アナザーストーリー2 凜咲ここな/根室
灯りの手紙 ─ 凛咲ここなの静かな日常より
中学2年の初夏。
教室には、ほんのりと桜の記憶が残っていて、
誰かの笑い声や、静かなページをめくる音が交差する。
凛咲ここなちゃんは、そんな教室のなかで、
静かにノートを開いていた。
授業中ではなく、昼休み。
みんながそれぞれの時間を過ごすなかで、
ここなちゃんは、心の声に耳をすませる時間を選んでいた。
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そんなある日。
少しだけ距離のあったクラスメイトが声をかけてきた。
「凛咲さんって、何考えてるのか分かんないって言われない?」
その言葉に、ここなちゃんは少し驚きながらも、
「うん、よく言われるよ」って、やわらかく返した。
でもその子は、少し笑って、こう言ってくれた。
「でもね、不思議と、話すと安心するんだ」
その一言が、ここなちゃんの心に、
ぽっと小さな灯りをともした。
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それから二人は、よく図書館で会うようになった。
特別な会話をするわけじゃないけれど、
同じテーブルに座って、ノートを開いたり、
詩集を眺めたりする時間が、
不思議とあたたかいものになっていった。
ある日の帰りぎわ、
ここなちゃんは、そっと自分の「約束ノート」を見せた。
「これはね、会えなかった人たちや、
心に残った言葉を集めた、わたしの“灯り”なの」
そう言いながら、
彼女はページを開き、そこにある一文を指さした。
──「ありがとうって、言えなかったことがずっと心にあった」
それを見たクラスメイトの子が、小さくうなずいた。
「それ、分かるかも」って。
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言葉にできない気持ちって、たくさんある。
でも、書きとめることで、ちゃんと誰かに届くこともある。
灯りのように、小さくても、あたたかくて。
忘れられない手紙のように。
この日、図書室を出た二人の背中には、
それぞれの心にともる、やさしい光があった。
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こうして生まれた“灯りの手紙”は、
ここなちゃんの世界に、またひとつのやさしさを重ねていきます。






