百年の店(백년가게)特集記事
百年の店とは、30年以上命脈を保ち、お客様から愛され続けてきたお店のうち、 味と職人精神を韓国政府として公式認証を受けたお店です。
今後、百年の店の特集記事を通じて味と伝統性を持った韓国の様々な百年の店の美味しいお店をご紹介します。
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韓国版「土用の丑の日」に韓国人が食べるものとは?「3代サムゲジャンイン」
韓国版「土用の丑の日」に韓国人が食べるものとは?
暑さを吹き飛ばす韓国の夏の食べ物といったら、冷麺やパッピンス(かき氷)などの冷たい食べ物か、もしくはスタミナをつけるために焼肉が思い浮かぶかもしれませんが、韓国にも日本と同じように「土用の丑の日」があるのをご存知ですか?
韓国版「土用の丑の日」を韓国語では「伏日」(ポンナル)と言います。この「伏日」は7月から8月の一番暑い時期に三回あって、「初伏」(チョボッ)、「中伏」(チュンボッ)、「末伏」(マルボッ)で「三伏」と呼ばれています。陰暦のため毎年、三伏の日にちは異なります。
この伏日に、あるものを食べると一年間、病気をせずに過ごせるとも言われています。
韓国版「土用の丑の日」に食べる、そのあるものとは一体、何でしょうか。
それはサムゲタンです。
グツグツと見るからに熱そうな土鍋に、鶏が丸ごと入ったサムゲタンは、いかにも滋養強壮に効果がありそうなビジュアルですよね。
韓国では、「以熱治熱」이열치열(イヨルチヨル)という言葉があって、熱を以って熱を治める。つまり、熱いものを食べて汗を流して暑さを吹き飛ばす、という意味があるそうです。その「以熱治熱」の食べ物の中でも代表的なものがサムゲタンなんです。
そもそも、日本では鶏を丸ごと食べるという機会はなかなかないと思うので、サムゲタンは韓国旅行でぜひ食べたい韓国グルメのひとつではないかと思います。
今回は、三代続くサムゲタンのお店「3代삼계장인」(3代サムゲジャンイン)に行ってみました。
お店の情報
店名:3代サムゲジャンイン(3代삼계장인)
住所: 56−3 Banpo-daero 28-gil, Seocho-dong, Seocho-gu, Seoul
行き方:2、3号線キョデ駅14番出口から277m
電話番号: 02-522-2270
営業日:10:30~21:40(ブレイクタイム 15:30~16:30時)
お店のある教大(キョデ)駅は、駅名でも分かるようにソウル教育大学と、そして法院と検察庁があり、二号線と三号線が交わる駅です。
駅から食堂が続く道を歩いて行くと、「地鶏業」と書かれた赤くて長い垂れ幕が見えてきます。店先では香ばしそうに焼かれた鶏の丸焼きがくるくると回転する姿に、それだけでも美味しそうで目を引きます。
店名から三代続いてきた伝統のあるお店だと分かりますが、外観からも堂々とした存在感が伝わってきます。
こちらは백년가게(百年の店)に選ばれています。
「3代삼계장인」(3代サムゲジャンイン)は、1973年に瑞草(ソチョ)市場からが始まりで、1987年の二代目から今の教大(キョデ)に移り、ここから本格的にサムゲタン専門店としてオープンしてから30年以上になります。2018年には息子さんが三代目を受け継ぎ現在に至ります。
サムゲジャンインとはサムゲタンの職人、匠人のことです。その道のプロフェッショナルと名乗る店名にも自信と誇りを感じますが、実際に様々なこだわりを感じるお店だった、というのが印象的でした。
まず、お店の入り口には、こちらのお店で使われているこだわりの調味料、食材などが展示されています。
天井の高さと、そこから吊るされた雰囲気のある照明、ところどころに木材が使われたインテリアが落ち着きを感じさせます。
芸能人や有名人もたくさん訪れているのが写真で分かりますね。
テレビでもたくさん紹介されているお店ですが、プライベートでもグルメな芸能人も食べに来るこのお店の味がますます気になります。
こちらのお店のサムゲタンは三種類あります。
松の実のサムゲタン、緑豆サムゲタン、よもぎサムゲタンです。
サムゲタンもお店によって色々な特徴を出してると思いますが、松の実、緑豆、よもぎのサムゲタンというのはめずらしいのではないでしょうか。個人的にもどれも初めて目にしたものなので、どれにしようかちょっと迷ってしまいましたが、まずは一番上にある「松の実のサムゲタン」を今回は注文してみました。
サムゲタン以外には수비드(スビドゥ)ポックンタン(鶏煮込み鍋)というメニューもあります。スビドゥという言葉はフランス語からきていて、食材を真空パックし低温で長時間煮込むという調理方法です。栄養成分が破壊されることなく食材本来の味と香りを維持できるのですが、수비드(スビドゥ)の単語を使ったメニューや食品を時々見かけます。
その製法を使ったポックンタンもとても気になります。
まずはすぐにニラや大根のキムチなどのおかすが運ばれてきました。
しばらくすると、グツグツと音を立てた熱々のサムゲタンがやってきました。
上に載せられた薄い千切りのものが何かが気になり、お店の方に聞いてみました。三参という山の奥で育った朝鮮人参のようです。調べると貴重で高価なようなので、これだけでもこだわりを感じます。
このサムゲタンのスープのクリーミーな見た目が、以前からSNSで目にしてとても気になっていました。このスープの味が、今回一番興味深いところだったので、まずはこのスープからひとくち飲んでみました。
飲んでみると、さっぱりしたシチューのような感じでした。どうしたらこんなクリーミーな感じになるのかが不思議でしたが、ひと皿に三日間の精誠の時間をかけている、と書かれた案内を見て、そこに秘密があるのかもしれない、と思ったりしました。
ところで、サムゲタンの食べ方はご存知ですか?
熱々の鍋に入った鶏は箸を入れるとホロホロと崩れるので、まずは好きな量をお皿に取りましょう。
そして小さなお皿には塩を盛ります。
サムゲタン自体はどのお店でも特に調味料を加えていないのが一般的で、鶏や食材から出てくる味だけなのであっさりしています。
テーブルの横の引き出しを開けると、箸とスプーン、そして塩コショウが入っています。
こちらのお塩はハムチョソグム(ソグムが塩)という黒っぽい塩です。韓国で塩の有名産地である全羅南道のシナンの塩なのですが、ミネラルが豊富で必須アミノ酸や食物繊維も豊富に含まれている栄養価の高い塩です。
お皿に取った鶏肉と骨を分けて、鶏肉を小皿のお塩につけて食べます。
ハムチョソグムのお塩が美味しいので、思わず何度も鶏肉につけてしまいますが、ミネラルや栄養価が高いことで、塩分への罪悪感もさほど感じずに食べれるかもしれません(笑)サムゲタンのスープにも塩やコショウを加えて、お好みの味にすることができます。ぜひ、ご自分で味を整えてみてください。
鶏肉をほぐして取り出した骨はどうするかというと、テーブルの端にあるトングとハサミを入れた容器がふたつ重なっているので、そのひとつの容器に骨を入れていきます。
一般的にサムゲタンというと、鶏肉のお腹の部分にもち米のご飯が入っていますが、こちらのお店はご飯が別にきます。以前の記事を見ると一般的なサムゲタンのように鶏肉のお腹にご飯が入っている写真を見たのですが、最近は別について来るようです。鶏肉を半分くらい食べたらそのご飯をスープにいれて食べてみましょう。ちなみにご飯の追加は無料です。
鶏肉を塩につけて食べて、ご飯を入れて鶏肉とスープで鶏粥のように食べて、さらに、おかずで出てきたニラと鶏を合わせて食べたり、大根を食べやすい大きさにハサミで切って、その大根と一緒に食べたりして、色々な食べ方で味わえるのでぜひ試してみてくださいね。
スープの中には松の実の他にも銀杏やなつめも入っていました。
"健康な歴史を込めたひと皿"
つまり、身体に良い、こだわりの材料でずっと作ってきました、ということですね。
サムゲタンを身体に良く健康的に作るには3日をかかり、
ポックンタンの肉質が良く柔らかくするためにはスビドゥ式で75度で6時間かけ、
24時間で健康的なスープができあがる。
このように、材料にこだわり、時間をかけて丁寧に作られるこちらのお店のこだわりが伝わったでしょうか。三代に至るまでに多様な調理法を開発しながらアップグレードしていったようです。
この日、昼食時間より少し早めに行ったのでお客さんはほとんどいませんでしたが、帰る頃には団体の予約のお客さんや会社員の方たちであっという間に席は埋まっていました。
これが、韓国版「土用の丑の日」である「伏日」の日には、さらにもっとにぎわっていると思います。
サムゲタンは韓国人にとって欠かせない伝統的な夏のスタミナ食だ、ということが分かったと思いますが、実際に食べてみても身体のエネルギーが補給されたという感覚になります。
ソウル旅行に来られた際には、ぜひこちらの「3代삼계장인」でエネルギーを蓄えて、精力的に韓国を楽しめるといいですね。
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