shimitomonaruo

僕は息をつく。
僕が僕自身に対する僕自身の無意識の裏切りをいくら疑ったところで答えは出ない。そんなのいくら考えても無駄だ。僕は今の僕を断続的に作りながら上手くやっていくしかない。これが今の新しい僕なのだ。<本文より>


久々に本を読んだんで、長ったらしい感想を。


「煙か土か食い物」は好き。
「みんな元気。」までいくと正直ついてけない。
さあ今作はどうだろう、と思って読んでみたんだけど、うん。


今回の主人公も相変わらずスーパーマンで、彼の行動・思考には読者が感情移入する余地なんてまったくなくて、やっぱり舞城王太郎は等身大の主人公とかそういうものに徹底的に喧嘩を売ってるんだなと思った
完全なファンタジーではないんだけど、とっても非現実的
言ってしまえばいつもどおりの舞城王太郎なのでした

掲載誌が「群像」なせいか、いつもの躁病的な文体は少し落ち着き気味
それでも初めて舞城を読む人には十分衝撃的だろうけど( ゜A゜;)
そして今回擬音にすっごく力を入れてて
終盤にある擬音が続くシーンは、なぜかとってもどきどきした
どれも字面はまぬけなのに、なんともいえない緊迫感が
「なじゅるしいいいさし」
こんな擬音ばっかり約11ページ
この場面だけであと3年はこの本のことを忘れないでしょう

やけっぱちで無駄に前向きなラストはもうほんとについてけない
でもこの作品にはこれがベストな終わり方なんだろうな

「舞城版、千と千尋の神隠し」
てAmazonのレビューがとっても的を射ています
でも千と千尋が好きだからこれを読むのは大失敗だと思う
ブラックすぎて(;´台`)...


読んでる間は、やっぱり福井弁はかっこいいし
ちょっと鈍いとはいえ相変わらずのスピード感だし楽しめるんだけど、読後はもやもや
「そういえばあれはどうだったの?」っていう、投げっぱなしな伏線がね、やっぱり気になるのです
今作、ストーリーは全然まったく面白くなかったので、文体が嫌っていう人は無理して読んでもいいことないんだろうな
こういうスピードと勢いで勝負ですってのばっかやられると
いつか嫌いになってしまいそう

舞城好きの私は、擬音シーンのドキドキ感と成雄くんのかっこよさだけで読む価値は十分あったのだけれども
やっぱり舞城の代表作は、私の中ではいまだにデビュー作のあれなんです

たてがみの生えた主人公、森の奥の集落、山の中の美しい馬
謎はたっくさん提起されるんだけど、文中ではひとつとして答えは出てなくて
やっぱり今回もミステリーではないのでした