9月9日、55日目。トッカリ瀬〜近藤ヶ淵
5時に起床したが、潮はまだ高いのでもう少し休む事に。
熊の恐怖や、下が石でゴツゴツしてて寝れないと思っていたが、しっかり休め、スッキリした目覚め。
6時には陽も上がり、今日は天気も良さそうだが、Kの体調はまだよくなさそう。
朝飯もあまり食えてない。
三人で岬まで行くか引き返すか相談をしたが、Kの意志が強かったので、アタックは続行する事にした!
8時過ぎに潮が引き始め波も落ち着いていたので、9時前に岬を目指してスタートした。
トッカリ瀬は潮が引いていたため、昨日とは全く別の顔を見せ、昨日確認出来なかった飛び石は今日は顔を出している。
波が引いた瞬間を狙って、三回程ジャンプし対岸に渡るのだが、タイミングを間違えると足はビチョビチョになってしまう。
Kは濡れてた気が。
その先の岩場を越えて行くと切り立った岩壁に鮮やかな緑の草木がとても綺麗で壮大な風景が広がるが、やはりKはそれどころじゃなさそうだ。
Kの頬はコケ、元々細身なのに、ベルトを締めるとSのズボンに巾着袋の様なシワがよるほど、骨と皮だけになってしまっている。
さらに日焼けしたせいかエジプト人に似ている。ハエも飛んでたし。
そんな冗談を飛ばすが、彼には応対する気力すら消えかけていた。
気合だK!
励ましながらも、この先にある干潮時しか渡れない剣岩を午前中に通過するために、多少のペースアップを図る。
その前にモイレウシ南側の高巻きとへつりを越えてゆく。
高巻き
見晴らしの悪い岩場付近や川がある場所では、鈴を鳴らし、笛を吹きまくって人間の存在を知らせる。
バッタリ会うのが一番怖い。
熊は襲ってくると言うより、ビックリして攻撃して来る臆病者。
人間の存在さえ示していれば、滅多に襲われる事はない。
モイレウシ
熊が一番出没するといわれている
モイレウシ川がある入り江だったが、幸い熊はおらず。
だが熊が確実に出没している形跡有り。
鮭はウジャウジャ遡上しているが、死骸も沈んでいたり岩に引っかかっていたり、それをカモメ達がたかっている。
歩いていても、シカの骨はよく見かけるし、食べられた直後の腐って異臭を漂わせている獣も見かける。
これが自然界なのか。
油断は出来ない。
周りを警戒しながら進もう。
モイレウシ北側剣岩はテラス状の岩の上を干潮時に歩いて行く。
満潮時には人の背丈程の水深になるし、200m程の距離があるため干潮に合わせる他ない。
Mちゃんはサンダルを持っていなかったので、素足で痛がりながら歩いていた。
いたそ~(>_<)
そしてモイレウシを過ぎ、次の高巻きがある近藤ヶ淵へ向かう途中
ついに
ヒグマに出会ってしまった。
わかりずらいが、デジカメではしっかり撮りました。
一同突然の遭遇に固まる。
意外と冷静を保っていたが、心臓バクバク、全身鳥肌。
でもこんな時こそ冷静な行動が要される。
背を向けてはならない、走ってはならない、ビックリさせてはならない。
だから穏やかに人間の存在を知らせた。
『お~い。人間だよ~。ここにいるよ~』って。
その瞬間奴が僕らに気付いたのか、こっちを見ている。
70mぐらいは離れていたが、デカさと奴の睨みに、一瞬でも『死』を感じた。
お願いだから、こっちに来るなよ…
熊は人間の存在に気付けば離れて行くと聞いていたが、奴は僕らの事など気にする事無く、狩をしている。
と言うか魚と遊んでる?
そんな感じがした。
議論の結果、食事をしている時の熊に会ったら食事が終わるまで待っている。
がマニュアルだが、食事と言うより遊びに近い感じがしたので、刺激しない様に隣を通過する事に。
その距離50m。
ビビりながら川を渡ってる最中に、熊に追いかけ回されテンパってるカラフトマスが川岸に打ち上げられているのを見て
『今日の夕飯だ!!』
と現状より夕食をとった俺は、尾ビレを掴んで持ち上げようとした
『はっ…!!』
考えてみれば、俺が掴んでいるマスは、奴の大好物だ。
もし持っている所を奴に見られたら、獲物を横取りする敵としてマスも俺も命は無い。。。
取り合えず今日は
キャッチあんどリリ~ス…(T ^ T)
夕食食べる前に熊の夕食になるところだった。。。
でも…食べたかった。。。
熊との遭遇でドッと疲れたので、近藤ヶ淵の高巻き手前で休憩。
100m向こうでは、まだ熊がマスと遊んでる。
さっきまであんなにビビって通過してきたのに、なんか不思議な光景だ。
休憩した後、近藤ヶ淵の高巻きを越えた先で使っていない番屋があったので、Kの体も考えそこで泊まる事にした。
今日もラーメンに、浜に打ち上げられた羅臼昆布を食べ、暗くなるまで語り合った。
隣でKは撃沈している。
明日は荷物を軽くして岬へアタックする事にした。
今日もゆっくり寝られそうだ。
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