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🍂アナザーストーリー3 楓野あい/北見
「何も起きない日って、きっと何かを守ってる」
土曜日の午後。
部活が早めに終わって、
制服のまま、ひとりで駅まで歩いた。
あたたかい日差しと、
ほんの少しひんやりした風が交互に頬にふれてくる。
何か特別な予定があったわけじゃないけど、
今日はこのまま、
少しだけ遠回りして帰りたかった。
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ひとつ手前のバス停で降りて、
まだ通ったことのない小道を歩いてみる。
住宅街をぬけて、
ちいさな公園のベンチを横目にしながら、
風にゆれる葉の音を聞いていたら——
いつのまにか、
心のなかの“せかせかした何か”が
ふっと静かになっていった。
イヤホンもスマホも出さずに、
ただ歩く。
ただ、今日の空気を感じながら。
こういう時間、
ちゃんと「わたし」でいられる気がする。
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途中で寄ったパン屋さんで、
最後のひとつだったくるみパンを買った。
ふくろの中から伝わる、あたたかさ。
それだけで、なぜかほっとする。
なにげないものに、
「ありがとう」って気持ちを向けられる日は、
きっと心がやわらかくなっている証拠。
誰にも見せないまま、
じぶんの中で小さく喜べる——
そういう“うれしい”も、たしかにある。
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家に着いて、
制服のまま、いつもの窓辺に腰を下ろす。
今日はノートを開かない。
ペンも持たない。
でも、なんとなくわかる。
この何もない時間が、
「何かを守ってる」ってこと。
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> 「なにも起きない日って、
本当は 心の奥で
そっと自分を守ってくれてる。」
気づけば部屋の隅に夕日が差し込んでいて、
カーテンがやさしく揺れていた。
ノートのしおりにしてある銀杏の葉が、
風に反応するように、ページの間でカサッと音を立てた。
——きっとまた、
この時間がわたしの中で言葉になっていくんだろうな。
今日も、何も起きなかった。
でも、何も起きないことが、
こんなにもやさしいなんて知らなかった。
——あいより🍁
🐰この一話は、
「がんばらなくてもいい午後」を大切にしたい人へ。
楓野あい サイドストーリー3終わり
また別のお話で会おうね🍁




