こんにちは。

 

風景6銭の第1種有封書状の速達郵便です。

高圓寺七 昭和12年10月31日 前8-12 ⇒ 東淀川 同日 后8-12

 

切手は、風景6銭の昭和白紙です。

郵便料金の内訳は、第1種有封書状(20gまで)4銭、速達郵便8銭です。

 

当時の速達郵便は、昭和12年8月16日施行の速達郵便規則で『速達郵便物ハ別ニ告示スル速達方法ニ依リ之ヲ送達ス』とされ、逓信省告示第2326号で、速達郵便物ノ送達方法として、『有封書状及第2種郵便物第2號の航空郵便線路ニ依リ之ヲ逓送ス竝前項ノ郵便物ニシテ航空郵便線路ニ依ルトキハ遅達スト認ムルモノハ通常ノ方法ニ依リ之ヲ逓送ス』とされていたことから、

①航空郵便線路による送達

②航空郵便線路以外の鉄道等による送達

の2パターンの送達方法が考えられます。

 

 

 

このカバーは、どちらの方法で送達されたのでしょうか?

 

当時の速達郵便の送達方法については、無料世界切手カタログ・スタンペディア株式会社が発行している『フィラテリストマガジン第18号』の『昭和12年8月16日施行以降の使用例を探す 戦前速達郵便の航空逓送(行徳国宏様著)』という論文に詳しい記載があり、とても参考になります。

この論文を参考に、今回のカバーの送達方法を考えてみました。

 

昭和12年8月16日よりすこし前になりますが、昭和12年4月30日発行の『郵便年鑑』に東京を中心とした各主要都市間の郵便物送達所要時間(航空路を除く)の記載があり、

東京 ⇒ 大阪

最短 17時間40分

最長 39時間00分

とされています。

朝8時に高圓寺七郵便局で引受し、夜12時に東淀川郵便局に到達したとしても、かかった時間は16時間なので、この使用例は、より早い、①航空郵便線路による送達の可能性が高そうです。

 

昭和12年8月16日施行以降の使用例を探す 戦前速達郵便の航空逓送』には、当時の航空郵便線路別の航空機発着時刻表の詳細な記載があります。

論文の中に、今回のカバーを説明できる航空機の発着時刻として、

東京(受渡局:東京中央) 13時30分発

大阪(受渡局:大阪中央) 16時20分着

がありましたので、このカバーは、航空郵便線路による送達と判断しました。

 

(2024.7.15 12:40修正)

→鉄道郵便印の備忘録様から貴重な情報をいただきました。

 昭和10年10月10日の汽車時刻表
 ・特急つはめ 東京發前9:00 → 大阪着后5:00
 ・急行 東京發前10:30 → 大阪着后8:34
 ・特急さくら 東京發后1:30 → 大阪着后10:00

 今回のカバーは、おそらく鉄道線路による送達と考えられそうです。

 鉄道郵便印の備忘録様、本当にありがとうございました。

 

 

消印から当時の送達ルートが分かるのは、とても面白いと思います。