※BL・腐の意味がわからない方、嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。

呟いていたやつをちゃんと書いてみようと思い。ちゃんとっていってもほとんどそのままだからSS。

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ふと、僕らの間を吹き去っていく風が冷たいことに気づいた。

「太子、手」
「ん」

もう何度も行われているやりとりは徐々に短縮され、今ではこれだけで通じる。
僕らの手を繋ぐ合図。
けれど年々、思考がシンクロしてきているのか、冷たい風が吹いた時には一緒になって身震いし、お互い顔を見合わせただけで手を繋いでしまうことも多い。

太子は低体温なので、手を繋いでも暖をとれるわけでもない。かといって僕も冷え性なので熱を与えるどころか、太子よりも指先が冷えている。
だから、繋いでから二人で体温をあげていくのだ。

これで隙間に吹く風は防げるようになった。
しかし寒暖さの激しい今日この頃、着た衣服が気温に合わないことも多々ある。

鼻の奥がツンとするのを感じた。手はまだ温まらない。

「太子」
「ん」
「ちゅー」

こちらに意識を向かせてから、軽く唇を尖らせ、ねだるような仕草をする。
これも今となっては珍しくもないので、逡巡もなく意図を察した太子は歩を止め、顔を近づけた。
向き直る彼の様子から、今回は長めだな、と感じ取り、同じく向き直って目を瞑った。
長年を共にしているともう、恋人の雰囲気がどうこう、というわけでもなく、向き合えば目を瞑るのは反射みたいなものだった。吐息がすぐそこまできている。
すぐに思った通りの感触が唇に与えられた。少々かさついている相手のそれに、今年もこの季節がきたのだなあ、とぼんやり思いながら蓋をするように舐めてやる。今度する時はリップクリームを塗ってからにしよう、彼に与えてあげられるように。
予想した通り、すぐには離れなかった。それはそうか、自分が望んだのだから、と内で納得する。

唇に色が宿り、そこからじんわりと温度が広がっていく。
何故キスで血流がよくなるのか、僕自身にもよくわからないのだが、体温が上昇してくるのだ。
照れや興奮といった自覚症状もないので本当に謎である。
では夏場にやれば暑さに耐えられなくなるのではないかというと、そうでもない。周りの気温に紛れるのか、涼しくなる夕方を除いて、あまり体温の上昇を感じない。
しかしそれでも、得なのか損なのかわからない身体を利用して、冬場のほうが接吻をねだる回数が多くなるのは否めない。

身体が十分に温まったところで、ちょうど唇が離れた。温度差からか、する前よりも空気の冷たさを口許で感じ、一瞬、切ない気持ちになる。

「妙に長かったんですけど」
「だって寒そうだったから」
「まあ寒かったのでいいです」

いつも通り彼を少々小突いて、それから僕らはまた歩き始めた。
身体も、ずっと繋いでいた手ももう十分に温かい。
再び吹いた冷風は、今度は足元に枯れ葉を連れてきた。可哀想なことに、無慈悲にも太子に遠慮なく踏まれ、くしゃ、と乾いた音を立てる。
今年も秋がやってきた。

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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆あとがき*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
久々に書いたのがSSとはね。呟いていたやつそのままとはね。
ていうか何か題名書いててデジャヴ感……もしかして前も書いた……?

ちゅーで発熱する妹子って可愛くないですか?冬場は得しそうな身体。ただし太子がいないとダメだけど。だからずっと一緒なんだけど。
次した時はリップクリームをたっぷり塗りこむために自分から吸い付くんですよね濃厚なキッスになるんですよね妹子さん??
ほっこりする太妹が書きたくて、最初に手を繋ぐのも何気にぶっこんでしまった。長らく一緒に過ごしていると当たり前のようにイチャつくんですよあいつら。でもどこか恋人臭新婚臭出してるの許せない。ずるい。可愛い。

ではでは(*^ー^)ノ