※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。
更新が約一ヶ月ぶり・・・すみません。
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空は深い闇に染まり、月が白い光を纏いながら顔を出していた。
住宅街であるここは、昼間も人通りが少ないが暗闇の持つ力で余計に閑散とし、家々からはカーテンを通してぼんやりとした柔らかい灯りが漏れている。
天を仰いでも、街の中心部の強い灯りの影響を受けて普段はあまり星は見えないのだが、この日は何故か空がよく澄み渡っていた。
「本当に遅い時間にきましたね。」
閉店後数時間を経て来た目の前の男に対して、妹子は感心したように目を瞠りながら思わず本音を漏らす。
相手は不服そうに少し眉を寄せた。
「いいって言ったのそっちじゃん・・・。」
「いや、確かに、別にいいんですけど。お仕事終わるの、いつもこのくらいの時間なんですか?」
「まあね。今日はちょっと早いほうかも。」
この時間でも早いのか、と妹子は更に驚いたが、表には出さなかった。
最近では定時で帰らせてくれないところも多いと聞くし、きっとこの人も大変なのだろう。疲れきっているとこ、仕事のことを思い出させるのは酷だ。
話の流れを切り替えようと、妹子は一番下の引き出しに用意してあった例の彼専用の弁当箱をショーケースの上に出す。
すると太子も鞄から袋を取り出し、同じく卓上に置いた。
「ごちそうさま。美味しかったよ。」
「本当ですか?」
「うん、量もちょうどよかったし、いつもと違って栄養バランスをちゃんと考えてもらっているのがわかったなあ。慣れていないものを食べるというのは、本当はあまり気が進まなかったんだけど、やっぱ君のお弁当なら何でも美味しいね。」
言葉と共にこぼした笑みを見ると、本当に心からそう思ってくれているのだということがわかる。
妹子の胸には何かがじんわりと広がっていく感じがした。
「あ、ありがとうございます。じゃあ、はい、これ。」
照れ隠しのごとく、早くやりとりを終わらせようと妹子は渡す弁当を彼に向けて少し押して差し出す。
そちらに一瞥をくれると太子は鞄から財布を取り出し、代金をレジ付近に置いた。
値段ぴったりに渡されたそれをレジに閉まっている間に、彼も夕飯と朝食用、二つ分の弁当箱を鞄にいれる。
「さっき、今日はちょっと早いほうかも、って言っただろ?」
ふと思い出したように、太子は鞄のファスナーを閉めながら、あまり触れないほうがいいかも、と妹子が気を遣って逸らした話題を掘り返した。
脈絡もない話にドキリと心臓が反応する。
「今日一日なんだか気分がよくてね。・・・なんか気持ち悪いかもしれないけど、ずっと妹子のこと考えてた。あ、あの、大丈夫、お弁当のほうね。すごーく、楽しみで。早く会いたいなーって思ってたんだよね。
そしたら、仕事もはかどったのかな。いつもより早く終わって、自分でもびっくりしちゃった。」
鞄に隔たれて見えないはずの弁当をまるでみつめているように視線を落とし、昼間の感情を思い出しているのか興奮気味に頬を少し赤らめながら吐露する彼を見て、妹子は純粋に嬉しいと思った。
実は本格的に自分で考え、自分一人で作る弁当は彼が初めてだったのだ。
親の手伝いをしていたとはいえ、内心は不安だった。
「ありがとうございます。嬉しいです。・・・本当。」
気づけば自身も口許をほころばせていた。
手間をかけたかいがあったと、嬉しそうに微笑む妹子を見て太子は更に頬を緩める。
その時、雰囲気を翻すかのように横から強めの風が細い音を立てて吹き去っていった。
春先の夜、まだ冷たさの残るそれにより、彼らは現実に引き戻された感覚を覚える。
「じゃあ、明日もお願いね。」
「はい、待ってます。」
太子が手を振るのと呼応して、妹子も微笑を浮かべたまま軽く振り返し見送ったのち、胸が暖かい感情で広がっているのを心地よく感じながら店頭の灯りを消し、家の中へと入っていった。
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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆あとがき*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
気づけば約一ヶ月ぶり・・・申し訳ありませんでした。といっても誰か読んでいてくれているのかは不明だが・・・。
相変わらず微妙な調子。うーん・・・。でも書くしかない!書きたいし。
実は考えていたところまでの展開が2話で実現しちゃったので悩んでいました。そしてその夜の話へと続いたのだった・・・。
本当にこの長編続くか心配・・・。続いたためしがほとんどないからなあ。頑張って続けねば!
ではでは、いつもありがとうございます(*^ー^)ノ
また太妹が嫌いな方もです。
更新が約一ヶ月ぶり・・・すみません。
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空は深い闇に染まり、月が白い光を纏いながら顔を出していた。
住宅街であるここは、昼間も人通りが少ないが暗闇の持つ力で余計に閑散とし、家々からはカーテンを通してぼんやりとした柔らかい灯りが漏れている。
天を仰いでも、街の中心部の強い灯りの影響を受けて普段はあまり星は見えないのだが、この日は何故か空がよく澄み渡っていた。
「本当に遅い時間にきましたね。」
閉店後数時間を経て来た目の前の男に対して、妹子は感心したように目を瞠りながら思わず本音を漏らす。
相手は不服そうに少し眉を寄せた。
「いいって言ったのそっちじゃん・・・。」
「いや、確かに、別にいいんですけど。お仕事終わるの、いつもこのくらいの時間なんですか?」
「まあね。今日はちょっと早いほうかも。」
この時間でも早いのか、と妹子は更に驚いたが、表には出さなかった。
最近では定時で帰らせてくれないところも多いと聞くし、きっとこの人も大変なのだろう。疲れきっているとこ、仕事のことを思い出させるのは酷だ。
話の流れを切り替えようと、妹子は一番下の引き出しに用意してあった例の彼専用の弁当箱をショーケースの上に出す。
すると太子も鞄から袋を取り出し、同じく卓上に置いた。
「ごちそうさま。美味しかったよ。」
「本当ですか?」
「うん、量もちょうどよかったし、いつもと違って栄養バランスをちゃんと考えてもらっているのがわかったなあ。慣れていないものを食べるというのは、本当はあまり気が進まなかったんだけど、やっぱ君のお弁当なら何でも美味しいね。」
言葉と共にこぼした笑みを見ると、本当に心からそう思ってくれているのだということがわかる。
妹子の胸には何かがじんわりと広がっていく感じがした。
「あ、ありがとうございます。じゃあ、はい、これ。」
照れ隠しのごとく、早くやりとりを終わらせようと妹子は渡す弁当を彼に向けて少し押して差し出す。
そちらに一瞥をくれると太子は鞄から財布を取り出し、代金をレジ付近に置いた。
値段ぴったりに渡されたそれをレジに閉まっている間に、彼も夕飯と朝食用、二つ分の弁当箱を鞄にいれる。
「さっき、今日はちょっと早いほうかも、って言っただろ?」
ふと思い出したように、太子は鞄のファスナーを閉めながら、あまり触れないほうがいいかも、と妹子が気を遣って逸らした話題を掘り返した。
脈絡もない話にドキリと心臓が反応する。
「今日一日なんだか気分がよくてね。・・・なんか気持ち悪いかもしれないけど、ずっと妹子のこと考えてた。あ、あの、大丈夫、お弁当のほうね。すごーく、楽しみで。早く会いたいなーって思ってたんだよね。
そしたら、仕事もはかどったのかな。いつもより早く終わって、自分でもびっくりしちゃった。」
鞄に隔たれて見えないはずの弁当をまるでみつめているように視線を落とし、昼間の感情を思い出しているのか興奮気味に頬を少し赤らめながら吐露する彼を見て、妹子は純粋に嬉しいと思った。
実は本格的に自分で考え、自分一人で作る弁当は彼が初めてだったのだ。
親の手伝いをしていたとはいえ、内心は不安だった。
「ありがとうございます。嬉しいです。・・・本当。」
気づけば自身も口許をほころばせていた。
手間をかけたかいがあったと、嬉しそうに微笑む妹子を見て太子は更に頬を緩める。
その時、雰囲気を翻すかのように横から強めの風が細い音を立てて吹き去っていった。
春先の夜、まだ冷たさの残るそれにより、彼らは現実に引き戻された感覚を覚える。
「じゃあ、明日もお願いね。」
「はい、待ってます。」
太子が手を振るのと呼応して、妹子も微笑を浮かべたまま軽く振り返し見送ったのち、胸が暖かい感情で広がっているのを心地よく感じながら店頭の灯りを消し、家の中へと入っていった。
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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆あとがき*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
気づけば約一ヶ月ぶり・・・申し訳ありませんでした。といっても誰か読んでいてくれているのかは不明だが・・・。
相変わらず微妙な調子。うーん・・・。でも書くしかない!書きたいし。
実は考えていたところまでの展開が2話で実現しちゃったので悩んでいました。そしてその夜の話へと続いたのだった・・・。
本当にこの長編続くか心配・・・。続いたためしがほとんどないからなあ。頑張って続けねば!
ではでは、いつもありがとうございます(*^ー^)ノ