少年時代には、もうすでにリニアモーターカーも、太陽電池(太陽光発電)も、テレビ電話も、アイデアとしては出ていた。少年漫画のヒーロー達は未来の世界に空想の世界から呼びかけていた。彼らは自由に空を飛べたし、ありとあらゆる機械を使いこなし、いつも元気で、その少年らしい正義感は決してひるむ事も揺らぐ事もなかった。明雄は、妹達の読んでいた怖い話、例えば「蛇少女」の劇画を読んだ夜には、トイレに行くのが怖い事もあったし、ラフカディオ・ハーン「怪談」の、のっぺらぼうの挿絵に鳥肌立つ事もあった。おびただしい数の昆虫・爬虫類・魚類と出会い、木々や岩肌、砂、洞穴、河原、屋根裏、鳥小屋、砂利道、山道、小鳥の巣、カブトムシの幼虫、成虫と戯れた。桃太郎の話をする時、大人は、本当に桃太郎がいるように話したし、子供達も桃太郎になって鬼ヶ島に行く気になって聞いた。十五少年漂流記にしろ、ロビンソン・クルーソーにしろ、トム・ソーヤにしろ、朝起きて、学校に行き、しっかり勉強したという話ではなかった。しっかり勉強して親孝行した子供の話を読んだ事がない。何故?