントでもある黒柳徹子さんが総合司会として務められました。
黒柳徹子さんはNHK専属女優第1号であり、58年前の1958年の「第9回NHK紅白歌合戦」で、紅組司会を初めて当時史上最年少(25歳)で務められ、1980年から1983年まで連続して紅組司会を務められた、まさしくテレビ界のレジェンドなので、このテーマにはピッタリの方だったと思います。
黒柳さんは、1978年1月からTBS系列局で始まった『ザ・ベストテン』の司会を長年、務められていたので、今回、両チームのトリを歌われた、近藤真彦さんと松田聖子さんをデビュー当時からご存知なので感慨深いものがおありだったのではないでしょうか。芸能界の母のような存在ですからね。
戦後70年企画ではMISIAさんが『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』EDテーマ「オルフェンズの涙」を長崎市の平和公園内にある平和祈念像前で歌われました。MISIAさんは長崎県の出身で、彼女の活動の根本には平和へのメッセージがあるそうなんです。昨年の夏に戦後70年の特番『いのちのうた』に出演されて、今も平和への活動を行っている長崎の小学校を訪れたMISIAさんは、そこで改めて平和に対する想いを強く持たれたそうなんです。そうした想いがこもった圧倒的な歌唱でしたね。「オルフェンズ」は「孤児達」を意味するんですよね。
また、ディズニーの有名キャラクターたちと、V6やPerfumとのコラボや、スターウォーズのキャラクターたちと嵐の共演もありました。
こう書くとなんだか華やかで楽しいコーナーが目白押しのように感じるのですが、すべてのコーナーがただ賑やかで時間に追われているように慌ただしく過ぎて行き、「紅白歌合戦」という一つの番組としてのまとまりに欠けていたように思いました。なんかデコボコで歪な感じと言いますか…。
演出も洗練さがないような…。ステージ一杯に人やキャラクターが歌っている歌手の後ろにひしめき合っているシーンが多くて、もう少し、歌手の歌をじっくりと聴かせて欲しかったと思います。「歌合戦」なんですからね。それと近年、メドレーを歌う方が多いのですが僕は一曲をフルコーラスでじっくり聴きたい派です(笑)。高橋真梨子さんにメドレーを歌わせるなんてもったいないです!
小林幸子さんの『紅白』復帰も話題でしたがあまり新鮮味はなかったですね(笑)。上に伸びて、背面が広がって、くるくる回るというのがだいたいのパターンですもんね(笑)。メガ幸子も過去の使い回しだし。最近の小林さんはインターネットのフィールドでの活躍がめざましいらしく、「千本桜」という曲は歌声合成技術・応用ソフトウェア「VOCALOID(ボーカロイド)」シリーズの「初音ミク」を使用した楽曲でカラオケ曲としても人気があるそうです。今回のステージはニコニコ動画とのコラボレーションでした。小林幸子さんはこのままどこに向かわれるのかちょっと心配でもあり楽しみでもありというところでしょうか。
豪華衣装といえば水森かおりさんもそうでしたね~。「大和路の恋」という曲で、「火の鳥に乗る天女」をテーマに、大和路から宇宙に飛び出すという豪華な演出でした。演出にばかり目がいってしまって、肝心の曲に集中できないところがあるのですが、なかなか見ていて楽しかったです(笑)。でもここまで行ってしまうと水森さんもこれからどうなってゆくのか心配です(笑)。視聴者は次はどんな演出でと期待が大きくなるでしょうし、引き返せなくなってしまうのではないですかね~。
満80歳の美輪明宏さんはご自身が持つ史上最年長記録を更新すると同時に史上初の80代での出場となられました。戦後70年企画として「ヨイトマケの唄」を歌われたのだと思いますが、僕は戦後70年だからこそ「愛の讃歌」が聴きたかったです。紅白のステージで一度は美輪さまらしい、華やかな衣装で熱唱していただきたいと思います。
石川さゆりさんは通算9回目の「津軽海峡・冬景色」の歌唱でした。またまた今回のお着物も素晴らしデザインでしたが、第59回(2007年)以降、同曲と「天城越え」を交互に歌唱(NHKに歌わされている)石川さんにはそろそろ違う曲を歌わせてあげたいです。司会者との面談の際、「“もう何回目でしょうね”、“今年も新曲出しているんですよ”」と石川さんはおっしゃったそうです。わかります~。その気持ち。名曲ということはわかりますが、この紅白で歌って、その後大ヒットした曲はたくさんあるのですから、無難な選曲ばかりせず、NHKさんももう少し、歌う方たちの希望を聞いてあげて欲しいと思います。
自身の持つ連続出場歌手自己記録を更新する48回連続出場となった森進一さん。歌手生活50周年という節目である事から今回を最後に紅白から勇退することを発表されていました。これについてNHKさんは「ご決断を重く受け止め、森進一さんの紅白歌合戦・最後のステージを盛り上げていきたい」とコメントしていたのですが、これだけ「紅白歌合戦」に貢献されてきた方に対する扱いが納得できるものではなかったですね。ステージ上の演出も特になく、歌われた順番ももう少し考えてあげて欲しかったなあと思います。愛情を感じませんでした。ベテランの歌手の方がこうやって自分から卒業されていくことは寂しい限りです。
今回は紅組トリおよび大トリに2年連続で松田聖子さん、白組トリに近藤真彦さんと、共にこの年歌手デビュー35周年を迎えた歌手が選出されました。ぼくが幼い頃にトップアイドルだったお二人なので、期待をしていましたが、盛り上がりに欠けましたね。残念です。近藤さんの衣装、もっとギンギラだと良かったのに~(笑)。あの曲であの衣装はないですよ~。松田聖子さんのヘアーメイクも衣装も今回はどうも消化不良気味です。聖子さんの歌唱もどうしちゃったの?という感じで、あれだけのステージを経験されている歌手なのに、そこまで緊張しますか?という思いで聴いていました。もっと歌える人じゃないの?と歯がゆかったです。「赤いスイートピー」は名曲なのに~。
白組司会の井ノ原快彦さんと、紅組司会の綾瀬はるかさん、お二人とも安定感のある進行振がとても好感を持てました。綾瀬さんはディズニーキャラクターのコーナーでは、堂々と『星に願いを』を歌われていましたし。綾瀬さんが素敵だったので赤組に投票しました(笑)。井ノ原さんも初司会とは思えない余裕ある進行が素敵でしたよ。
大原櫻子さん「瞳」、島津亜矢さん「帰らんちゃよか」、天童よしみさん「人生一路」、レベッカ「フレンズ」、今井美樹さん「PIECE OF MY WISH」、星野源さん「SUN」などが印象に残っています。天童さんが歌う、美空ひばりさんの曲は素晴らしいのですが、天童さんもオリジナル曲をうたわせてあげたいと思うのは僕だでしょうかね~。
しかし色々と不満もありますが、僕は「紅白歌合戦」が大好きです。ものごころついてから、この歳まで一回も見逃したことはありません(笑)。大晦日は必ず「紅白歌合戦」を見ないと歳は越せない派です。「もうやる意味なんてない」と批判を受けたりもしますが、「紅白歌合戦」は年に一度の歌手の方々にとって特別なステージなんです。そう言わずに、暖かい眼で見守って欲しいと思います。時代と共に流行歌は変わるものです。「紅白歌合戦」だって時代と共に変わるのは普通のことだと思います。マンネリだっていいんじゃないですか~。
最終審査では紅組が逆転して第62回(2011年)以来4年ぶりに勝利し、30勝目を挙げました。僕も赤組に投票しました。
今年はどんなヒット曲、名曲が生まれるんでしょうか。楽しみですね。そして今年の大晦日の「紅白歌合戦」どうなるんでしょうかね(笑)。
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