映画連投(笑) 静かになった夜に鑑賞。

ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)とアメリカ人大学生の恋人パトリシア(ジーン・セバーグ)の物語。

大物ではないやくざ者のミシェルは、警官を殺した後、パリにいる恋人パトリシアを訪ねます。自動車を盗んではパトリシアを連れ、あちらこちらと金策のため回ります。パトリシアは事情を全く知らず、ただ気まぐれな恋人と思い、時間を過ごします。その間も警察の捜査の手は近づいてきて、ある時ついに刑事が、手配されているミシェルの新聞記事をパトリシアに見せて「知らないか」と尋ねます。最初は、知らないと話したパトリシアですが、否定しきれず、次に見たら連絡するようにと刑事から電話番号を受け取ります。そして…

 

この映画はモノクロですが、パリの街や人々が美しいです。

冒頭の有名なシーン。ジーン・セバーグが新聞を道路で売っているところへジャン=ポール・ベルモンドが近づいていく。彼女の、ショートカットで背筋を伸ばして新聞を手に持つ姿。スタイル抜群というわけではないのですが素敵です。そこへ、いかにもチンピラ風に近づく男。うーん、こういう男から離れられないのかしらねぇ…と思ってしまいます。

その後ミシェルがシャンゼリゼ通りでパトリシアを車から降ろし、彼女は友人と車で去ります。さんざん女遊びをしてきた彼ですが、パトリシアに本気で惹かれているるのを自覚しながら彼女を見送っている時、カメラはミシェルをとらえているのですが、そのとき大通りの街灯に一斉に灯がともります。美しい瞬間ですね。

また、パトリシアの部屋でミシェルがふざけて「8つ数えるうちに笑わないと首を絞める」とパトリシアの首を両手でつかむシーンがあります。パトリシアの顔が8つ数えて笑うまで大写しになるのですが、ジーン・セバーグの美しさに驚きです。

 

フランソワ・トリュフォーの原作に、ジャン=リュック・ゴダールの監督・脚本、初の長編作品。ヌーベルバーグの記念碑的作品とされています。

ジャンプカットという編集技法(一続きのシーンが途中をカットされている)で、スピード感が増しています。実際には、長尺になりすぎた作品を短くするために、一続きのシーン全部を省略しなくて済むようにしたからとのことですが。

 

途切れない音楽。ジャズやパトリシアが掛けるレコードのクラシック。ラジオからのポップスなど、いわゆる背景音楽ではない感じが良いです。

ストーリーはわかりやすいです。ミシェルの行動が読めないのが音楽とも合わせてサスペンスを漂わせます。

最後は「仏頂面」で終わるんですが、ミシェルはミシェルなりの矜持を保ったということなのでしょうね。