※GL・百合の意味がわからない方、これらの言葉に苦手意識を抱く方は閲覧をご遠慮ください。

また、カラ子×一子が嫌いな方もです。

こちらでは差別語ととられるような言葉を自虐のような意味合いで、わざと使っています。決してセクシュアリティーを貶めているわけではありません。敏感な方は閲覧をおすすめしません。

やっと書けたよ念願のじょし松さんの百合~~~私が書くと百合というより「レズ」になる。仕方ない。基本cpはカラ子一子。だけど要素薄いよ。続けば濃くなるはず。

わやわやしてて、書き方がわからなくなってきた。ギャグなんじゃないかな。

○用語解説

フェムタチ…フェミニン(女性的)な見た目でタチ。

ボイ…ボーイッシュ

ヘテロ…異性愛

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夜の街の一角。どこもきらびやかな電灯で着飾られていて目がチカチカする。

隣のバーでは何やらクラシックな音楽が流れているようだ。男女がひっそりと囁きあう声が聞こえる気がする。更にその隣の、斜め右の向かいは今日はクラブと化しているのか、防音しきれなかった強烈な音が篭って外に出ている。ふと、窓に浮かび上がる影に視線がとられた。なにやら痴話喧嘩が勃発したようだ。女性がビール瓶を振りかざし、仲間に抑えられている様子が影絵のように映っている。

そういった、ありふれた夜の店とまるで「同じ」ような顔をしてその店はあった。

ドアを隔てて世界が変わる。ありふれた夜に別れを告げるように、ドアノブを引き下げた。カランカラン、という古風な音は爆音によって呑み込まれた。

恒例のお出迎えは無数の女たちの視線。それまで腰を振って踊っていた女も、友人とお喋りに興じていた女も、見ていないフリをして踊り続ける女も、ドアが開いた瞬間、射殺すようにいっせいに注目する。

彼女たちは品定めをしているのだ。自分に見合うものか、否かを。

初めのうちはこの洗礼に恐怖を覚えて入りづらいだろう。特に初来店時は集団に紛れ込むまで視線が前から背から、まとわりついてくる。

しかし一子のように常連客となると興味は一瞬で失われ、止まった時はすぐに動き出した。

 

無駄に幅をとって喋っている集団やダンサーにみとれている集団、酒を運ぶスタッフの間を邪魔するように図太く通り抜けていくと、目当ての人物はそこにいた。

 

「おーい、一子一子、こっち」

 

人混みから離れた端のカウンター席でカラ子が手を振っている。

集団が苦手な一子のために集合場所は決まっているので、言われなくともわかっているといった具合に高く上げられた手ではなく彼女の顔に視線を合わせた。

 

「相変わらずうるさいわね、ここ」

「じゃあなんで来たの…」

「カラ子がいるからじゃない」

 

誘ってるの?と彼女は微笑んだ。彼女の雰囲気はいつもと違った。その健康的で色っぽい褐色肌は相変わらずであったが、いつもの青いタンクトップとジーパンという、いかにも「レズ」な出で立ちを脱ぎ捨てて今日は胸元がざっくり開いた青いタイトなドレスに身を包んでいた。いつも適当に縛っている髪も下ろして、綺麗にセットされている。全体的に色気が漂う格好だった。

 

「やっぱりその格好、良いわね。似合ってる。いつもそれくらいちゃんとしていればいいのに」

「そう?ありがと。いつもいつもこんなにセットしてたらめんどくさいわよ。一子こそ今日の格好、可愛い」

 

カラ子の言うとおり、一子もいつもと違って、一応今日はパーティーだということでスカートのフリルが可愛い、紫のドレスを身に纏っていた。これを機に久々に美容院へ行き、髪をばっさりと切り前髪も作った。勿論トリートメントもばっちりしてもらった。暗闇でどうせ髪の艶など見えないだろうが、それをちゃんと見てくれるのが自分のパートナーだ。やはり、髪も綺麗ね、と一子の毛先を弄びつつ褒めてくれた。

 

「ちょっといきなり私のこと忘れないでくれる?」

 

そう割って入ってきたのは友人のトド子だ。カラ子の指先から強制的に艶やかな髪がすり抜ける。あともう少しで完全だった二人の世界は欠片も残すことなく崩れ去り、カラ子は一子を口説くためにキリリと上がっていた凛々しい眉を下げ、不服そうに下唇を突き出した。

 

「ちょっとトド子ぉー。何邪魔してくれちゃってんの」

「あ!ひっどぉーい!そんな直球で言う?」

「まだ挨拶が終わってないのよ」

 

一子はあからさまに眉尻を落とす。ちらりと横目でカラ子にアイコンタクトをとると、彼女もあからさまに肩をすくめた。それらは明らかにトド子へのあてつけだと言わんばかりの行為だったので彼女はますます苛立っているようだった。チッと舌打ちが聞こえた気がした。

 

「あれが挨拶ならもう十分でしょ、あのまま止めに入らなかったらどこまでいく気だったのよ、まったく。一応今日はお祝いされる主役がいるんだからね」

「なんだっけ?今日のパーティー」

「あんたらわからないで来たの?むしろそれならなんで来たの?」

 

そりゃあいつもカラ子とここで良い雰囲気になったあと、どちらかの家かホテルへ直行、というのが習慣だからだ。むしろそれが狙いでしかなかったりする。

 

「愛と情熱を渇望する女と、その愛を与える女、ってね~」

「よくわかんないけどとりあえず黙れゴリラ」

 

トド子ちゃん機嫌直して~、とおちょくるような高い声で言うと、カラ子はわざとらしくばっちりとウインクを決めた。彼女のその重々しいウインクから放たれた愛のようなものはトド子の元へ訪れたのだが、彼女はそれをまるで具現化されているかのような扱いでひょいっと掴むと慈悲もなく真顔で投げ捨てる動作をした。その先には一子がいたのだが、同じく、いやトド子と違って掴むことなくベシッと叩き落とす。

瞬間、カラ子の顔が絶望の色を帯びた。

 

「えっ!!?ちょ、一子ひどくない!?恋人の投げキッスを!!」

「あれキスじゃなくてウインクでしょ」

「もーっ!二人とももう茶番はいいから!!主役の!スピーチを!聞け!!」

 

そろそろトド子は本当に怒りが頂点に達しかけているようだ。証拠に目力がやけに強くなるという癖が出ている。ここまでくると流石に二人はおとなしく壇上に上がっている人物へと目を向けた。

そこにはアメリカンスリーブで胸下切り替えの赤いドレスを着たショートカットの女性がいた。こちらは、実は一子たちの友人で、おそ子という名の女性である。そう、友人であるがためにこのパーティーに招待されたのである。それなのに何故こんなにも興味なさげなのかというと、付き合いが長すぎてゆるむというか、強い絆の裏返しというか。とにかく熱い女の友情の上で成り立っているので問題ない。

店に流れている音楽がしっとりとしたジャズのせいか、涙声のような震えた声がマイクを通して聞こえた。

その隣には緩くウェーブのかかったロングの茶髪の女性が立っている。結婚式を意識しているのだろうか、ドレスは同じ形のものだった。

 

「顔きっつ、マジフェムタチって感じー」

 

案の定、興味のない人の話など大人しく聞いていられないカラ子はゆらゆらと貧乏ゆすりを始める。それは目に見えていた反応だったのでトド子も注意を諦め、というかスピーチという名の惚気を聞いて苛立ちが募ったのかむしろ話にのってきた。

 

「アンタ人のこと言えないわよ、それより聞いた?あの人、手当たり次第女を引っ掛けるどころかその女たちにお金を集ることで『LL』で悪名高いって……」

「えっ、じゃあおそ子また悪い女に引っかかったわけ?わかってるならなんで止めなかったのよトド子」

 

『LL』とは、女性が好きな女性専用の老舗サイトである。いわゆる出会い系だ。その大きなサイトですら悪名が広まっているということは、かなりの女を手玉にとってきたのだろうということがわかる。

口許に掌を当てて、とトド子がボリュームを抑える素振りをみせるものだから、一子も思わず同じ格好をしてしまった。それが伝染したのかカラ子もわざとらしく同じポーズをとる。内容も内容なだけに、まさに女の代表格なことをしている。

 

「私だって止めようとしたよお!ていうか今まで何回か止めてたけど『彼女は影で言われているような人じゃない!』って、今回はおそ子がほんと取り憑かれすぎてて口出しするのが可哀想でできなかったのよ……」

「これはもって三ヶ月、ってところね」

「いや、一ヶ月だな」

「のんきに賭けてる場合じゃないよ!今のうちからみんなで慰める準備しなきゃ!」

「ね~みんななんの話してんの?」

 

途端、伸びやかな声が会話に割って入る。

皆で声のほうへと振り返ってみれば、この、色々と少数派なパーティーの中でも一際目立つ格好をした友人が立っていた。

 

「十四子!」

 

驚いたようにトド子が声をあげる。十四子は不自然に毛の多い睫毛でばっちりとウインクを決めながら手を振った。

 

「ハァ~イ、ジュシコだよん。で、みんななんの話してたの?」

「おそ子の新しいパートナーの話」

「ああ、あの15cmとか20cmとかありえない高さのヒール履いて壇上で踊ってたりテキーラ呑みまくったりあからさまにボイが嫌いそうなヒトん?」

「アンタわりと的を射るようなことを言うわよね」

 

うんうん、と一同に頷く。十四子はかなり派手な出で立ちで常に満面の笑みを保っているので正直阿呆のように見えるが、いや、ここまでの付き合いを通してきて確かに阿呆であることは知っているのだが。このように時折ズバッと言い当ててしまうので逆に本当は頭が良いのでは、と疑ってしまう。

 

「ン?なんか言った?」

「ん~ん、十四子はすごいねー、って話よ」

 

トド子は「お願い」のようなポーズをとり、意気揚々と語尾をあげる。十四子は褒められたと素直にとったようで、やったぁ、と目を細めて嬉しそうに頭を掻いた。そこではた、と思いだしたように一子が首を傾げる。

 

「アンタここにいていいの?」

「そういえば、さっきまでそこで悦んで腰振ってたよな?」

 

同じくカラ子も首を傾げる。それからグラスを手に取り、酒を煽った。

まあアタシは一子が腰振ってる姿が見たいけど、と腰に手を回されきゅっと抱き寄せられる。まだパーティーも半ばだというのに、一子の心臓は期待でどきりと跳ねた。

トド子が眉を顰める。

 

「ちょっと、下品な言い方やめてよお。あとそこ、盛らない。そうだよ十四子、今日ダンサー枠じゃなかった?」

 

そう、十四子はときたまこちらでダンサーをしている。そして今日はビキニのようなサンバのような、きわどい衣装を着て、普通に壇上に立ち、群がる女たちの相手を先程までしていたはずなのだ。

 

「あ?うん、そうだけどぉー、ジュシコの出番はもう終わり!」

 

十四子はトド子の隣にどかっと座りこみ、ぱんぱんと膝を叩く。トド子はますます不安げに顔を覗き込んだ。上目遣いがあざといな、と内心で毒づいて一子はカラ子にもたれかかる。

 

「え?本当にいいの?」

「いいのいいの!十四子が終わりっていったら終わりなの!」

「それ絶対よくないやつだよね!?ていうかお酒まで頼んで絶対居座る気だよね!?」

 

トド子の言う通り、十四子の手元にはいつの間にかグラスが置いてあった。黄色が好きだから、という理由でいつも通り透き通った黄色のカクテルが注いである。

 

「まあまあトド子、十四子がそう言うならほんとにいいんじゃないの?」

「でもカラ子お、私たちが十四子を引きずったとか言われたりしたら……」

「ダイジョブダイジョブ!ジュシコ、元からレズだから!そういやチョロ子見当たんないね」

「引きずるってこっちの世界に引きずるとか、そっちの意味じゃない!!そんなこと言ったらここにいるみんな元からレズだから!チョロ子はヘテロ村の奥地よ」

 

チョロ子の話題を出した途端、先程まであざといぐらいにまんまるな瞳を保っていたというのにトド子は急に脱力して半目になった。チッと舌打ちまで聞こえる。あからさまに不機嫌そうである。

 

「あ、そー。彼氏できたのね。ま、とりあえず呑も呑も!」

 

流石空気を気にしない女だ。かんぱ~い、と十四子が音頭をとると、皆それぞれグラスを持ち適当にカチンと鳴らしたのだった。

 

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:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.あとがき。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+

言い訳させて。私もよくわからない。シリーズ想定してたから…。

なんか頭の中では既に女装したトッティとかカマチョロとかカラ子の悲しい女子校時代とかも出てるんだけど追いつかない。

ちょいちょい「わかる人にはわかるネタ」を仕込んであります。わかったら私と仲間だね!イェイ!

あとじょし松さんの口調が何気にわからない。とりあえずカラ子を雄っぽく、で、語尾とかちろっとたまに女言葉が入る。トド子は普通っぽく、で時々女言葉が入るイメージ。一子はもう完全に女言葉。十四子はまず言葉遣いが乱れている。

 

ちゃんとしたカラ子一子を書きたい。

ではでは