【中心聖句】
ペトロが振り向くと、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのが見えた。この弟子は、あの夕食のとき、イエスの胸もとに寄りかかったまま、「主よ、裏切るのはだれですか」と言った人である(20節)
ここであの夕食のときとあるのはヨハネによる福音書13章21節以下に書かれていることを指しています。
今さらですが、これは「最後の晩餐」の場面ですね。
食卓についているイエスの愛しておられた弟子がイエスの胸もとに寄りかかったままというのはおかしな光景のように思えます。
というとレオナルド・ダヴィンチの絵画が大変に有名ですが、実はあの絵画に描かれている食事風景は実際とは異なっています。
実際にはどうだったかというと、前島誠氏によれば
1. 全員が横たわって食事を摂る
2. 左の肘をつき、横向きに寝そべる;食卓についている者たちの首が中央に集まり、足は放射状に外側に向けられている
というものだったというのです。ですから、イエスの愛する弟子がイエスの胸元に寄りかかった(13章25節)というのは、彼がイエスの右隣の席を占めていたということを表しています(前島誠『ナザレ派のイエス』pp.242〜244)。
いいかえると、ダヴィンチのあの有名な絵画はあくまで彼の想像の産物であったことになります。
今から20年ほど前、『ダヴィンチ・コード』という小説が世界的な大ベストセラーになり、トム・ハンクスが主演した映画も大ヒットしたことは記憶に新しいところです。
この小説についてはいずれ検証する機会があると思いますが、当時、多くのカトリック信者があの小説を真実だと思いみカトリック信仰に疑問を感じ始めたという笑えない話も残っています。