だいぶ前置きが長くなった上に前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいましたが、いよいよ市河三喜『聖書の英語』を少しずつ読み進んで行きましょう。

 

先ず初めは1 Corinthians 16:15 (コリントの信徒への手紙一16章15節)、Authorized Version(欽定訳)では次の通りです。

 

I beseech you, brethren, (ye know the house of Stephanas, that it is the firstfruits of Achaia, and that they have addicted themselves to the ministry of the saints,)

 

ここで市河博士が注目しているのはaddicted themselvesで、それについてdevoted themselvesの意味であるとし、addictについて「今日は(addictの)意味が堕落して悪習慣に『耽る』という意味に使われる」としています(市河 151頁)

 

『研究社新英和大辞典 第5版』にはaddictの動詞として次のような意味が載せられています(新英和大辞典 25頁)

 

1.[通常Passiveまたは〜oneselfで]...に(麻薬などを)常用させる、(...に)中毒させる、(酒色などに)溺れさせる、耽溺させる 

 (スポーツ・趣味などに)耽らせる、熱中させる

2.<人を>麻薬中毒(常習者)にする

 

たしかに今、addictという言葉を聞くとすぐにdrug addictを思い浮かべますね。

 

ところで、この言葉の語源はラテン語のaddicereですが、それには

 

1. 気に入る、意に適う 2.  判決して与える、判決を下す、宣言する 3.最高入札者に渡す 4.義務を負わせる 5.競売に付す、売りに出す 6.献納する、捧げる、委ねる

 

などの意味があり、更に6.から献身する、奴僕として身を捧る、という意味があるとしています(羅和辞典 12頁)

 

新共同訳ではこの聖句は兄弟たち、お願いします。あなたがたも知っているように、ステファナの一家は、アカイア州の初穂で、聖なる者たちに対して労を惜しまず世話をしてくれました」と訳されています。「労を惜しまず世話をした」まさに「献身的に奉仕をした」ということになります。

 

現代の代表的英語訳聖書の一つであるRevised Standard Versionでは

 

Now, brethren, you know that the household of Steph′anas were the first converts in Acha′ia, and they have devoted themselves to the service of the saints;

 

と、addictの替わりにdevoteという言葉が使われています。

 

なお、このaddictの派生語として英検準1級ではaddiction(依存、見出し語番号747)、また一級ではaddictive(中毒性のある、見出し語番号1497)が「出題される可能性の高い単語」に含まれています。

 

 

(文中のbold太字体は全て当ブログに因るものです)

 

<参考文献>

・市河三喜『聖書の英語』研究社、昭和32年2月10日第九版

・田中秀央編『増訂新版  羅和辞典』研究社、1966年増訂新版

・旺文社編『英検準1級 でる順パス単  5訂版』旺文社、2023年重版

・旺文社編『英検一級 1級 でる順パス単  5訂版』旺文社、2025年重版