※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また太妹が嫌いな方もです。

タイトル通りチョコレートを題材にした話。甘いのを目指しました。目指しただけです。現パロ?
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「チョコレート中毒」

静寂の中耳に入ってきたその言葉に妹子は伸ばしかけていた手を止めた。
それから少し睨めつけるように向かいに座っている彼を見る。

「・・・何ですか。」
「いやあ?思ったことをそのまま言っただけだけど。」

そんな怖い顔しないの、と太子は誤魔化すように肩を揺らす。
相手にするだけ無駄だとわかっている妹子は、小さくため息をつきながらテーブルにある物に視線を落とした。
ガムと似たようなプラスチック容器に入っている、キューブ状のチョコレート。
先程から本を読みながら無意識に手に取っていたようで、今朝コンビニで買って来たばかりだというのに既に内壁の白さが目立っている。

「いくらチョコレートが疲れにいいとは言っても、それじゃいつかチョコレートになっちゃうよ?」
「どちらかというとカカオなのでは。」
「ああそうだね・・・ってわかってるならやめろよ・・・。」

太子の意見を受け入れるのはどこか腑に落ちないものの、確かにこのままではいけない気がする、と妹子は思った。
暫くチョコレートから離れよう、と蓋に手をかけたその時、

「それ、そんなに美味しいの?」

やはり微笑を浮かべながら彼は尋ねた。

「ええ、まあ。」
「一個頂戴。」
「ええー・・・。」

心底嫌そうな顔をしていたが、わりと日常的なことのせいか彼は屈しない。
むしろそれが承諾の返事だとわかっているようで、更に口角を吊り上げた。

妹子は渋々容器から一つ摘み取り、彼の胸の前に差し出す。
しかし太子は人差し指でとんとんと唇を叩き、それから声を発さずに口だけを動かした。
口話がわからなくても、前の動作から大体の見当はつく。

彼は理不尽だと言わんばかりに眉を寄せながら腕を引っ込めた。
そしてそのまま手を自身の口元まで持っていき、チョコレートをころりと口内へ放った。
太子の口から思わず、え、という声が漏れる。

「さあ、どうします?」

彼の目はそう言っているようだった。
実際妹子は彼の驚く様子を楽しんでいるような笑みを浮かべている。

刹那、心臓が大きく脈打ったと同時に太子は目を瞠った。
しかし高まる鼓動とは反対に、ふっと余裕の笑みを浮かべる。

「何で顔赤くしてるの?妹子。」
「・・・してません。」
「してるよ。」

自分から仕掛けておいて恥ずかしくなったのか、妹子の頬が桃色に染まっていた。
太子が指摘するとそれは朱に変わり、ますます蒸気していく。
それが彼の精一杯なのだということが表情を通して十分にわかった。

そうとなると、ますます愛おしく、手を出さずにはいられない。
太子が手招きをすると、珍しく彼は素直にそれに応じた。

「本当、君ったら可愛いことしてくれるんだから。
でもね、妖艶な妹子もいいけど、背伸びをしない、いつも通りの妹子のほうが、私は好きだな。」

太子は、顔を赤らめながら自分の膝に跨る彼を引き寄せ、そして。

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■□■□■□■□■□あとがき■□■□■□■□■□
久々に書いたらひどいですね。ええ。
なかなか言葉も出てこないしで時間ばかりが過ぎ行く中何とか完成したけど・・・これは・・・。
だんだん目指していた甘いのとは離れていったので軌道修正したのですが無理がありすぎたかもしれません。
ついでに「現パロ?」としたのはチョコレートがあることとソファーやテーブルがあることの点で、まあ飛鳥時代のままでよかったんですけど一応そう表記させていただきました。
しかしジャージやカレーがある何でもありの世界なのでこれはなんか飛鳥時代のままでいい気がします。