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ラックに窮屈そうに納まっている存在は一見するとパワーアンプのようですが実はDACです。

(実際ラックスマンには同時期M-07という縦、横、高さ、が同一で、
見た目も殆ど一緒と言うパワーアンプが存在していました。
正面を遠目で見た時の相違点はボトムシャーシーの造り位しか見分けはつかず、
店では型番を見なければパワーアンプなのかDACなのか正直わかりません。
このパワーアンプも凄い存在で逆にこのサイズでステレオピュアA級100W(8Ω時)
なんて物を無理矢理詰め込んでいました。
背面には大型冷却ファン2個に、電源ケーブルも何故か2本生えている
まさにモンスターアンプでしたが価格はこのDACより5万安い75万でした。
って話が逸れましたね^_^;)

以前分不相応にも単体DACを使っていて
それがESOTERIC D-2だと記事にしたことがありますが、
実はあの記事を書いた時点ですでにD-2は友人宅に嫁ぎ
ラックにはこの巨漢が納まっていました。

正直D-2には何も不満は無かったのですがたまたま
安価に入手できる事になり、つい勢いで買ってしまいました。

ちなみに友人宅に嫁いだD-2は本来はP-2、D-2のセット販売だったものを
DACとしてエソテリックのD-10を持っている友人と半分ずつ出し合って
P-2は友人が、D-2は自分が所有する共同購入で入手したのですが
今回の事件により友人宅で再びこの2台は純正コンビで活躍することになりました。
手放した事を後悔したくなる位の美音を聴かせてくれていますが
聴きに行く口実がまた増えたと思えば嬉しくもあります。

話しがまた少し逸れましたが
何故DACを換えたかと言えば
D-2の音は確かに素晴らしかったけど、ただ単にそれ以上を望んでしまったと言う
オーディオ好きの悪い虫が疼いたからです。

D-2は実に良いDACで正直癖らしい癖は有るのかな?と思える音で
自分にとっては誰にでも薦める事ができる存在ですが
もう少し低音の厚みやエネルギー感が有って、
個性も少し欲しいと思っていたのも事実です。

じっくりとDA-07とD-2を聴き比べる事もなくD-2は嫁ぎましたし、
そもそも繋ぎかえて聴き比べをするにはDA-07は大きく重過ぎその気力も有りませんでしたが
この2台の違いをザックリ書けば
D-2は美音系でDA-07はそこにエネルギーが付加された感じです。
更に付け加えればとても音が滑らかでかつ情報量が多く、
でも音が静かだと感じました。
またD-2はバランス出力の方が音が好ましく感じ、
DA-07はアンバランス出力の方が自分には向いていると感じました。

それぞれのバランス、アンバランス接続の違いは、

D-2はバランス、アンバランスの音質差は少なく、
バランスの方がノイズ感が少なくクリヤーで
アンバランスは多少音がザラつく感じでしたが

DA-07はバランス、アンバランスの音は違い、
バランスで聴いた後にアンバランスで聴くと音が小さく寂しく感じてしまいます。
パッと聴きはバランスの方がエネルギッシュで良いように感じますが
じっくりと聴いていると音が耳について圧迫感を感じてしまいイライラしてしまいます。
アンバランスの方がじっくりと聴くと全体のバランスが良く感じ、長く聴いていても疲れません。

実はDA-07と今はトランスポートとして使っているX-30は同じ方式のDAC搭載機で
DA-07はその第1号機であり
X-30はDA-07では巨大な筐体に何とか詰め込んだDACもワンチップ化され
搭載されているのでこの2台を見ていると時代の流れを感じずにはいられません。

ただしX-30のアナログ出力の音を自分は好んでおらず一時期は
この方式のDACは音が悪いと思いD-2を買うまでになったのですが、
トランスポートとして使っても同じ部分が不満だったので
音が悪いのはDACじゃなくてメカのせいだと思うようになりました。

(その後X-30は置き方で印象が変わることを理解し色々試した結果
今では当初感じていた不満点は解消されています。)

ただこの2台が載せているDACはカタログスペックが他の方式と思うと明らかに低く、
カタログスペックだけで言えば購入対象にはならないレベルなのに
あえて使っていると言う事は何か有るんだろうなとは思ってはいましたが、
どうもX-30の失敗があってよく行くオーディオショップに
中古でこのDA-07が入庫しても大して興味もなく
いずれはエソテリックのD-3が欲しいと考えていました。

でもとある事情でこのDACが予想以上に安くなり
駄目なら転売しても十分元は取れると判断してお試し気分で買うことにしました。
ようは使って駄目だったら売ってそれを軍資金にD-3を買えば良いと思っていたわけです。
ただし店員さんには以前から良いDACだよと薦められていたので
そのまま居着くかな?という予感少しは持ちながら
自分としては珍しく試聴もせずに購入しました。
(お店の事情で試聴できなかったのです。)

正直自分の手に余る存在でまだまだ先が見えませんが
キッチリと鳴れば他のDACを考える必要は無いのでは?
と思えるくらいの音を今でも十分聴かせてくれています。

じゃあこの音の源はどうなっているのだろう?と
このDACの中身を見たいなと思い、
ウッドパネルを外したら
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このような封印テープが貼ってありオーナーは
デジタル部分を生で見ることが出来ず、カタログ写真で我慢するしかありません。
 
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ただし裏側は普通に外して見ることができで
これがDACの電源なの?と思ってしまう広大な電源パートが
真ん中に鎮座し、その左右それぞれが片チャンネル用のアナログ回路という
まるで高級プリアンプの中を見ているかのような状態には
ただただ驚くばかりです。
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カタログの記載を読んで更に凄いのが
このアナログ回路はラックスお得意のピュアA級動作で
内部配線は全てPC-OCC材を使用し、その上この黒いシャーシーは
銅メッキをした上にわざわざ見た目の高級感を出すために
黒く塗った仕上げになっているのです。

フロントパネルも厚みが18ミリのアルミをヘアライン仕上し、
シャーシーの一番下は27kgの重さに耐えれるように中に鉄板が入った
FRPの一体成型品が使われています。
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ただでさえ厚みが有るとこに普通にインシュレーターを付けたらそれこそ
手に負えなサイズになるので、ある程度の内部損失の有りそれでも剛性のある
材質でインシュレーター一体型のボトムシャーシーを造るのは理に適っているとは思いますが、
専用で複雑な形の金型を造る必要があるのでここだけでも
コスト掛けてるな~って思ってしまいます。

デビュー当時の価格はこのDACが80万だったのに対して
トランスポートが40万という非常にアンバランスな価格設定でしたが
正直80万でも開発費から製品の造りまで考えると
おそらく利益は少なかったのでは?
と自分は思ってしまいました。

本来ならフラッグシップ機としてある程度の期間販売されるべきだったんでしょうが
僅か2年で姿を消したのは結局売っても利益にならない&思った以上に売れなかった
のでは?と考えていますが実際のところはどうだったのでしょう?謎です。

このDACはカタログ写真で見るかぎり沢山の調整箇所があり
だからこそ封印されているのですが
ラックスにメンテナンスの問い合わせをしたら
「劣化する部品や経年で狂う箇所は無いので再調整をする場所はなく
端子のクリーニング程度しかやることはないです。」
と言われましたが果して本当にそうなんでしょうか?
だとしたらこのDACには並々ならぬ自信があると言うことなんでしょうね。

でもまあ確かに自分が聴いている分にはくたびれた感じは今のところしないので
これからもズーとお世話になるかなって思っています。
ただここまでのDACを買うと純正ペアのトランスポートが欲しくなるのですが
正直財布はすっからかんなので思うだけななっています。
 
国産メーカーがなりふり構わず造りあげたフラッグシップ機が如何に凄いのか
自分がオーナーになってはじめて知りました。