こんばんは。

今日、NHK BSプレミアムでとても素敵な
番組を見ました。色々なジャンルで、
時代を切り拓いてきた人達の人生哲学や
未来へのメッセージを聞く「100年インタビュー」
という番組です。今回のゲストは黒柳徹子さんでした。

聞き手はNHKの石澤典夫アナウンサー。
あの歌伝説シリーズの名ナレーターですよね。
石澤さんがただ黒柳さんへインタビューするだけの
番組なのですがとても見所、聞き所、満載の番組でした。

最近は「徹子の部屋」へゲストとして呼ばれた
芸人さんたちにムチャ振りをしたり、突拍子もない
質問をぶつけたりする芸人潰しの変わったおばさん
みたいに言われているみたいですけど、そんな風に
黒柳さんのことを思っている人にこそ見て欲しい
番組でした。

昭和29年にNHKが初めて募集したテレビ女優の
第一号としてデビューして以来、半世紀以上に
わたってテレビの第一線で活躍しているんですよ
黒柳さんって。若い方は黒柳さんが女優だっていうこと
を知らない人多いでしょうね。
舞台女優として1981年から毎年のようにル テアトル銀座
という劇場で(以前は銀座セゾン劇場といっていました)
で上演されている海外コメディシリーズと呼ばれる
お芝居を現在まで続けてらっしゃいます。
僕がこのシリーズで見させていただいたのは
3本ほどありますが、その中でも1996年に上演
された、黒柳さんがオペラ歌手のマリア・カラスを
演じた「マスタークラス」という舞台は
素晴らしかったです。僕が今まで見た舞台の
中でも5本の指にはいる名舞台でした。
黒柳さんはこの舞台で読売演劇大賞の大賞と
最優秀女優賞を受賞されました。

1996年にトニー賞を受賞したブロードウェイでの
ヒット作を日本語版で上演したものでした。
素晴らしい歌手として語られる一方で、
スキャンダラスな存在としてマスコミの槍玉に
いつも上げられていたカラスの真の姿を
深く生き生きと描いていました。

マスタークラスを受けにきた、ただうまく歌えれば
いいと思っている若い歌手たちに、カラスが
歌を通じて本当に教えたいこと(心や情熱を表現すること)
がなかなか通じないんですね~。かけ離れたふたつの
精神のすれ違いが笑いや涙を生むのです。
カラスが過去を回想して語る、人並みはずれた
苦労や努力で手に入れた華やかな名声の裏の
決して幸せとは言えなかった私生活と
悲しい恋愛…。見ている僕は胸をつかれました。
自身の幸せよりも、芸術に命を捧げた
カラスの誇り高い人生を黒柳さんは見事に
表現されていました。

僕が黒柳さんを大好きになったのは中学生の時に
黒柳さんが書かれた「窓際のトットちゃん」を
読んだ時からです。累計760万部を誇る戦後最大の
ベストセラーです。カバーがいわさきちひろさんの
絵でしたよね。当時は僕のバイブル的な本でした~。
僕は子供の頃、とても無口な子供でした。
学校の休み時間も一人で本ばかり読んでいる
なんだかとっつきにくい奴だったんです。
なんか人を寄せ付けないような雰囲気が
あったとよく言われました。内心はみんなと
普通に喋ったり遊んだりしたかったんですけどね。
そんな時に「窓際のトットちゃん」と出逢ったのです。
トットちゃんは僕とは正反対のどんなことにも
興味津々で、落ち着きがなく、変わった子だと
言われて学校を退学になってしまうんです。
新しく入学した学校で自分らしくいれぱいいと
みんな一緒なんだよと教えてくれた校長先生の
元でのびのびと過ごした時代のことが生き生きと
書かれていて、その頃の僕の胸に深く沁みたんです。
みんなと仲良くできない僕はダメなのかなあと
思うことがやっぱりあったんですね。
それでいじめられたとかはなかったのですが
変わってると思われていたので、あの黒柳さんも
変わった子供だったんだと知った時にすごく
うれしくて…。そうなんだ、自分らしくいれば
いいんだ、みんな一緒なんだと
この本に教えてもらったのです。

また黒柳さんはユニセフの親善大使としても
息の長い活動を続けてらっしゃいます。
番組の中で黒柳さんは涙を堪えてお話されて
いましたが、大使として赴いたある場所では
破傷風で命を落とす子供達がたくさんいて
喉の筋肉が菌に侵されて声が出せないのに
黒柳さんの姿を見て声にならない声を
出した子供がいて、なんて言っているのですか
と黒柳さんが聞いたら、「あなたの為に
祈っています。」と言っていますといわれたと。
自分の命はいつ消えるかも知れないのに
私のためにそう言ってくれた子供たちの
為に私ができることをするのは当然と
おっしゃってました。僕も涙がでました。

黒柳さんが大切にしているのが子供への
眼差しです。「食べ物や薬と同じくらい
子供に必要なのは愛情。テレビは本当に
愛情にあふれた番組を放送しているのか?」
という思いを強くしていると黒柳さんは
言われていました。この頃のテレビは
デシダル化され技術はどんどん進んで
いるれけど日々、流される番組は数字ばかりに
気をとられ作り手の信念や想いが伝わらない
番組が多いような気が僕はしています。
テレビっ子だった僕はとても淋しいですね。
いくら技術が発達しても心をなくしては
感動なんて与えられないと思います。

プログのプロフィール欄に僕は照れるけれど
好きな言葉を「愛」だと書きました。
この番組で黒柳さんがおっしゃることを
聞いて人が生きて行く上で大切なものはやはり
「愛」なんだとあらためて強く思いました。
どんな仕事にも、どんな人にも愛をもって
接すること。嘘をつかないこと。
僕も見習いたいと思いました。

黒柳徹子さんが日本のテレビ界にいてくれて、
僕はどれだけ明るく、楽しい時間を与えて
もらったかわかりません。今日の番組で何度、
目頭が熱くなったかもわかりません。
これからも今まで以上にテレビから
パワーを送り続けてほしいです。
黒柳さんこそ国民栄誉賞にふさわしいと
僕は思うんですけどねぇ~。