インナーチャイルドの克服のためには、まず、正しく自分自身の状況を把握できる必要があります。
例えば、布団をかぶって寝ていたら、いつも間にか自分の家が「火事ぼーぼー」になっても、気付けない事があります。
今、どのようなテンションで、どういう風に挑めばいいのか、それすら知らないのが、インナーチャイルドの本当の姿です。
インナーチャイルドとは、「大人の中にある子供らしさ」の事を指すのですが、
例えば、自由奔放に何の社会教育も受けなかった人を除いて
日本のインナーチャイルドを語る時、
「アダルトチルドレン」という言葉はどうしても外せません。
「アダルトチルドレン」とは、親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧
などの見られる※機能不全家族(家庭?)などで育ち、生き辛さを抱えた人。(WIKIからの引用)
※家庭内に対立と暴力、心理的を含む虐待がある家族。
機能不全家族の元で育つとどのような不利益があるのでしょうか?
日本では、戦前戦後を問わず、ずっと男尊女卑、合理主義、生産性主義の理念が社会に満ちあふれていました。
つまり、世の中で役に立たない者、生産性の低い者を「価値が低い」とレッテルを付けて、
その者たちを、迫害し、仲間外れにする。
という事が常にどこかで起こっています。
これは、本来人間の持つ性(サガ)なのかも知れません。
これらの「差別的待遇」は、人間が群社会で暮していた石器時代には、既にあったのだそうです。
つまり、2万年以上も変わらない状態があります。
何故ならば、弱い立場の者、未熟な者は、本来「群れの仲間」が守る必要があるのですが、
機能不全家族が子育てを行った場合、近代ではその殆ど9割を超える子供らは、
親と同じく、精神が未熟なまま、機能不全を起してしまう事が良く知られています。
つまり、大人になってからも「守られ続けようとする」から、相手から「手間をかけさせる存在」と認識され、
ご当人からも良く出て来る言葉、「お荷物」と扱われてしまうというものです。
(ああ、悲しい、悲しすぎる・・・小さき者、弱き者の扱われ方は散々ですね。)
では、なぜ、親と同じ道を辿ってしまうのでしょうか?
それには、二つの事柄が大きく関係しています。
一つ目は、核家族化です。
高度経済成長と言われた西暦2000年頃までは、まだ戸主制度の影響で、
おじいちゃん、おばあちゃん、おばさん、おじさんなどを含む、直系三世帯以上の家族が、共に暮らす時代がありました。
(平成世代では、想像もできないかも知れません。)
そのために、ちょっと子供っぽい親がひとり居たとしても、多くの親族の支えがあって、
社会での役割や生活を、親に教えられなくても、実践的に直接学ぶ事が出来ました。
でも、核家族化が起きて、最も影響を受けたのは、女性と子供と言われています。
何故ならば、社会的には弱者であるにもかかわらず、家族や他人から助けられる機会が、大幅に減ってしまったからです。
(核家族化を女性は望んでしていた筈なのに…何故?と疑問に思うかも知れませんが、この話はまた別の機会に。)
二つ目は
「社会性に対して、適切な見本が無かった」事でした。
そのために、核家族化が進んで得られたものは、個性化が進んで、多様性が生まれたという事。
その逆に、昭和前期の社会人と比べて、社会性が急激に失われてしまったのでした。
(つまり、「核家族」は「孤立家族」でもあるのです。)
孤立家族の中から、更に孤立してしまったのが、その子供たち。
つまりアダルトチルドレンであり、同時にインナーチャイルドでもあるのです。