「歴史は繰り返す」と全校生徒指導の時間に講堂で述べたのは、漢文と生活指導の星川剛教諭であった。70年安保反対運動は、地方都市でも盛り上がりを見せていた。郡山市から警察機動隊が駆けつけ、メインストリートをデモ行進する市民学生のデモ隊を監視し続けていた。ジグザグデモで行進する団体の中に明雄もいた。帝都大学生の長身の男がマイクを持ち、「安保粉砕」を叫びながら行進は進んだ。時間は夕方で、街灯が機動隊の濃紺の制服やヘルメット、ジェラルミンの盾を鮮やかに照らし出している。光が反射している。通行人の中に、一眼レフのカメラで明雄達を撮影している男いる。シャッター音が響く。大人では無い。ジグザグデモではあったが、平穏に行進は終わり、リーダーの演説の後、シュプレヒコールを行ない解散した。高校生がこうやって機動隊と対峙するのは、星川教諭の「歴史は繰り返す」ことの現れだと思った。明雄は「白虎隊」を追体験しているのだと思った。しかし、現代国語の長山聡教諭は言う。「朝敵と言われた事もある会津だが、左翼の活動家は出ていない。右翼の活動家は出ているが、」