🐰🎋✨わらこ精霊 夏だより・七夕特別編
8月7日(北海道の七夕)
──君とまた、光の湖で──
🎵オープニング:制服スパイラル
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夕暮れの風灯の森(ふうとうのもり)。
木々の間に吊るされた小さなちょうちんが、
ひとつ、またひとつと灯りはじめていた。
「ねぇねぇ、ここの笹、飾りつけてもいいかな〜?」
焔野こよみ(苫小牧)が抱えた笹の枝に、カラフルな短冊を結びながらはしゃぐ。
「その横、空けておいてね。わたし、星の願い書くから」
瑠璃野ひめか(小樽)はそっと笑って、自分の短冊にゆっくり言葉を綴っている。
「北海道の七夕って、今日なんだよね」
潮見あまね(小樽)が空を見上げてつぶやく。
「そうそう、わたしのとこは7月だったから……」
灯原つくよ(函館)が少しだけ首をかしげて笑った。
「じゃあ、今日は“ふたつめの七夕”ってことで、もう一回お願いごとしちゃおっかな」
つくよはそう言って、ぽつりと書いた。
『また、誰かの心をあたためられますように』
近くで聞いていた宙音ゆの(岩見沢)が、
小さな声でつぶやくように言った。
「七夕って……お願いというより、自分と向きあう日かもしれないね」
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夜が来た。
🌌湖のほとり──“星見の丘(ほしみのおか)”と呼ばれる特別な場所。
風灯の森(ふうとうのもり)の裏手に広がるその丘は、合宿所の中でもとくに空がよく見える場所。
七夕や花火など、“精霊たちの特別な夜”にだけ訪れる、大切な場所だ。
湖の周囲には、ひとつずつ丁寧に並べられたキャンドル。
その灯が水面に映り込み、まるで光の帯が湖に広がっているようだった。
レジャーシートの上には、おにぎり、冷たい麦茶、星型のゼリー。
みんなで分け合いながら、夜空を見上げる時間がはじまった。
雪白ひかり(札幌)は、少しだけ離れた場所で静かに空を見上げていた。
「天の川、見えるかな……」
すると、背中にぽん、と手が置かれた。
「一緒に見ようよ」
それはこよみ(苫小牧)の声だった。
気づけば、他の子たちも次々に集まってくる。
春霞つぐみ(釧路)は短歌帳を膝に置き、磯花ひより(室蘭)は風に揺れる短冊を静かに見つめていた。
「願いごと、届くかな」
ひかり(札幌)が言った。
「届くよ。光って、見えなくても、ちゃんと誰かのところへ行くから」と、ひより(室蘭)が優しく返す。
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やがて、
──パァン!
夜空に大輪の花火が咲いた。
一瞬の静寂のあと、精霊たちの歓声が広がる。
湖に映る火の色、星のきらめき、笑い声。
それはまるで、ひとつの大きな約束のようだった。
「この夏、忘れないよ」
ひかり(札幌)のその言葉に、誰かがそっと手を重ねた。
「わたしも。来年もまた、光の湖で」
そう言って、つくよ(函館)はほほえんだ。
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🎵エンディング:君とまた、光の湖〜花火のあとで〜
──願いの先に、また逢える。
花火が終わったあと。
レジャーシートの上に残った、冷めかけのポテトや、ころんと転がるおにぎり。
誰からともなく「片付けよっか」と声がして、名残惜しそうに立ち上がる精霊たち。
でも、帰り道はなぜか、みんな無口だった。
それぞれが、さっきの光と音の余韻を、胸の中にそっと包んで歩いていた。
「……ねえ」
宙音ゆの(岩見沢)がぽつりとつぶやいた。
「次の夏も、また来れるのかな」
潮見あまね(小樽)が頷いた。
「来ようよ。ちゃんと覚えておく。今夜のこと」
雪白ひかり(札幌)は、小さく手を握った。
「うん。約束、だね」
──それは、誰が言い出したわけでもない、
でも確かに交わされた「精霊たちの約束」だった。
その夜、灯原つくよ(函館)は、持ってきた手帳の隅に
こんなふうに書き残した。
「今夜、わたしたちは“ひとつの光”だった」
星も、火も、声も。
それらが重なった時間は、もう戻らないけれど──
心のどこかでずっと、灯りつづけていく。










