原田実『偽書が揺るがせた日本史』(山川出版社、2020年3月25日第一版)
『東日流外三郡誌』や『竹内文書』、『九鬼文書』、『富士宮下文書』などが「日本古代史」や「超古代史」ブームの中で良く読まれたことについては約30年前に出版された『トンデモ本の世界』などを通して知っていましたし、『シオンの議定書』や『田中上奏文』が第二次大戦前の日本を取り巻く国際情勢の中で果たした「役割」には以前から興味を持っていました。
しかし、例えば『東照宮御遺訓』にある「人の一生は重荷を負ひて遠き道を越行くが如し」という言葉は徳川家康の遺した言葉とされているが、実は水戸光圀の言葉だったとか、弘法大師・空海の代表作の一つとされている『三教指帰』は後世の偽作で空海が実際に書いたのは『聾瞽指帰』といわれるものだったというようなことは始めて知りました。
一つひとつは取り上げませんが、他にも『日本書紀』の時代から始まって今日に至るまでに現れては消えたものや現代でもけっこう根強い人気のあるらしい様々な偽書について書かれていて、歴史に興味のある人なら楽しんで読める著作だと思います。
その上で敢えて苦言を呈するとすれば、まず巻末の索引が「書名別索引」となっていて、実質的には目次となんら変わらないことです。どうせならもう少し詳細な事項別索引が欲しいところです。
また、せっかく歴史教科書の出版元として非常に有名な山川出版社から出版しているのですから、同社で一番売れ筋の日本史教科書の記述に沿って古代から現代に至る各時代における現在は偽書とされているものを「正史」との比較対象で順次取り上げたらより興味ふかいものとなったと思われます。
☆☆☆

