翔の実家の訪問を終えて湖に沿った道路を走行している時だった。時刻は19時半にもなろうとしていた。誰もいない湖水浴の出来る砂浜を通り過ぎた直後、普段は人けのない沖合に誰かが泳いでいる姿が一瞬見えた。明雄は空き地で車をUターンさせると湖水浴場の駐車場に車を止めた。水着は持っていなかったが、短パンだったのでTシャツと靴を脱ぐとそのまま湖水の波うち際まで進んだ。沖合を見るとさっきの人影がこちらを見ている。長い髪、女のようだ。明雄は恐る恐る足を湖水に進めた。長い髪との距離は10メートル程になった。首までつかる位置まで進むと、相手の顔が見えて来た。少女のようだ。明雄は冗談のつもりで聞いた。
「人魚姫のミランダちゃんかな?」
相手は短く答えた。
「そうよ。」
明雄はきょとんとして少女を見、目の前の水中を見ると絡みあった水草が数本いく手を遮っているように見えた。とその時、長い髪の少女の泳いでいる足元の水面が盛り上がるように見えた。その瞬間、明雄は全身が凍り付くような衝撃を受けた。足が水面に反り返って来るとばかり思っていたのに、それは大きな尾鰭(おびれ)だったのだ。
「人魚姫のミランダちゃんかな?」
相手は短く答えた。
「そうよ。」
明雄はきょとんとして少女を見、目の前の水中を見ると絡みあった水草が数本いく手を遮っているように見えた。とその時、長い髪の少女の泳いでいる足元の水面が盛り上がるように見えた。その瞬間、明雄は全身が凍り付くような衝撃を受けた。足が水面に反り返って来るとばかり思っていたのに、それは大きな尾鰭(おびれ)だったのだ。