※BL・腐の意味がわからない方、これらの言葉に嫌悪感を抱く方は閲覧をご遠慮ください。
また、芭曽が嫌いな方もです。
芭曽で不倫の話。
前半少し裏っぽい表現があります。ご注意を。
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「曽良君、好きだよ、愛してる。」
ちゅ、という音と共に暗闇の中で甘ったるい声が響き渡る。
唇で愛撫をされたそこは、闇に映える雪のような白肌から、部分的に紅へと変わる。
芭蕉はもう一度、曽良の首筋へと唇を落とし、言葉を続ける。
「君が、好き。世界で一番、大好きだよ。」
「・・・そんな臭い台詞、似合わないです。気持ち悪いですよ芭蕉さん。」
それまでの雰囲気を壊すかのような彼の容赦ない言葉に、
ひどいなぁ、と芭蕉は苦笑を浮かべながら呟く。
その笑みには、相変わらず彼らしい台詞だ、という意味が大半を占めている。
「ひどいのは、貴方でしょう?
そのようなことを言うなんて、奥様が悲しまれますよ、芭蕉さん。」
曽良の淡白な物言いとは反対に、深い意味のこもっている言葉が芭蕉にのしかかる。
彼のその一言で、これまでの甘い雰囲気から深刻な空気へと変わった気がした。
意表を突かれた芭蕉は動揺を隠し切れず、即座に上体を起こす。
「・・・知ってたの?」
「僕がそんなに馬鹿だとお思いで?」
それがどんなに怒れる内容であろうと、曽良は全く表情筋を働かせずに、真っ直ぐと彼の目をみつめながら唇を動かす。
読み取りにくい彼の表情だが、やる気のなさそうなその眼差しからは、逆に少し威圧を感じる。
恐らく彼は事実を知っていた自分に対して驚かれたことが、馬鹿にされたように感じたのだろう。
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その言葉を最後に、部屋には静寂が広がった。
芭蕉は暫く曽良から顔を背け、何か考えているような素振りを見せた。
そして意を決したかのように再び、視線を送り続けている彼へと視線を戻す。
眉を上げてはいるものの、強がっているようにしか見えないのは唇が不自然なへの字になっているせいだろう。
この後に及んで言い訳でもするつもりなのだろうか。
しかし言葉を伝える器官である唇が動かない。
曽良から見れば彼の行為は挙動不審としか思えなかった。
数分後、固く結んでいた口は開いたものの、今度は声帯が震わないようで、部屋は相変わらず静寂のままだ。
彼の行動はやはり曽良にとっては怪訝としかとれない。
さすがにじれったくなり事を早急に促そうと、曽良が口を開きかけた瞬間、芭蕉の口からはため息が漏れた。
「もう、いいや、難しく考えるのはやめた。
どう考えたって無理だよね、君を繋ぎとめておこうとするなんて・・・。
ああ、これで君との関係はおしまいかあ・・・。」
再度、彼の口からはため息が漏れる。
眉を下げ目を瞑り、俯いて肩をおろしているその姿からは意気消沈したことが窺える。
「でもね、世界で一番好きだっていうのは本当なんだよ・・・ってうわっ!?」
感傷に浸っていたところ突如胸倉をつかまれた衝動で芭蕉は体勢を崩した。
顔をあげると、曽良の顔が間近にあることに驚き目を瞠る。
曽良は胸倉を掴んだまま今にも触れそうなくらい、芭蕉を自分へと近づけ、
彼の双眸を正視しながら小さく口を開いた。
「誰が終わりにすると言いましたか?
わかったら、さっさと来なさい、芭蕉さん。」
漆黒の瞳に宿る光は、自身の言葉の意味をはっきりと表していた。
曽良の言葉に芭蕉は、瞠っていた目をさらに大きく見開いたが、次第にそれは細まり、
彼は少し苦笑混じりの笑みを浮かべた。
「・・・はい。」
小さく返事をすると芭蕉はそのまま倒れこみ、曽良の首筋へと顔を埋める。
すると彼からは吐息ともとれる切なげな声が漏れる。
夜啼鳥の透った声が、夜の始まりを彼らに知らせた。
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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆ごめんなさい*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
相変わらずの文章力ですみません。説明臭くならないように気をつけたつもりが・・・。
携帯で見ると文章が凄く長く見えたりするので、少し短めを意識したのですが、逆にそれが幼稚となっていなければいいのですが。
あと、夜啼鳥っていつ鳴くの?とか、聞いちゃいけません。全て私の想像上のものであると考えてくださ(殴
芭曽で不倫のお話。
関係的には、芭蕉さんには奥さんがいて、曽良君が愛人。
曽良君には自分に奥さんがいることを知らせていなかったため、彼は愛人である、ということを彼自身は知らないだろう。
と、思いきや、曽良君は賢いため自分が愛人であるということを最初から知っていた。
そして今回、曽良君が自分は愛人だと知っていた、ということを知らされて驚く芭蕉さんのお話でした。
しかしそれでも曽良君は芭蕉さんのことが好きなので、不倫関係をやめようとはしません。芭蕉さんも勿論、やめる気はありません。
ダメだとわかっていながら愛し合う二人でした。
でわでわ(*^ー^)ノ