1965年のイギリス映画です。出演はローレンス・オリビエ(警視)、キャロル・リンレー(アン)、キア・デュリア(スティーブン)他。監督オットー・プレミンジャー。

キア・デュリアは「2001年宇宙の旅」のボーマン船長です。この映画は彼を観たかったのと、何かと名前が出る映画だったのでamazon primeでレンタルしました。

 

映画は、若い男がある家に入るときに小さな人形を庭で拾うところから始まります。家には引っ越し業者がいて打ち合わせをします。人形は子供のもののようです。

次に、アメリカからイギリスに引っ越してきて初めて娘が幼稚園に行く日、母のアンは引っ越しの対応などで園の職員と直接娘の引き渡しができず、娘を初顔合わせの部屋に待たせたまま、階下で料理人の女性にその後の娘の様子を見るよう頼みます。

その後自宅に戻り引っ越しを済ませて、若い男からの電話を受けて「引っ越しは問題ない」と応え、下校時間になって園にやってきました。

しかし、他の子どもは迎えに来た親に引き取られていくのに、自分の娘(バニー)だけが見当たりません。担当であるらしい教師は歯医者に行ったとかで不在。朝来た時に娘を頼んだ料理人の女性も急に辞めてしまったとかでいません。

アンは不安のあまり若い男(スティーブン)に電話で助けを求め、彼とともに園内を探しますがバニーは見つかりません。スティーブンは警察に連絡し、警視が指揮を執り捜索が始まります。

 

当初、バニーの姿は一度も画面に表れておらず、アンの周辺の様子の描き方から、観客はアンの言動が何かの妄想ではないかと疑うでしょう。彼女が荷ほどきした子供の荷物は、警視らが引っ越し先の部屋を捜索した時には何も無くなっていますし、スティーブン(若い男=アンの兄)はアンが子供のころ「バニー」という空想上の友達と遊んでいた、と説明するし。

なぜ? どのようにして? 誰が? というミステリーの筋立てで映画は続くのですが、ある場面(ブランコとだけ…)では観ているこちらが気分が悪くなるほどの緊張感でいっぱいになります。この映画も、「泳ぐ人」のように終盤ではホラーになります。

そんな時にも落ち着いて、終始変わらないプロの態度を見せる警視(ローレンス・オリビエ)の姿は、「まっとうさ」を表しているようで、この映画の中で数少ない安心感を与えています。

 

amazon primeでは、このような古い映画も観ることができますので重宝しています。パブリックドメイン入りの映画(多くは無料視聴できる。例えば「グランドホテル」など)も、それらを収めている廉価DVDよりもシャープな映像で観ることができるものが多いです。ローレンス・オリビエの「ハムレット」や「高慢と偏見」なども入っています。いつ観れなくなるのか分からない(権利者が変わるとかあると)のでがっかりするときもありますが。