百年の店(백년가게)特集記事 

百年の店とは、30年以上命脈を保ち、お客様から愛され続けてきたお店のうち、 味と職人精神を韓国政府として公式認証を受けたお店です。
今後、百年の店の特集記事を通じて味と伝統性を持った韓国の様々な百年の店の美味しいお店をご紹介します。 
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 平壌冷麺を食べてみよう!!「マンポミョンオク」

 

夏を代表する韓国グルメのひとつ、といえば「冷麺」がまず浮かぶのではないでしょうか。
冷たくてさっぱりとした食感の冷麺は、食欲のない時でも喉を通る夏の食べ物というイメージがあると思います。
季節限定メニューとして日本でいう冷やし中華のように、夏にだけ冷麺を出すお店もありますが、元々冷麺は冬の食べ物の代表だったことはご存知ですか。
寒い冬に、立ち込める湯気の中でふうふうと息を吹きながら熱いものを食べたくなるはずの季節に、なぜ冷たいこの冷麺がかつては冬を代表する食べ物だったのか、それは冷麺の発祥地域と材料に由来しています。

 


元々冷麺は、咸興(ハムフン)と平壌(ピョンヤン)という北の地域で食べられた料理でした。

なぜ、この地域から始まったのかというと、こちらではジャガイモとソバが多く収穫され、主にその収穫時期は冬だったこと、また寒さのこたえるこの地域では、ジャガイモとソバ以外の食材を求めることが当時は難しかったそうです。主にソバが主体で作られたこの頃の麺は、熱いスープにいれると麺が溶けてしまうために、冷たいトンチミという大根の水キムチのスープにつけて食べたのが始まりと言われています。一年分のキムチを作るキムジャンという作業は冬の寒い時期に行うのですが、唐辛子が普及していない頃の昔のキムチは辛くないキムチが一般的で、そのキムチを作る際に出る汁、つまりトンチミをそのままスープとして活用していた、という話もあります。それが冬の寒い時期に冷麺を食べるようになった始まりだったようです。さらに、オンドルという韓国式床暖房の部屋では温度調節が難しいため、体を涼しくするために冬でも冷麺をよく食べるようになった、とも言われています。冷麺がかつては冬の食べ物だった、という理由はこんな背景があったんですね。
そんな冷麺も今では季節を問わず一年中食べることができるので、韓国旅行の際に食べたことがある方も多いかと思います。

韓国で冷麺が食べられるお店は、焼肉系のお店、キンパプなどの軽食屋、そして冷麺の専門店になります。
今回はその冷麺が食べられるお店の中でも冷麺専門店であり、さらに平壌の伝統的な方式で作る平壌冷麺のお店に行ってきました。

ソウルの北西に位置する恩平(ウンピョン)区に平壌冷麺の専門店があります。地下鉄3号線のヨンシンネ駅と6号線のグサン駅の真ん中に位置するお店です。

 

 

 

こちら恩平にある만포면옥(マンポミョンオク)というお店は、1972年創業時からずっとこの場所で50年続いている平壌冷麺のお店です。
そして、「百年の店」백년가게に認定されています。「百年の店」とは、創業30年以上で優位性や将来性の高さを評価された店舗であり、認定されれると100年以上の存続・成長ができるように色々なサポートが受けられるそうです。ということは、韓国に残していきたいお店であり、味であり、今後も100年はその伝統と味、そしてお店が守られていく、ということですよね。ということで、そんな「百年の店」に認定された伝統の味を食べてみました。

 

まず、お店の代表メニューである平壌冷麺が表紙になっているメニュー表を開くと、やはり冷麺が最初に記載されています。

 

 

水冷麺と書いてあるのが平壌冷麺になります。冷麺以外にもマンドゥやプルコギ、カルビタンなどの肉料理もありますが、今回はもちろん代表メニューである平壌冷麺と人気メニューのマンドゥを注文してみました。普通の冷麺と平壌冷麺とどんな違いがあるのか、食べるのが楽しみです。

 

 

すぐに付け合わせのキムチとコップに入った茶色い飲み物が出てきました。キムチは辛くないペクキムチという白い白菜キムチなので、辛いものが苦手な方にもうれしいのではないでしょうか。そして、茶色い飲み物はお茶かと思いきや冷麺を茹でたお湯とスープを作るときに出るダシ、これを合わせたものだそうです。日本で言えば、蕎麦屋の「そば湯」のようなものでしょうか。こちらを飲みながら冷麺が出てくるのを待ちます。

 

 

さて、いよいよ代表メニューである平壌冷麺の登場です。
ぱっと見た感じでは、普通の冷麺のようですが、よく見ると麺の色や太さ、質感がちょっと普通の冷麺と違います。そう、普通の冷麺と平壌冷麺は何が違うのかというと、冷麺の材料が異なります。どちらもそば粉が主体で作られていますが、一般の冷麺はそば粉の他にじゃがいもやとうもろこしなどデンプンが加えられているのに対して、平壌冷麺はそば粉と緑豆粉で作られています。そのため、デンプン質が入りコシのある一般の冷麺に比べて平壌冷麺はさほど強いコシはなく、柔らかめですぐに切れるような感じです。

 


冷麺というと長くコシがある麺のために、ハサミで切って食べるのが一般的ですが、なるほど本場の平壌ではハサミで切らずに食べるといっていたのは麺の柔らかさが違うからなのだな、と思いました。
とはいえ、こちらの店員さんも「ハサミはいりますか?」と親切に言ってくれますのでハサミで切って食べたい方はご安心を。


まず冷麺のスープをひとくち飲みましたが、とてもさっぱりしていて、一般の冷麺よりも味は薄めです。平壌冷麺が初めての方は薄めの味付けに驚く方もいるかもしれませんが、逆にこのさっぱりとした味にハマっていく韓国人も多いそうです。私も喉越しの良さについつい飲んでしまう感じでした。
こちらのスープは何が入っているのか店員さんに聞いてみたところ、ヤンジという牛の胸肉とトンチミという大根の水キムチを合わせたものだそうです。普通の冷麺のスープよりこちらのお店は澄んだ感じがしました。

 


麺の上には、大根、きゅうり、牛肉がそれぞれ薄切りで載せられ、さらに卵が載っています。麺はやはり柔らかく、普段の習慣で思わずハサミで麺を切ってしまいましたが、ハサミをいれなくても食べやすく切れてしまう感じでした。
さらに、冷麺というとお酢や辛子をお好みで加える方も多いのですが、本場の平壌ではこれまたお酢や辛子を入れずに食べるのが正統なスタイルのようです。しかし、こちらも各自の好みがありますのでテーブルにはちゃんとお酢も辛子も置いてあります。

日本でも焼肉屋さんに冷麺があるように、韓国でも肉類などの濃い味付けの後にさっぱりとした冷麺で締める方も多いです。平壌冷麺は一般の冷麺に比べると非常にあっさりとして淡白な味なので冷麺だけの単品で食べるのも良いですが、濃い味付けのものと一緒に食べるならさらにさっぱりとして胃にも優しいのでは、と思いました。余計なものが入っていないシンプルに思える中にも食べていくうちに上品さと奥深さも感じました。

 


 

そして、冷麺とともに、マンドゥもおすすめです。
あっさりした平壌冷麺にマンドゥがよく合います。マンドゥ用の味の付いた醤油でさらにペロッと食べてしまいました。ぜひ、冷麺だけでなくマンドゥも合わせて食べてみてください。
 

 

「百年の店」に選ばれたこちら만포면옥(マンポミョンオク)ですが、1972年から始まり、今では三代目の方が経営されています。50年の伝統と歴史があるお店なんですね。メニュー表には1972年開店当初から現在まで何度かお店が建て直されてきた写真が載っていて、歴史を感じました。

 

 

 

現在では立派なビルになって、一階と二階にお店が入っています。一階はお昼を過ぎても人がひっきりなしに入れ替わりお店に入ってくる感じでしたが、昼の混雑を避けて二階でゆっくりお食事されるのもいいかもしれません。

辛い韓国料理だけでなく、素材の味を味わうさっぱりとした味付けもたまには良いのではないでしょうか。
ソウル旅行の際は、「百年の店」にも認定され、季節を問わず食べることができる平壌冷麺のお店、만포면옥(マンポミョンオク)で、ぜひ一度一般の冷麺と平壌冷麺を食べ比べてみてくださいね。

 

お店の情報


店名:マンポミョンオク (만포면옥)
住所: 171, Yeonseo-ro, Eunpyeong-gu, Seoul(서울 은평구 연서로 171 )
行き方:地下鉄6号クサン駅4番出口200m、3.6号線ヨンシンネ駅*6番出口800m
電話番号:0507-1377-3917
営業日:平日、週末 AM 11:00 - PM 21:00(ラストオーダー PM 20:30)
    水曜日:定休日
その他:団体席、駐車、バレットパーキング、持ち帰り、予約、無線インターネット、ペット同伴、男女トイレ区分

 

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