300Bを搭載したT社製プリメインアンプに使用されている整流管5AR4

中国製 ロシア製 スロバキア製 いずれも品質が低下し アンプは整流管定格に対し余裕を持たせた設計を行っているのだが まったく電流供給能力が追いつかず 言ってみれば整流管は常に過負荷状態 ものの数ヶ月で劣化 最悪は放電短絡して トランスを焼損させてしまうトラブルが続出しているとのこと

そのためT社では 真空管を含め一年間と定めている保証期間が守れないとし weber社製ダイオード整流ユニットWZ34に 所有者の承諾なしに換装する対応をとっている

音は明らかに整流管が勝る だからわざわざ整流管式を購入したのだが 買ってすぐにダイオードに交換されたのではかなわないし トランス焼けても保証しないと言われたので 返品返金とした

しかし私は 整流管の音を知ってしまった以上 もうダイオードへの後戻りはできなくなった 何としてでも整流管式が欲しい

ちなみに 274Bなど5AR4以外の整流管もほぼ同じ材料を使用しているため品質が悪化しているとのこと 

現在T社は ショットキーバリアダイオード整流の機種に モデルチェンジしてしまった

今のところ 対応手段としては 整流管1本で出力管1本にして 負荷を下げるしかなさそうとのT社見解だが そのような製品は上位機種しかない 高価な機種には容易に手は出せない




ある時 Y社が整流管式300Bアンプを開発中 との情報を得た 整流管を左右電源独立に つまり2本搭載した設計 とのこと

この整流管不具合はY社も知っていて 環境規制のため使えなくなった材料があるようで それが品質低下の要因らしく 製造品質ではないそうだ

聞くところによると コバルトなどの放射性物質 といううわさがある

まあ それはさておき

発売された

上市前に真っ先に  Y社から私に 発売の連絡を頂いた

しかし 上市されたあと すぐ購入には踏み切らず 整流管トラブルが起こらないか 十分な経過観察をすることにした つまり インターネット情報や Y社へのヒアリングで 整流管のトラブルが発生していないことが 確認できたら買うことにしたのだ先に買った人には申し訳ないが



ところが 

別の懸念が Y社製真空管アンプに 持ち上がる

それは

コンデンサーだ

Y社は そのウェブサイトで 簡単な 回路図入り取説を公開している 今時 簡単だとしても回路図を 記載してくれていることは 有り難いことである

その回路図を見ると 平滑用電解コンデンサーが 直列で使用されているのだが それはまあいいとして コンデンサーを 直列使用する時は 電圧のバラツキを無くすために 電圧バランス用抵抗を 各コンデンサーと並列に追加するのが 常識である 

その電圧バランス用抵抗が 付いていないのであった

目を疑った

なぜ

おそらく

簡単な回路図だから 常識つまり 誰もが知っていて もはや当たり前過ぎることは そんなの書かなくても 分かるでしょ当たり前でしょ と 省略されている のだな

しかし Y社の他のアンプの取説を見ると そこには バランス用抵抗が しっかりと 記載されている

Y社に問い合わせた

すると

その回答は

驚くことに

電圧バランス用抵抗は

無い

とのことだった


またまた 目を疑った


そこからが大変だった


Y社に対し 

コンデンサーの直列使用は バランス用抵抗が 必須であること もしそうしなければ 静電容量のバラツキによって 電圧もバラツキ 耐電圧を超え 劣化し 電解液がガス化し 膨らみ 最悪は 液漏れ ガス噴出し ベントするという 電解コンデンサーの 取扱い注意事項に 書いてあることを 説明した 

一度でも 電解コンデンサーが 液漏れを起こし 基板や 他の部品に付着してしまうと 絶縁が低下して感電の危険性が増したり 基板が腐食して 壊れたりするから 部品の交換では 済まなくなる 真空管アンプは 内部で 数百ボルトを扱う 電圧の低い トランジスタアンプとは違う

世の中に こんなことも知らない 真空管アンプメーカーが あるのかと思いながら 

いや 彼らは知っている 

知っているから 他の機種では 抵抗を付けているのだ

では

なぜ

300Bには

無いのか

何回も

何回も

バランス抵抗を追加するよう お願いした

追加は簡単なことなのだ

たった数十円の 抵抗 4つ

コストにも影響しないはず

だが 回答は

これで問題ありません

この一点張りだった

じゃあなんで 

他の機種には付いているのよ

と突っ込むと

抵抗を選んでくれ そしたら 有料で付ける

という回答だった

そんならもうエーワイ 自分で付けると宣言すると

お客様が蓋を開けたら 今後は保証しませんと


これを逃したら 整流管式の300Bは 手に入らないかもしれない そんな思いから 決断できなかった

真空管アンプに詳しい先輩に 相談したら 買って勝手に 改造したらいい とのアドバイス この人は 845のアンプを 自作するような人 聞く人を 間違えた

ともかく 一回 音を聴いてみよう それで どうしても欲しかったら 有料でも 保証無しでも 抵抗付きに改造して 末永く愛用しよう

そう決めた

アンプが届いた

音を出した

わたしのシステムでは

なんか もっさりした

T社のアンプで感動した

300Bの音とはほど遠い

つまらない音だった

考えてみると

真空管アンプは

回路設計とともに

部品選定も 音質上 非常に重要なのだが

500V級の 電解コンデンサーを コストダウンが目的と思うが 耐圧の低いもの二つ 直列にする時点で Y社は 部品選定 回路設計の重要性を 理解していない 少なくとも 私とは考え方が違う 

音を聞いて それが はっきりわかった

そういう音だった

わたしのシステムでは T社の方が 圧倒的に良かった

わたしのシステムでは ちょっとこれはと 首をかしげる音だった


なんの迷いもなく

返品することに決めた

 
整流管式300Bアンプ探しの旅は まだまだ続く


《追記》
T社5AR4のトラブルについてT社は 整流管の品質悪化が原因だと私に説明したが 最近あるブログ記事に 5AR4適正コンデンサーインプット容量40uF~50uFのところ220uFが置かれていたことが原因 というものをみつけた 残留ノイズを下げるため 整流管の仕様や定格を知らずにそうしたらしいが 当然 突入電流が何倍にも増える どうりでトランスが焼損するわけだ

そうだとしたら これは明らかに 回路設計の瑕疵である
T社はそれに気づいていたのに 私に嘘の説明をしたのか それとも 原因に気づいたのはずっと後なのか

”アンプは整流管定格に対し余裕を持たせた設計を行っている“という説明をT社から受けたが 整流管定格に対して余裕を持たせた設計とはつまり ”平滑コンデンサーを大きくした“ ということか? 

未熟な設計者なら 余裕=大きくする と短絡的に考える 私の会社でも 余裕=大きくする人は多い 例えば ブレーカーとか ヒューズとか ケーブルの選定がそうだ

そうだとしたら T社は良かれと思って コンデンサーを大きくした その結果が 悪い方向に行くとは知らずに こういうのが大事故になりやすい やばそうだけとやってみるかより 良かれと思ってが一番危ない それは盲目的だからだ

真空管を知り尽くした なんてカタログでは言っていたが 基本中の基本ができていない 設計レビューもできていない まったく真空管の本質 基礎がわかってない ド素人レベルの失敗 T社

ちなみに Y社の取説回路図にも 整流管直後のコンデンサー入力が記載されているが 耐電圧と容量が書かれていなかったので問い合わせると 370V 22ufとのこと 容量はいいが 耐電圧が問題だ だってここは 450Vがかかるから TもYも いったいなんなんだ 危ないじゃないか

T社アンプの ネットに落ちている写真を調べた 

数値は見えないが 形が明らかに大きい 

やはり 220ufを使っている 

いずれにせよ 50uf以上 にはまちがいない

今でもたまに 中古で販売されている

買う前に この記事に気づいてほしいものである

もう買った人はどうしよう 

あ 裏ぶたを開けて 電解コンデンサーの容量を見てみよう RCA入力の近くにあるやつだ 0.47ufのフィルムコンデンサーと抵抗が並列されているので すぐにわかるだろう

そしてT社に連絡をする

この電解コンデンサーの容量は間違ってますよと

22ufや47uf に交換しなさいよと

出来ないなら お金かえしなさいよと

整流管も新しいのに交換しなさいよと

場合によってはトランスも交換よね

保証期間なんか関係ないですよね 

だってPL法を犯していますからね 

火事になったらどうするですかと

ほんとは 回収 リコール してもおかしくない瑕疵ですよねと

あるいは

ダイオードに置き換えられるのをだまって受け入れるしかないか?

だが本当は 電解コンデンサーを50uF以下に 置き換えるべきではないのか 

T社はそれを コストがかかるから やらないのだろう

《追記2》

K社の300Bにした

いい部品ばかり使用している

期待していた

エージング中は 音が良くなったり 悪くなったり

一喜一憂しながら 音が落ち着くのを待った

ようやく音が落ち着いた

だが

その結果は

まったくつまらない音だった

音が硬く

おおらかさがなく

まるで

デノンのアンプだ

歯を食いしばらないと 耐えられない音だ

一体どういうことだ

理由を探った

2つ つまらない音の原因か見つかった

一つは 長嶋式ヒーターハムキャンセル回路

これが 音楽信号への NFB として働いている可能性がある 

ちなみに 本アンプは NFB無しと謳っている

だが ここはNFBになっている

リプル以外にも 音楽信号が乗ってしまうことに気付いていない

リプルだったら 整流管直後から 位相を持ってこないとダメでしょうよ トランスからはダメよダメダメ

これは無くていいかな チョン切ろう

さてもう一つは B電源の デカップリングコンデンサー

これが大きすぎるのだ

たぶんこれが原因だ

往年の名アンプというか 普通は 数十uF  有名なWE91は30uF

K社は 100uF

ここが大きいと つまらない音になる

あと 2段チョーク も

残留ノイズを下げるために 2段になっているが その分 音の鮮度というか 躍動感がそがれる

T社のプッシュプルは 470uf  現代的な音と言われる つまり カチっとした つまらない音

ラックスキットのA3500は 47ufだ おおらかな ラックストーンは ここに秘密があると考えている 決してトランスではないよ

はぁー 疲れる

電解コンデンサーを 小さいのに 取り替えよう

それにしても 今の真空管アンプメーカーは SNとか ノイズ対策とか そんなのばかりに目が行って 肝腎の音の躍動感のことを分かっていない