上海旅行で注意すべきは時間情報の正確さとはよく言ったものだ。情報の量や質も重要なのだが、開店時間や発車時刻といった時間の正確さは決して取るに足りない要素ではない。そして上海ではこのことが重要になってくる。なぜなら中国屈指の商業都市にあって、この情報の正確さという要素は事の成否を決しかねないほどの重要性を帯びているからだ。
このことを理解するには、まず日中の生活習慣の違いと、中国国内での地域差というものを理解する必要がある。日本では物事は大体時刻表通りに進む。多少の遅れがあったとしても恐らくは多くの場合それは許容範囲内の遅れであろう。ところが中国では、時間を含むほとんどすべての決まり事が当事者同士のその時その場の都合で決まる。
この「時刻表は臨機応変に変更可能」という観点からすると、遅れるという概念がそもそも存在しなくなってしまう。なぜなら関係する当事者が皆遅れることを知らされ受け入れているため、その遅れた時間こそがその時その場の「定刻」となるからだ。
この日中の生活習慣、特に時間の正確さに関わる習慣のうち特に中国において特筆すべきなのは、遅れるのもアリだが早いのもアリという概念だろう。
日本であればたとえば定刻より早くバスが来て走り去ってしまえば大問題だが、中国ではそれもアリ、しかも非常に頻繁に生じる。「他のみんなはもっと早くから来てサッサとしているんだから(そして自分もサッサとしたいから)、あんたがぐずぐずしているのがいけない」というわけで、ここでいくらごねても泣き叫んでも噛みついても全然応じてもらえない。
それで上海はどうなのかというと、中国屈指の商業都市で西欧化も進んでいるこの都市のこと、機をとらえ損なう者は自業自得でしょうと冷笑されるだけだ。もし上海旅行においでになるなら、まず注意すべきは情報収集、それも正確な時間情報の収集であることに、どうぞご留意あれ。