明雄は翔の書いた評論を読んで、とてもショックを受けた。17歳の同期生の中に、こんなに論理的で高いテンションのまま、原稿用紙で20枚程もの内容を表現している人間が存在する事に。教科書の論説文などと同等の格調を感じたし、雑誌の評論などと同等の問題意識を受け止めた。大学生だってこんなに集中した緊張感を感じさせる文章を書く人はそんなにいないのではないだろうか?
「言いたい事は書き言葉で表現しているので、何が言いたいのかを聞いても、とは思うけど、、、」
翔の部屋の中央には、スチール製の本棚が2列並んでいる。その一角に20ページの処女作が表紙付きで並んでいる。
「逆に、君の考えなり、思っている事なりを話すのがいいと思う。僕は脱力感の中にあるのだから」
僕にとっては、アルバイトをするようになって大きな変化が訪れていた。「新聞の折り込み広告」を運ぶ仕事。広告を見た人が買い物をして企業の売り上げが伸びる。企業の売り上げからやがて広告費が支払われ、それが印刷所に届く、こうしてそこからバイト代が支払われる。このサイクルの中に組み込まれてしまうと自分は翔のようには飛べない人間なのだと思う。僕が考えたのはこういう事だ。
「アルバイターも企業主も同じだ。実業だ。一方違う仕事もある。政治・宗教・芸能・スポーツに携わる人々だ。この違いが僕には重要だと思うのだ。生きるという事は何か一つの事をする事だとも思うが、多くの事に関わって生きてゆく事だとも思う。そのあたりが良く解らない。」
「言いたい事は書き言葉で表現しているので、何が言いたいのかを聞いても、とは思うけど、、、」
翔の部屋の中央には、スチール製の本棚が2列並んでいる。その一角に20ページの処女作が表紙付きで並んでいる。
「逆に、君の考えなり、思っている事なりを話すのがいいと思う。僕は脱力感の中にあるのだから」
僕にとっては、アルバイトをするようになって大きな変化が訪れていた。「新聞の折り込み広告」を運ぶ仕事。広告を見た人が買い物をして企業の売り上げが伸びる。企業の売り上げからやがて広告費が支払われ、それが印刷所に届く、こうしてそこからバイト代が支払われる。このサイクルの中に組み込まれてしまうと自分は翔のようには飛べない人間なのだと思う。僕が考えたのはこういう事だ。
「アルバイターも企業主も同じだ。実業だ。一方違う仕事もある。政治・宗教・芸能・スポーツに携わる人々だ。この違いが僕には重要だと思うのだ。生きるという事は何か一つの事をする事だとも思うが、多くの事に関わって生きてゆく事だとも思う。そのあたりが良く解らない。」