Luke11:48(ルカによる福音書11章48節)には次のような聖句があります。

 

...ye allow the deeds of your fathers...

 

ここでyeは中世英語の二人称複数で現代英語の”you"に当たりますが、続くallowについて市河博士は同意語としてpraise, approveを挙げています(市河151頁)

 

allowについて普通は「許す」という意味をすぐに思い浮かべますね。

 

例えば、Longman Dictionary of Contemporary English 6th editionallowを調べると真っ先に出てくる語義は

 

to let someone do or have something , or let something happen (Longman p.46)

 

であり、同意語としてpermitが挙げられています(同上)

 

その点について市河博士

 

賞める」から「許す」へは意味の消極的変化がある。即ち「賞める」は善い事をしたのを賞めるので「許す」は悪いことをしたのを咎めないのである(市河151頁)

 

と解説しています。

 

そこで、英語語源辞典で確認してみると西暦14世紀には

 

1)認める、許す

2)賞賛する、賛同する

3)割り当てる

 

などの意味で使われていたことが分かります(英語語源辞典33頁)

 

時代を更に遡ると古フランス語のalouerそしてラテン語のallaudāreに行き着きます(同上)が、その意味として羅和辞典は「ほめる」を挙げているのです(羅和辞典29頁)

 

冒頭に引用したのはAuthorized Versionですが、現在の代表的英語訳聖書の一つRevised Standard Versionでは

 

So you are witnesses and consent to the deeds of your fathers...

 

となっており、新共同訳では

 

こうして、あなたたちは先祖の仕業の証人となり、それに賛成している

 

と訳されています。

 

さらに、新約聖書のギリシャ語原文を読むと英語のallowないしconsentにあたる言葉はσυνευδοκέωであり、その言葉についてG.Abott-Smoth の"Manual Greek Lexicon of the New Testament"には

 

to join in approving, consent, agree to or with

 

などの意味が記載されています(G.Abott-Smith p.428)

 

なお、英検一級の『でる順パス単  5訂版』にはallowの名詞形allowanceが「手当、子どもの小遣い」として記載されています(見出し語番号760)

 

(文中の太字boldは全て当ブログが付けたものです)

 

<参考文献>

・市河三喜『聖書の英語』研究社、昭和32年2月10日第九版

・田中秀央編『増訂新版  羅和辞典』研究社、1966年増訂新版

・寺澤芳雄編『英語語源辞典(新装版)』研究社、2024年新装版第2刷

・Longman Dictionary of Contemporary English 6th Edition(2014), Pearson Education Limited

・D.Abbott-Smith”A Manual Greeek Lexicon of the New Testament" 1922 Charles Scribner' Sons, 2015 Forgotten Books

・旺文社編『英検1級 でる順パス単  5訂版』旺文社、2025年重版