※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。

また、太妹が嫌いな方もです。

パロが苦手な方はお逃げください。これは人魚姫風パロもどきです。

すすけ劇場(ツイッター)にて。

ツイッターのを修正せずそのままうpっているのでいつも以上に言葉がおかしいところが多々あります。ご了承を。

一応1ツイートずつ句切ってうpります。

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昔、昔、その昔。
人間の潜れないような、深い、深い海の底は人魚達の住処でした。
人魚というものは、上半身は人間、下半身は魚の尾がついていました。
そして、男も女も皆美しいうろこを持っていました。

この世界の美の基準のひとつはうろこにありました。
太陽の光に当たるとそれが水面と共にキラキラと光り輝き、泳ぎ回ると光の線が繋がっているように見える、そんなうろこが理想でした。

その人魚の世界で最も美しいうろこを持っていると噂された1人の幼い人魚がいました。

その子は男の子でしたが、女の子にも劣らないそれはそれは綺麗なうろこを持っていました。
その子のうろこは太陽の光に当てると、水面同様光り輝き、またそれが動くたびに見える色が違ってくるのです。
ここまで沢山の色を表すうろこを持っている人魚はなかなかおりませんでした。

またその子は愛想も良く、頭も良かったので近所ではちょっとした有名人のようでした。
そしてその子を見るなり皆、口を揃えて言いました。
「この子が成長したら、きっと国中で一番美しい子になるだろうね。」
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数年後。
その子は皆が言った通り、それはそれはとても美しい青年に成長しました。今や国中でその姿を知らない人はおりません。

ある日青年は歌を歌いに、海から出たいと思いました。
実は人魚は人間に見つかってはいけないため、夜、暗くなった時以外は水面から顔を出してはいけないというきまりがあったのですが、青年はまだ太陽の光輝くうちに上へと昇っていきました。

しかし青年はこの通り、通った後に光の筋が出来てしまうのでどこへ行こうにもみんなに声をかけられます。
「おや、妹子ちゃん、どこ行くの?」
「ちょっとそこまで。水のきらめきを見ていたいので。」

その青年は名を妹子といいました。
妹子は先程も言ったように、頭がいい子だったので毎回毎回、小さな嘘をつきつつ皆の目の合間を縫って地上へと向かって行くのです。

沢山の障害を通り抜けて、いよいよ水から顔を出すと、頭上にはさんさんと照っている太陽がありました。
周りを見渡すとやはり膨大な海が広がっていて、水面は太陽の光を受けてキラキラと輝いていました。
波は空に浮かんでいる雲と同様、とても穏やかでした。

「やっぱりきれいだなぁ。」
妹子は思わずみとれてしまいそうでしたが、こうしてはいられません。
何せ人間に見つかったら二度と海の外へと出られなくなるのですから。
妹子はいつもの、人の街から遠く離れた岩場へとすぐさま泳いでいきました。

「~♪~~♪」
妹子はいつもこの岩場に登り、のびのびと気持ち良さそうに目を瞑って歌います。
ここなら沢山の岩があるし、その中で一番小さい物に腰をかけているので、陰になりやすく人間に見つかりにくいのです。

「あれ?何か歌声が聞こえないか?」
「!」
歌っている途中、妹子は人間の男の声が聞こえたのでとっさに岩から降りて岩陰に隠れました。

そっと顔を出して見ると、少し離れたところに一艘の立派な船が見えました。
妹子は浅く潜ると、船に近づいていき、水面から顔を出して船の様子を窺いました。
するとそこには多数人がおりましたが、その中で最も妹子が目を引かれたのは、先程の声の主と思われる男性でした。

他の船員達はそれなりの格好をしているのに対し、この人だけは何故か青いジャージ。
実は妹子がこの人を見たのはこれが初めてではありませんでした。
何日か前に一目見たとき、やはり変わった風貌が気になったのか気がつけばここのところ毎日この船の中の様子を窺うようになっていました。

(・・・変な、人だなぁ。)
妹子はこの人を観察していてそう思いました。
しかしこの人は、なんでもこの国の皇子だと言うのですから、世の中とは不思議なものです。

「私には何も聞こえませんでしたが。」
「あれー?おかしいなぁ・・・確かに聞こえたと思ったんだけど・・・。」
その人は頭をぽりぽり掻きながら、歌声の主を見つけようと思ったのか海のほうへ、しかも妹子がいるところへと近づいてきました。

そこで妹子は慌てて潜りこみ、その日はそのまま海の底へと帰っていきました。

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翌日、妹子はまたいつもの場所で歌い、そして船が来ると進んで近寄っていきました。
例のあの青いジャージの人は勿論今日もいました。

しかし今日のあの人は船の端で頬杖をつき、何やらぼーっとしているような、物思いに耽っているような様子でした。
(どうしたんだろう?)
妹子が少し心配に思ったその時、あの人の口からため息が漏れました。
「おーい、人魚ー。いるのー?」

それを聞いて妹子は、バシャッと水音を派手に鳴らしながら潜りました。
水の中で妹子は目を瞠り、両掌で口を塞いで暫くそのまま硬直してしまいました。

(やばい、バレてた。)
そう、実はあの時、妹子のその美しいうろこが光り輝いてしまったせいであの人は逃げていく妹子のヒレを見てしまっていたのです。

妹子は驚きと恐怖で震えが止まりませんでしたが、勇気を出してもう一度水から顔を出し、その人に出来る限り近づきました。
その人は相変わらず頬杖をつき、どこか遠くを見ながら船員と会話をしていました。

「太子、何言ってるんですか。人魚なんかいるわけないでしょう。」
「ん~・・・でも見たんだよ、昨日。」
「見間違いですよきっと。
それに人魚には怖い逸話が沢山ありますからね・・・いたとしても関わらないほうがいいですよ。」

「逸話?例えば、人を食うとかそんなん?」
「そうですね。でもこの港町では昔から人魚に関わってはいけないと、きつく教えられているみたいですから、見つけても絶対に関わっちゃいけませんよ。」
「んー・・・。」

妹子は船員の言葉を聞いてドキリとしました。
(・・・そんなこと、しないのに。)
妹子はひどい言われようにとても悲しくなりましたが、自分たちも似たように教えられてきたので、仕方がないのだろうと思いました。
しかしわかっていてもズキズキという胸の痛みは止みません。

ふと、妹子は人間の世界を見てみたい、と思いました。
妹子は好奇心が強い子だったので、人間が人魚に対してどう思っているのかをもっと知りたいと考えたのです。
そして何より、あの、太子という人間と話してみたいと強く願いました。

(・・・よし、僕、人間になろう。)
妹子はそう決心し、太子に小さく別れを告げ深く潜っていきました。
しかしこの日はまっすぐ家に帰るのではなく、ある1人の魔法使いのところへと向かいました。
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続きます。

読みにくいかと思い、いつも通りキリよさげなところで区切りマーク入れさせてもらいました。