🌌アナザーストーリー《第2話》星灯めぐる/江別
──ことばの跡をたどって──
朝の教室。
いつもより少し早く着いたはずなのに、
めぐるの席には、すでに柔らかな日差しが届いていた。
机の中に手を差し入れると──
そこに、小さな紙片が触れた。
便箋だった。
水色の折り紙のように、ていねいに折られた封のない手紙。
誰からかは、わからない。
でも、開いた瞬間。
その文字が、めぐるの心に、すうっと沁み込んできた。
> 「“届かないと思っても、ことばをやめない”──
それ、ぼくにも響いたよ。ありがとう。」
……え?
あの詩──昨日、自分あてに書いたつもりだった詩。
誰かに見せたわけでも、渡したわけでもない。
ただ、教室のノートに綴って、そっとしまっただけなのに。
それなのに、誰かが読んでくれた。
誰かが「ありがとう」と、返してくれた。
胸が、あたたかい驚きでいっぱいになる。
そして、すぐにふわっとした不安がよぎる。
(誰……?)
(いつ、見たの?)
(恥ずかしいこと書いてなかったかな……)
けれど、その小さな疑問は、
読み返すうちに、すこしずつ溶けていった。
そこにあるのは、名前ではなくて、
“受け取ってくれた気持ち”だけだったから。
──放課後。
めぐるは、図書室の中で静かに歩いていた。
棚の間をゆっくり進み、詩集コーナーにたどり着く。
一冊の詩集をそっと取り出す。
宮沢賢治の作品集。
めぐるが“ことばを好きになった原点”だった。
その詩集の間に、
手作りの小さな栞を挟んだ。
裏面には星のシールを貼って──
> 「影の中に、すこしだけ灯る詩を
見つけてくれて、ありがとう。」
──星灯 めぐる
それは返事ではなく、手紙でもない。
でも、めぐるなりの「ことばを返す」かたち。
たぶんまた、名前も知らないままになるかもしれない。
顔もわからないまま、すれ違うだけかもしれない。
それでも。
この小さな言葉の往復は、確かに心に残った。
> 「ことばって……
本当に、“やさしい灯り”なんだ」
万年筆を握る指先に、もう迷いはなかった。
詩を書きたくなる。
だれかのために、ではなくて──
“わたしのことば”を灯しつづけるために。
(つづく)
この第2話は、心が“受け取られた”ことを実感するめぐるの再出発。
第3話では、その言葉の灯が、はじめて“会話”という形に変わる予感──✨
МV札幌の空に、届いたよ







