🍂アナザーストーリー2|楓野あい/北見
風の記憶、銀杏のしるし
駅までの通学路。
あの道には、風が通りすぎた痕跡がある。
6月の風は、まだ冷たさを残していて、
制服の袖をそっと揺らしながら、
心の奥まで届いてくる。
ふと立ち止まったのは、
路肩に舞い降りた銀杏の葉を見つけたから。

——もうすぐ夏だというのに。
でも、手に取ったその葉は、
秋に交わした“さようなら”の、
どこか続きのような色をしていた。
私はそっと、
その銀杏の葉をノートにはさんだ。
まるで、時間を閉じ込めるみたいに。
帰り道に寄った神社では、
朝の雨の名残がまだ石畳に残っていて、
しっとりとした空気が境内を満たしていた。
——誰にも言わなかったけど。
今日、詩を書こうと思ってた。
押し花ノートをひらくと、
去年の秋、誰かと笑いながら拾った銀杏のしおりが出てきた。ページの上に乗せて、
静かにペンを走らせる。
「風の音に まぎれてしまった言葉が
葉の形になって 戻ってきた」
窓の向こうに、
アンバー色の夕日が、今日の終わりを知らせている。
でも、あの葉を拾った瞬間から、
今日が“ふつうの日”じゃなくなったこと、
私だけは知っている。
また風が吹いたら、続きを書こう。
記憶が、そっと声になるまで。

#わらこ精霊の詩 #北見の風 #銀杏の記憶」
МVぬくもりの味〜いかめし〜



