そう、ジェニファー・ジョーンズです!

「ジェニイの肖像」は1948年のアメリカ映画です。監督はウイリアム・ディターレ。共演はジョセフ・コットン。

「終着駅」は1953年のイタリア、アメリカ合作の映画です。監督はヴィットリオ・デ・シーカ。共演はモンドメリー・クリフト。

 

この二本、アマゾンプライムで続けて観ました。

ジェニファー・ジョーンズ、美しいですね。眉が左右で違うというのをそのままにしているのも興味深いです。左のキュッと上がった眉が両方ならエヴァ・ガードナー。右のスッとまっすぐな眉が両方ならナタリー・ウッド。そんな風な美人ですね。

誰かが「その眉はそのままがいい」とか言ったんですかね? 普通はどちらかに合わせると思うんですけど。

当時の美人女優に区分されるかもしれませんが、その眉の一点で個性のある俳優だと私は思います。「慕情」(誰でも知ってる主題歌)でのウイリアム・ホールデンとの共演が有名ですが、今回の二作もなかなかいいです。

 

「・・肖像」は、売れない画家が不思議な少女と出会ったあと、画商にも認められ、彼女のポートレートを書くようにすすめられます。そして彼女を探すうちに彼女の生い立ちの謎に触れることになるのですが・・・

少女がジェニファー・ジョーンズです。少女から大人までを、当時29歳の彼女が演じています。ネタバレになりますが、彼女と画家(ジョセフ・コットン)は生きていいる時代が違うのです。その二人に生まれる愛情を、ジェニファー・ジョーンズが無邪気な少女から大学を卒業して思い悩む大人の手前の女性までを演じて表現しています。

ジョセフ・コットンがどうしてもオッサン顔なので、私にはいまいちですが、ジェニイが手に入らない存在だとうすうすわかっていても、物語のクライマックスで彼女を求めてしまうという気持ちは本当によくわかります。

 

「終着駅」は製作されたのがその五年後ですが、彼女はとても大人の雰囲気があり、不倫に悩む主婦の姿になりきっています。

映画は、彼女がローマ駅からパリに帰ろうとするその数時間の物語です。前に観た「5時から7時のクレオ」に似ています。他にもこんな構成の映画はありますね?

夫と娘がいる主婦が、久しぶりの楽しみで姉が住むローマに一カ月近く滞在していたのです。その間に年下の恋人ができました。

冒頭のシーンは彼女が男の部屋の前まで行き、ためらってノックせずに駅に向かうところです。

そして、男は約束していた彼女が現れないから駅まで探しに来ます。彼女は甥(姉の息子)に彼女の荷物をまとめて駅まで持ってきてくれと頼みます。突然彼女は帰宅を思い立ったようで、7歳の娘の土産にドレスも買います。

彼女を見つけた彼が話をしようとカフェテリアなどで時間を過ごすのですが、彼女が示す夫や娘への愛情を感じた男は彼女に手をあげてしまいます。(これにはちょっと伏線あり)

その後、甥を巻き込み周囲の人々にもかかわりながら時間は過ぎていくのですが・・・

 

監督の性質ですね。ほんのちょっとの端役にも、観ている者が想像力を掻き立てればその人となりを描けるような演技をさせています。電話の小銭を貸す男、コンパートメントで前に座っていた男など、下心か何か分かりませんが、とにかく腹に一物感が半端ない描き方で、笑いそうになりました。

 

そんなわけでジェニファー・ジョーンズいいですね。「慕情」ってしっかり観た覚えがないな・・・