新約聖書のペトロの手紙一(1 Peter)には次のような一節があります。

 

Be sober, be vigilant; because your adversary the devil, as a roaring lion, walketh about, seeking whom he may devour.(5:8)

 

このadversaryについて市河博士はSatan, devilとしています(市河151頁)。

 

実際に日本語の聖書、例えば新共同訳でも

 

身を慎んで目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っています。

 

と訳されています。

 

そこで、このadversaryですが、Longman Dicitonary of Contemporary English 6th editionでは

 

a country or person you are fighting or competing against

 

と説明されていて、その同意語としてopponentが挙げられています(Longman p.27)。

 

これだけ見るとSatanとかdevilとかを指すように思えませんね。

 

ですが、語源を見ると、1340年に「悪魔」という意味で初めて現れたとされています。その後、1350年ごろには「敵」という意味で使われました。更に古フランス語adversarieから遡るとラテン語のadversāriusに至ります(語源辞典18頁)。確かにラテン語では敵対者、反対者、相手という意味で用いられていました(羅和辞典17頁)。

 

実は日本語で「悪魔」を意味するSatandevilという言葉の成り立ちも大変興味深いのですが、それらについては項を改めてご紹介することにいたします。

 

なお、英検「でる順パス単」には形容詞のadverse準1級(見出し番号1275)、1級(見出し番号392)の両方に記載されています。

 

 

(文中の太字boldは全て本ブログに因ります)

 

<参考文献>

・市河三喜『聖書の英語』研究社、昭和32年2月10日第九版

・田中秀央編『増訂新版  羅和辞典』研究社、1966年増訂新版

・寺澤芳雄編『英語語源辞典(新装版)』研究社、2024年新装版第2刷

・Longman Dictionary of Contemporary English 6th Edition(2014), Pearson Education Limited

・旺文社編『英検準1級 でる順パス単  5訂版』旺文社、2023年重版

・旺文社編『英検1級 でる順パス単  5訂版』旺文社、2025年重版