【中心聖句】
多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。
ある者は永遠の生命に入り
ある者は永久に続く恥と憎悪の的になる(2節)
ダニエル書は大きく2つに分けられます(『岩波キリスト教辞典』)
前半(1~6章): ダニエルを初めとするユダヤ人の青年が様々な迫害や困難を乗り越えて信仰を守り通し、外国の宮廷で成功を収める
後半(7~12章) : ダニエルの観た幻を通してバビロニアからの大帝国の歴史を象徴的に描き、ユダヤ人に対する激しい迫害と究極的な救いの示唆。
以上のように前半と後半で話の性格が大きく異なっていることから、旧約聖書学では各々が別の起原によると考えられています(『岩波キリスト教辞典』)
今日の朗読箇所が含まれている「後半」部分が書かれたのは
紀元前164年頃にユダヤ教の中でも敬虔主義と目される「ハシディーム派」によるとされています(雨宮慧『主日の聖書解説<B年>』p.303)
ダニエル書後半が書かれた時代にはイスラエル地方はエジプトのプトレマイオス王朝の支配下からシリアのセレコウス王朝に移り、更に西からローマ帝国の勢力が拡大してきていました。
上に引用した2節には「多くの者が地の塵の中の眠りが目覚める」とあります。雨宮慧神父によればこれは「旧約聖書で死者の復活を明白語る最初」(同上)とされています。
旧約聖書の有名な物語「イサクの奉献」(創世記22章1~19節)について「アブラハムは神がイサクを復活させることを信じていて喜んで彼を捧げようとした」と解説されることがありますが、それは恐らく、新約聖書ヘブライ人への手紙11章の「アブラハムは、神が人を死者の中から生き返らせることもおできになると信じたのです」(19節)という言葉に基づいていたのだと思います。
東西の大帝国による蹂躙を受け続ける時代背景において、信仰を守り抜いて死んでいった者たちの復活と永遠の命への渇望がユダヤ人たちの間で広がって行ったのです。
異教の神への信仰を拒んで殉教したものが、陰府に落ちたままで終わることへの疑問が生じ、死後の命について反省が始まり、信仰を守り抜いた者の復活と永遠の生命が語られるようになったのです(雨宮慧『主日の聖書解説<B年>』p.303)

