こんばんは。

先月の25日に「山口百恵『赤いシリーズ』DVDマガジン」という商品が講談社から発売開始になりました。全38巻、1巻に3話分収録のDVDが付属してます。TVCMも流れていたのでご存知の方も多いでしょうね。

『赤いシリーズ』第1作目「赤い迷路」が放送された1974年から今年で40周年を記念して企画されたようです。

昨年末のAmazon.co.jp限定「山口百恵 映画全集1974–1980 Blu-ray BOX(完全数量限定)」の発売に続き今度は「赤シリーズ」とはファンにはうれしい限りです。

「赤いシリーズ」は「赤い迷路(全26話)」、「赤い疑惑(全29話)」、「赤い運命(全28話)」、「赤い衝撃(全29話)」、「赤い絆(全28話)」、「赤い死線(前後編)」の6作があり、「赤い迷路」を除いて他の作品はDVDBOXとしてすでに発売はされていました。しかし価格が35,280円(赤い死線以外)と少しお高くてなかなか手がでなかったのですが、今回はDVDマガジンという形態で創刊号は特別価格の752円‼Vol.2からは1,590円とお求めやすい価格なので、無理せずコレクションができそうですね。

今回の「DVDマガジン」には「赤い絆」は収録されないようなのですが、なんと松田優作さん共演の「赤い迷路」が初DVD化され発売されることになりました~。

「赤い迷路」はCSのTBSチャンネルでは何度が放送されてはいましたが、今までビデオ化、DVD化されていなかったこともあり、繰り返し観ることが出来なかったので、細かい部分を忘れているところも多いし、今回久し振りに通しで観ることができるので楽しみですね。

マガジンの形状は外側を捨ててしまうブリスタータイプではなく、写真集のようなケース一体型の冊子になっていて、「百恵×紀信 70年代ミューズの肖像」と題して篠山紀信さん撮影の今まで発表されていなかった秘蔵写真も掲載されていて見逃せない作りになっています。

収録作品です。
◎「赤い迷路」(創刊号~26号に収録)
●1974年10月4日から1975年3月28日まで放送
●赤いシリーズ第1弾。平均視聴率 18.9% 、最高視聴率 22.7%。 
●出演:宇津井健さん、長山藍子さん、松田優作さん 他
初映像ソフト化
精神科医・結城(宇津井健さん)の妻が何者かに殺害されます。容疑者として都築(松田優作)が逮捕され、結城は都築の精神鑑定を担当することになります。都築は容疑を否認するのですが…。事件の裏には結城の一人娘・明子(山口百恵さん)の出生の秘密が隠されていたのです…。本作での百恵さんはまだ主演ではなく、あくまで宇津井健さん主演のドラマのわき役でしかないので、ソフト化されなかったという話ですが、しかし百恵さんの人気に押されて、百恵さんが次第にドラマの中心になってくると俄然サスペンスタッチの面白い物語になっていくんです。

◎「赤い疑惑」(創刊号~16号に収録)
●1975年10月3日から1976年4月16日まで放送
●赤いシリーズ第2弾。平均視聴率23.4%、最高30.9%
●出演:宇津井健さん、三浦友和さん、岸惠子さん 他
父(宇津井健さん)の勤務する大学病院を訪ねた幸子(山口百恵さん)は爆発事故に巻き込まれ、大量の放射線に被曝してしまいます。白血病と診断された幸子は医大生・相良(三浦友和さん)と恋に落ちるのですが、二人の愛は許されざるものだったのです…。「赤いシリーズ」の人気を決定づけた、シリーズを代表する作品です。

◎「赤い運命」(16号~29号に収録)
●1976年4月23日~10月29日まで放送
●赤いシリーズ第3弾。平均視聴率 23.6%、最高視聴率 27.7%。
●出演:宇津井健さ、三國連太郎さん、秋野暢子さん 他伊勢湾台風によって離れ離れとなった二組の親子。17年の歳月を経て再会を果たしますが、生まれ育った施設を襲った火事による混乱で、二人の娘(山口百恵さん/秋野暢子さん)はそれぞれ別の父親(宇津井健さん/三國連太郎さん)の元へと引き取られていくのです…。相手役が三浦友和さんではなく、映画「エデンの海」で共演した新人の南条豊さんが起用されました。視聴率は「赤い疑惑」より少し下がりましたが、三國連太郎さん、岸田今日子さんという名優との共演が見応えあります。主題歌も大好きです。

◎「赤い衝撃」(29号~38号に収録)
●1976年11月5日から1977年5月27日まで放送
●赤いシリーズ第4弾。平均視聴率 27.0%、最高視聴率 32.6%
●出演:三浦友和さん、中条静夫さん、草笛光子さん 他日本陸上界期待のスプリンター・友子(山口百恵さん)は刑事・新田(三浦友和さん)に淡い恋心を抱くのですが、
犯人を追った新田の銃弾を受け、下半身マヒになってしまうのです。アスリートとしての夢を打ち砕かれ、「走る」という生きがいを失った友子でしたが、新田との純愛を貫くのです…。若尾文子さんとのコンビで数々の名作を作られた増村保造監督が企画から大きく関わられた作品です。現在、語られている大映ドラマの原型を作られた方ではないでしょうか。

◎「赤い死線」(前後編 創刊号/2号に収録)
●1980年11月7日、11月14日に放送
●『赤いシリーズ』の最終作。最高視聴率は23.3%。
●出演:三浦友和さん、宇津井健さん、三國連太郎さん 他 
ダンサーとして都会での生活に限界を感じていた良子(山口百恵さん)は偶然、同郷の明夫(三浦友和さん)と出会い、故郷・北海道へ戻る決心をしますが、帰郷前夜、思わぬ殺人事件に巻き込まれてしまうのです。自らにふりかかった容疑を晴らすため、二人は犯人を追うのです…。 
このドラマの感想は以前このブログに書いているので、興味のある方は探して読んでみてください。

百恵さんは、歌手や映画女優としては活躍されていた当時から表現者として高い評価を受けていたのに、「赤い迷路(15歳)」から「赤い死線(21歳)」まで長期に渡り関わってこられたTVドラマに関しては今でもちゃんとした評価はされていないような気がします。

評論家の方々も扱いかねているような所があるようですね。作品論として書きにくいと言われる方もいます。百恵さんの「赤いシリーズ」には野添和子さん、春日千春さんという大映のプロデューサーが二人いらして、それぞれの個性が違うし、脚本家、監督が数人で共に交代で作っているので、作品論を書くにも掴みどころがないという感じなのでしょうか。「赤い疑惑」は橋田壽賀子さんも何話か書いてらっしゃるんですよ。でも百恵さんのシーンは何ページ、友和さんのページは何ページと細かい指示がありそれがイヤで降りたとおっしゃっています(笑)。「赤い迷路」などは結末を決めずに撮影は始まったとか。そういう大映ドラマの制作体制に嫌気がさして、松田優作さんは途中降板してしまわれたのです~。

百恵さん自身も「赤いシリーズ」にはあまり積極的ではなかったと言われています。与えられた「仕事」としてただこなしていただけだとも。う~ん。本当にそうなんでしょうか。もしそうだとしてもファンとしてはそう思いたくないなあという気持ちですね(笑)。当時の百恵さんは超過密スケジュールで撮影時間もなかなか取れず、「芝居の流れ」を乱してしまい、共演者に迷惑をかけてしまったと自叙伝「蒼い時」には書かれていたように思います。「赤い疑惑」の母親役だった八千草薫さんもそれで途中降板されてしまったんですよね。百恵さんの責任ではないと思いますが、百恵さんにとっては胸の痛む出来事だったのではないでしょうか。

どんな仕事にも前向きに、ひた向きに取り組みたいと頑張ってこられた百恵さんにしても、このドラマの仕事だけは自分の思うようにはいかない制作体制だったのかもしれないですね。

平岡正明さんという方が書かれた本に「山口百恵は菩薩である」という本があります。その中に「赤いシリーズ」のドラマ主題歌について「赤い衝撃」については「赤いシリーズはみんなだめ。ヒットしたのはTVのためだろう」。「赤い絆」は「この赤シリーズも感心しない。百恵自身に発見がないのだろう」と書かれていて、平岡さんがどう思おうと勝手ですけれど、平岡さんが感心しないものはダメだなんてことはないと僕は思っているし、僕は「赤いシリーズ」の主題歌はみんな大好きですし、そんな僕ってダメですかと聞きたいですね。僕はなんでも決めつけられることが好きではないんですよ~。価値観の押しつけですよね。

「赤いシリーズ」や「大映ドラマ」を「リアリティのかけらもない、泥臭いメロドラマ」と否定する人がいます。それは色んな意見や感想があっていいと思います。僕は泥臭く生きることってそんなにカッコ悪いこと?と思っているし、「赤いシリーズ」の登場人物のどこが泥臭いの?って思ってるし、たかがドラマじゃないですか。それに「赤いシリーズ」って驚異的な高視聴率だったんですよ。これだけでもどれだけの人の支持と共感を集めていたかの証明だと思います。40年経っても、こういう形で世に出るということがなによりの証です。